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「平和教育」に、あえて批判的な目を向けてみる。

長崎を訪れた。伊王島で講演会&ボッチャ大会を開催していただき、とても楽しい時間を過ごすことができた。その翌日、少し時間があったので、初めて浦上地区をゆっくり散策してみることにした。浦上地区には、キリシタン迫害や原爆投下といった悲しい歴史が詰まっているが、だからこそ自分の目で見ておきたいと思っていた。

その日は凛とした空気が心地いい冬晴れで、頭上には真っ青な空が広がっていた。これまでポストカードでしか見たことのなかった平和祈念像は、間近で見ると不思議とその表情に惹きつけられた。あとで解説を読んでみたら、「軽く閉じた目は、戦争犠牲者の冥福を祈っている」とあったが、なるほど穏やかな顔をしている。

3年前、ポーランドでアウシュヴィッツを訪れたときにはもっと陰鬱な気持ちになったのだが、それは鉛色の空と降り続いた雨の影響も大きかったのかもしれない。青空の下で穏やかに佇む平和祈念像と、その前で同じポーズでカメラに収まる観光客につられ、私もつい笑みをこぼしていた。

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街のいたるところで、千羽鶴を目にした。平和への祈りを込めて折られたのだろう鶴の色彩はじつに鮮やかで、それらが飾られてからまだそこまで日が経っていないだろうことを表していた。原爆資料館には、多くの寄せ書きが壁に貼られていた。その多くが、学校の授業の一環で訪れた子どもたちによるものだった。

「戦争は絶対にいけないことだとわかりました」
「二度とこのようなことを繰り返してはならないと思いました」

教師から、花まるがもらえそうな感想がそこに並ぶ。

「平和教育」と呼ばれるものが、そこにあった。
「平和教育」って何だっけ、と考えた。

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原爆が落とされた中心地に建てられた碑を眺めながら、私はしばらく思いを巡らせてみた。

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