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「死に目に会えない」つらさを、私たちは知った。

志村けんさんが亡くなって、早くも2週間近くが経とうとしている。いまだ悲しみが癒えないという方も、多くいらっしゃることと思う。

かくいう私も、もう20年近く前に一度お会いしたかぎりなのだが、あまりにそのときの対応が印象的で、「もう二度とお会いすることができない」という現実をいまだ受け止めきれずにいる。

志村さんの命を奪ったのは、新型コロナウイルスだった。それまで元気だった人を、突然、死に至らしめる危険なウイルスであることを、私たちは志村さんの死によって一段と認識するようになった。この衝撃的なニュースで、やっとみずからの行動を変容させたという人も少なくないはずだ。

もうひとつ、志村さんの死によって私たちが知ることとなったコロナの怖さがある。それは、大切な人との別れに「立ち会えないこと」だ。

下記のニュースに、ご遺族のやりきれない悲しみが描かれている。

記事によると、実兄であっても感染防止のために遺体との面会は許されず、火葬に立ち会うことさえできなかったというのだ。

実兄・知之さんの言葉だ。胸をかきむしられる。

「遺骨はまだ温かいです。火葬の前に顔を見られなかったのは残念ですが、新型コロナウイルスの感染防止のためにはやむをえないと思います。ひつぎに向かって『長い間お疲れさま。よくがんばったね』と声をかけました」

愛する家族が、人生最期のときを迎える。それがわかっていながら、ひと目会うことさえ許されない。火葬場でその肉体を失う瞬間に、立ち会うことが許されない。それがどれほどの悲しみか、悔しさか、私も19年前に父を亡くしているから、その一端は理解できるつもりでいる。

だが、日本ではそうした事情なしに、大切な人との別れに立ち会えない人々がいる。胸をかきむしられるような悲しみと悔しさに、打ちのめされている人々がいる。

次のニュースを読んでほしい。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
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