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医学生が「デザイン×医療」にかける想い

こんにちは、波多野裕斗と申します。
現在東京医科歯科大学医学科5年生(休学中)で、Colonb'sという団体の代表をしています。
Colonb'sは、「デザイン×医療」をテーマに、将来のデザイナーと将来の医療者が繋がり共創するコミュニティです。
今回は、なぜ僕が「デザイン×医療」の掛け合わせに着目し、なぜ学生の間から両者が繋がるべきと考えているかを話していきます。

<目次>
・僕が考える「デザイン」とは
・医療の今とこれから
・Colonb'sがやりたいこと


僕が考える「デザイン」とは

「デザイン」と言われて頭に思い浮かぶイメージは人によってそれぞれだと思います。アートやファッションデザインのようなものを思い浮かべる人もいれば、デザイン思考という単語が頭に浮かぶ人もいると思います。
僕はデザインを

人の「心」に解決策を提供するための姿勢

だと思っています。

デザインという概念が生まれたのは、20世紀初頭のヨーロッパと言われています。産業革命後イギリスで起こったアーツ・アンド・クラフツ運動に端を発し、ドイツのバウハウスにおいて工業と芸術の統合としてデザインという概念が生まれました。バウハウスでの教育方針は「見た目より機能」というユーザー視点でのモノづくりが基本姿勢であり、この姿勢がデザインという概念の根幹を形成しています。
その後、デザインの対象はグラフィックスへと広がり、人々の購買行動を促進する広告手段としてグラフィックデザインが社会に浸透しました。現在ではサービスデザインやコミュニティデザインなど、様々なものがデザインの対象になっています。

このように対象が多岐に渡るために「デザイン」という言葉で思い浮かべるイメージが人それぞれ異なるのだと思いますが、僕は対象が何であれ、その根幹にある思想こそがデザインそのものだと考えます。
すなわち、

相手のことをよく知り、
自ら気づいていないかもしれない潜在的なニーズやペインを拾い上げ、
それに寄り添った何かを提供する

という「姿勢」そのものが、僕の考える「デザイン」です。

医療の今とこれから

高齢化が進む日本において、医療は今、大きな転換期を迎えていると言われています。予防医療、セルフケアなどの必要性が広く認知され、人々が自発的に健康的な行動をとりやすくなるような仕組み・仕掛けの重要性が増し、

医療のターゲットは人々の理性→感性へ

徐々に移っていくことが予想されます。
すなわち、これまで以上に、医療の対象は生物としてのヒトではなく、感情を持ち人生という文脈に乗った「人」になっていきます。
このような時代において、情報やサービスを真に「人」に届けるためデザインの重要性が医療において認識され始めています。具体的には、PX(患者経験価値)という概念が提唱されたり、デザイナーと病院の共同プロジェクトが誕生したりといった動きがあります。

しかし、この動きはまだまだ一般的ではありません。医療系学生は美大生など将来デザイナーになるような学生と関わることは稀ですし、講義で医療ITの話が少し出たとしても、それを使って実際に人にどのような影響が出るかという、一番大事なはずのテクノロジーと人間の接点に関しては全く触れられません。

また、僕が美大生やすでにデザイナーとして活躍している方々と話していて、一貫して出てくるフレーズはこうでした。
「医療のことはよく分からない。」
中には、興味を持って勉強してみたけど、結局よく分からないという声もありました。

Colonb'sがやりたいこと

このように現状では医療とデザインの繋がりは弱く、これからの時代が必要とする「人」を中心とした医療の実現のためには、この二者の繋がりを強めることが重要だと考えます。

いざ働く時に繋がれば良いと思う方も多いかもしれません。

しかし、僕はそうではないと思います。

「デザイン経営」という言葉が使われ始め、経営にデザイン思考を導入しようとする企業が増える中、その導入がうまくいかない事例が多いと聞きます。
理由は単純だと思っていて、デザイン思考のようなパッケージ化されたものが便利ツールのように見える一方で、実際には冒頭で述べたようにデザインとは「姿勢」だからです。

医療系学生は、統計学的有意差を絶対的正義とする価値基準のもと、議論を重ねた末に完璧なものを作るように教育されます。
一方僕がお会いしてきたデザイナーは、はっきりとしたターゲット像を持ち、まず手を動かして試行錯誤を繰り返していきます。
どちらにも良いところがあり、両者が場面によって適切に相手の「姿勢」を尊重し共に働くことで、これまでにない、より患者さんや人々に届くものを創ることができると思います。

頭で分かっているのと実際にできるのは別の話で、自分も最初にIDEOのデザイナーからデザイン思考を学んだ時に、彼らの言っていることを簡単に受け入れられませんでした。
うわべではない本当の共創を実現するには、まだ思考回路が柔軟である学生のうちにお互いの良さを実際の経験として知ることが必要です。
そして、そのための場として、僕はColonb'sを創りました。

Colonb’sは時代に先駆け、未来のデザイナーと医療者の架け橋となるための挑戦をしていきます。


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