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【ワイン入門講座 #1】出会い。

さて、あまりにヒマすぎる三年間を送るうちに、すっかり多趣味になってしまった私。歌舞伎を観劇したり映画を観たりと生活に変化が表れるようになったことはこのコーナーで書いてきましたが、やはり一番の変化といえばワインを嗜むようになったこと。

といっても、まだまだ初心者。高いワインなどは飲めないし、理解もできないのですが、食事のときには必ずと言っていいほどワインを合わせるようになりました。20代の頃はビール1杯でぐでんぐでんになってしまうほどお酒が苦手だった私が、こんなにもワイン好きになるとは……。

そんなにハマるつもりはなかったし、いまでもソムリエを目指してみようなんて高い志を持っているわけではないのですが、ちょいと嗜んでみると人生が豊かに——と言ったら大げさかな、でも生活に潤いが出てきたような気がするので、まだまだワインの世界の扉を開けたばかりの私ですが、みなさんにその魅力をお伝えしていけたらなと。

ワインとの出会いをもたらしてくれたは、親友・手塚マキでした。数年前にソムリエの資格を取得した手塚は、いまではちょっとしたワイン通。世間から猛バッシングを受け、しばらく自宅に蟄居していた私に「オトさん、どうせヒマなら一緒にワインの勉強でもしましょうよ」と誘ってくれたのでした。

もともと酒が強いわけでもないし、ワインって何だか小難しそう。それに、こんなときに何かを学ぶとか、楽しむとか、とてもそんな気分になれないし——などと思っていたら、“冷製”日記でおなじみのマネージャー・キタムラが「いいですね、やりましょう」と勝手に話を進めだした。いま思えば、何もすることがなく憔悴しきっていた私に、なにか気が紛れるようなことでもあったほうがいいだろうと考えてくれたのだと思う。

そして迎えた当日。「まずは、この4つの品種がワインの基本になります」といって4本のワインを持ってきてくれた手塚。トポトポと丁寧にグラスに注いでは、そのグラスを鼻に近づけてクンクンやっている。それがワインの香りを楽しむ行為だということくらいは素人の私にもわかったが、グラスを手元でくるくる回したり、グラスをかざすように照明のほうに向けてみたりといった行為はなんとも不可思議だった。

——ねえ、さっきから何してるの?

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