【落語へおいでよ #1】私が落語にハマった理由。

3年前にすべての仕事を失って何もすることがなくなり、歌舞伎映画ワインとあれこれ手を出し、いつのまにか多趣味になっていった私。ところが多忙を極めていた頃から、ひとつだけハマっていた趣味がありました。それは、落語。

落語との出会いは、大学を卒業して間もない頃。新宿三丁目を車椅子で走行していた私は、やたら古めかしい趣のある木造建築を見つけました。入口付近には大きな幟(のぼり)が立ち、正面の壁は人の名前が書かれた木札で埋め尽くされています。それが新宿末廣亭でした。

なぜかその佇まいに惹きつけられた私は、吸い込まれるようにして中へ。正面奥には舞台があり、それと正対するように座席がずらりと並び、両脇には座布団を敷いて座るようなスペースが。どうやら二階にも客席があるようです。舞台上では着物を着た男性が入れ替わり立ち替わりやってきて、短いおしゃべりをして帰っていく。たまに漫才師が出てきたり、三味線を持った女性が小唄を披露してくれたりと場を彩っていました。

そのときは、あまり面白いとは感じませんでした。いや、正確に言うなら、社会科見学のような「へえ、こういう世界があるんだ」といった面白さは感じたのですが、そこからハマって足繁く通うようになった、というわけではなかったのです。きっと、タイミングではなかったのですね。

その“タイミング”が訪れたのは、それから9年後のこと。私が杉並区の小学校で教員を務めていた当時のことでした。新宿三丁目で友人と食事処を探していたところ、出くわしたのが新宿末廣亭。9年前と何ひとつ変わらぬ佇まいを私が懐かしんでいると、その味わい深い、それでいて華やかな雰囲気に惹かれたのか、友人が「入ってみたい」と言い出したのです。

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乙武 洋匡

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乙武洋匡の七転び八起き

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