「朝から、とっても悲しい気持ちになる」

そう、書き込んだ。

G20において開催された夕食会での安倍総理の発言だ。

大阪城は、最初に16世紀に築城されました。石垣全体や車列が通った大手門は17世紀はじめのものです。

150年前の明治維新の混乱で、大阪城の大半は焼失しましたが、天守閣は今から約90年前に、16世紀のものが忠実に復元されました。

しかし、１つだけ、大きなミスを犯してしまいました。エレベーターまでつけてしまいました。

どうしてエレベーターをつけたことがミスなのだろう。

車椅子やベビーカーを必要とする人は、観光できなくて当然だと思われているのだろうか。

総理にその存在を否定されたように思えて、とても悲しい気持ちになった。

そうして書き込んだツイートは反響を呼び、3700RTを超えた。どうやら新聞記事にまで取り上げられたようだ。

今回の私のツイートに寄せられたおびただしい数のリプライは、主に３つのタイプに分けられた。

「あの発言はバリアフリーを軽視したものであり、失望させられた」
「あくまで歴史的建造物なのだから、エレベーターは不要である」

正直、こうした内容は想定内だった。しかし、実際に寄せられたリプライで最も多かったのは、下記のようなものだった。

「あれは安倍首相のジョークである。額面通り受け取るほうがおかしい」

正直、何回か読み返した。だが、いくら読んでも、しばらく意味がわからなかった。一体、どこが、どうジョークになっているのだろう、と。

いくつか寄せられたリプライによる“解説”で、ようやくその意図が理解できた。

安倍総理の真意はわからない。だが、この発言をジョークだと捉えている方が多くいること、そして多くの方が「むしろエレベーターがあることを誇る意図があったのではないか」と解釈したのだということはよく理解できた。リプライを送ってくださった方々に感謝するばかりだ。

そうして、次に考えた。

なぜ、多くの人が「ジョークだ」と受け止めたものを、私はそうは感じられず、「朝から悲しい気持ち」になったのだろうか。

なぜ、多くの方から「揚げ足取りだ」「ひねくれた物の見方だ」と非難されるような受け止め方になってしまったのだろうか。

この方のツイートを読んで、私はハッとさせられた。

「乙武さんにはシャレにとれないですよね」

このひとことで、すべてがつながった。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.mu/h_ototake/m/m9d2115c70116