【義足プロジェクト #16】 まっちゃんと、肩を組んだ。

 十一月十六日の昼下がり、私は北村の運転する車で、台場のフジテレビに向かっていた。それは、超福祉展の三日後のことだった。

 この日に『ワイドナショー』に出演することは、だいぶ前から決まっていた。ちょうど超福祉展と同じ週というタイミングになったことで、番組後半で義足プロジェクトの特集を組んでいただけることとなった。

 義足プロジェクトのパートの収録は、平成最後の紅白歌合戦や大谷翔平選手のメジャーリーグ新人賞受賞などの話題で盛りあがったあと、いちばん最後に組まれていた。

「うわあ、立ってる」

 自宅で練習をする姿を見て、MCの東野幸治氏がつぶやいた。

「トレーニングはハードですか?」

 佐々木恭子アナから尋ねられる。

「義足はみなさんの足とおなじくらいの重さですが、太腿までしか足のない私にとっては、履くだけで筋トレ状態なんですよ」

 私の説明を聞いた松本人志氏が興味を示してくれた。

「でも、乙武さんまだ若いから、技術も肉体も、この先まだまだ進歩していくんじゃないですか。小走りくらいいけたらすごいですけどね」

 そんな松本氏に、私はこう提案した。

「じつは、今日やりたいことがあって。少し時間をいただけるなら、今から義足を履いてきます。松本さんと並んで立って、肩を組んでみたいんです」

 私がそう言った瞬間、東野氏は「やりましょう、やりましょう」と喜んでくれた。

 私と北村はいったん控え室に下がった。汗だくになってもいいようにスーツからTシャツへと着替えを済ませ、両足にシリコンライナーを装着する。そうして電動車椅子に乗って、スタジオに戻った。

 いつも通り、義足は北村に履かせてもらうのだが、この日に限って手こずっていた。

「マネジャーが履かせて、だいじょうぶなん?」と松本氏が聞いてくる。

 北村はなんとか義足をソケットにはめ込んだ。だが、北村はすでに相当テンパってしまっていたようだ。

 膝の機能をオフにしたままだと、膝は身体の重みで折れ曲がってしまう。その時点ではまだ膝が曲がる状態での練習はしたことがなかったので、スイッチをオンにして膝が曲がらない状態にしなければならない。ところが一週間前のランニングスタジアムでの撮影時にはじめてかぶせられたた外装カバーのために、それまでむき出しだった膝のスイッチの場所がわかりにくくなっていた。

「スイッチが見当たらない……」

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