竹害と獣害〜鎌倉市役所に聞いてみた、その実態

 竹特有の成長スピードや、産業の変化、需要と供給バランスの変化など全国的な竹害を目にする中で、たまたまこのニュースがTLで流れてきた。

 私が暮らす鎌倉市内の里山にも竹林をよく目にする。青々とした竹林は清々しく、気持ちの良いものなのだけど、鎌倉市において、竹害の事例があるのか気になった僕は、鎌倉市都市景観部みどり課に問い合わせてみた。
 市内の現状や対策、竹害に取り組んでいる市内のNPOや団体の有無、市民としての知識や心構え、などを知りたかったからだ。


 そしてもう一つが獣害。
 鹿やイノシシの繁殖により、田畑が荒らされているニュースもよく目にする。農水省の2017年のデータによると、獣害の被害金額は約164億円。主な内訳はシカ約55億円、イノシシ約48億円、サル約9億円となっていた。

 鎌倉市のお隣、逗子や葉山では、イノシシによる獣害を最近よく見聞きする。二子山山系自然保護協議会という団体が対策を講じていたりするようで、SNSなどを通じて、時々だけど目にもしていた。

 海を渡ってきたのか、誰かが放ったのか、その原因は諸説あるそうだけど、陸続きの鎌倉でも遠くないうちにイノシシ来襲のニュースが聞かれるんじゃないかと。いや、もう来ちゃっているかもしれない。
 年間70万人以上と言われる鎌倉の主要なハイキングコースに訪れる観光客が、イノシシに襲われ怪我をした!なんて話が現実的になる日が来ないと誰も断言できない。
 そこで、鎌倉市での出没事例や、あるいは今後の対策について。また、二子山山系自然保護協議会のように取り組んでいる団体など、市で把握している情報を知りたくて、環境保全課に問い合わせしてみた。


竹害について by 都市景観部みどり課(一部抜粋)
頂いたメールにもありますように、よく手入れがされている竹林については、見た目にも美しく、気持ちの良いものですが、市内の山林には維持管理が、行き届いていない所も多くあるのが現状です。
竹害の事例について、これまで、みどり課では一般の方から具体的な相談を承ったことはありません。しかし、竹は繁殖力があり、生長も早いため、除却に大変な労力が必要となることから、維持管理に苦慮している方も多いのではないかと考えています。
平成21年度から実施している事業の中で、竹林については部分的に伐採し、落葉広葉樹林に置き換える取組などを実験的に行っています。
今後はこの取組により得られた知見を取りまとめ、竹林の拡大を防ぎながら、落葉広葉樹林や常緑広葉樹林などと共存させることにより、景観や生物多様性にも寄与する樹林地の維持管理方策に繋げていきたいと考えています。

具体的な取組の内容「確保緑地の適正整備

獣害について by 環境保全課(一部抜粋)
鎌倉市内では平成26年12月から平成27年1月にかけて確度の高い目撃情報はありますが、以後はありません。
万一、鎌倉市内でイノシシが目撃された場合は、市環境保全課、警察、猟友会等関係機関が連携し対応することを想定しています。
また、市内でイノシシ対策に取組んでいる団体は環境保全課では把握していませんが、神奈川県藤沢土木事務所から依頼を受けた個人の方が、毎月、県管轄の河川をチェックしているという報告はいただいており、昨年はイノシシの痕跡は見られなかったとのことでした。

対策はあるのだろうか?
 田畑を荒らすなど目に見える獣害に比べ、竹害はじわじわと森林を駆逐していく。大きな理由は、竹材の需要低下と竹林の放置。みどり課の人も指摘している通り、竹は繁殖力があり、アスファルトを突き破るほどのパワーも兼ね備えていて、他の木の成長を妨げるそうな。
 竹の中でも外来植物の孟宗竹は、落葉樹ばかりか、植林された杉や檜などの針葉樹の成長を阻み、植生を乱してしまうだけでなく、土壌保持力が低いため崖崩れが起きやすくなる危険性を持っているらしい。
 竹を根絶やしにするには何年も時間がかかると言われ、昔竹藪だった土地を知らされず購入した結果、床を突き破って、竹が生えてきた!なんて話もあったりする。

 鎌倉市では、竹害も獣害も認められていないという現状にホッとしつつ、近未来に向けて誰も保証できないことには変わりなく、どんな対策が考えられるのか、自分なりに調べてみた。ポイントは「先人の知恵」。
 竹も鹿もイノシシも昔から存在する。だったら、昔の人だって悩まされた経験はあるだろうし、何らかの対策をしていたはずでは?と思ったからだ。

【竹マルチ】
 稲やわら、あるいはプラスチックフィルムなどで田畑の表面を覆う農業技術をマルチング(Multing)というそうな。小規模な農地から大規模なものまで基本的な技術として広く浸透しているこのマルチに竹を使用するのが「竹マルチ」。
 伐採した竹を田畑の表面に敷いて、竹の下にサツマイモができるように栽培する方法として古くからあり、イノシシやサルからサツマイモを守る効果があるらしい。

 また、兵庫県豊岡市では、山の表面に伐採した竹を敷き詰めて鹿やイノシシを撃退する実験が行われていた。
 これは、鹿やイノシシが竹で足を滑らせる効果と、滑る時に音もすることから近づかなくなるという習性を狙ったもので、「ここから先は人間の境界だ!」と強く主張する意味もあるとか。
 どうやら同じような手法が江戸時代の文献にあるそうで、放置された竹を切って里山を荒廃から守り、その竹を活用して農作物の獣害を防ぐ“一石二鳥”作戦として注目を浴び始めているとか。中には伐採した竹で罠を作る事例もあった。

 玄関を出て20mでトレイルヘッドという里山の麓に住み、日常的に里山遊びをする身として、引き続き関心を寄せて行こうと思っている。

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Yamada Hiroshi

水瓶座のAB型/スポーツジャーナリスト/広告制作会社のプロデューサー/ラジオパーソナリティ/トレイルランのガイド/ライター/某(公社)マーケティング部委員/渋谷の工事/夢は七つの顔を持つこと/孤独好きな寂しがり屋
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