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原監督の「内野手登板」にケチをつけるOBたちと、どう付き合っていくべきか。

先週6日、甲子園球場が沸いた。巨人対阪神、11点差をつけられた巨人は、8回表、内野手登録の増田大輝選手を“登板”させた。高校時代はエースとして県大会の準決勝まで進んだ好投手だったが、以降は内野手としてプレー。もちろん、プロ入り後も投手として登板したことはない。

8回まで5人の投手を注ぎ込み、巨人ベンチに残っていたのは勝ちパターンか接戦で登板する投手ばかり。酷暑のなか連戦が続くことを考えれば、それらの投手を11点差で負けている試合に投入するのは避けたいと考えた原辰徳監督による苦肉の策だった。

しかも、増田“投手”がこのトリッキーな起用に見事に応えてみせる。2番・近本を二ゴロ、途中出場の3番・江越に四球を与えたが、続く4番・大山を右飛に打ち取り、8回の阪神の攻撃を終了させたのだ。

増田選手は、試合後、このようにコメントしている。

「いつか、どこかでそういうのが絶対に出てくるから、一応、頭に入れておいてって、去年から後藤(孝志)コーチとかからは言われていたので。点差が広がったときとかに、投手を助けられるんだったらっていつでも頭に入れていました」

決して思いつきの采配などではなく、昨年からプランをあたため、準備を進めていたというのだ。

だが、この采配に対しては、球界OBの中にも烈火の如く怒りをあらわにする御仁がいた。まずは巨人V9時代のエースであり、監督経験もある堀内恒夫氏だ。

「これはやっちゃいけない。巨人軍はそんなチームじゃない。しかも今、首位に立ってるじゃないか。強いチームがそんなことやっちゃダメよ。こんなことして相手のチームはどう思うだろうか。馬鹿にされてるとは思わないだろうか。増田がマウンドに立った瞬間俺はテレビを消した」

続いては、原監督の下で巨人のコーチを務めた経験もある伊原春樹氏だ。

「考えられない。私がベンチにいたら、原監督とケンカをしてでも絶対にやらせなかった。これはダメ。調子に乗って、どうにかしちゃったとしか思えない。巨人の伝統的な戦い方からはかけ離れている」

もちろん、上原浩治氏やシカゴカブスで活躍するダルビッシュ有選手など、原監督の采配を擁護する人々もいた。堀内氏や伊原氏との違いとしては、世代やメジャー経験の有無といったことが挙げられるが、やはり最も大きな違いは「伝統」というものに対する考え方ではないかと思われる。

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