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リゾートやまどりで新春から列車旅(part2)[2022.1 北海道&東日本パス②]


ほぼ満席という盛況の中、列車は高崎たかさきへ向けて走り出した。

ここでざっとではあるが、この列車が辿る道筋を確認する。
高尾たかおから中央本線(中央快速線)で国立くにたち付近まで行くと、武蔵野線に通ずる連絡線がある。
そこからその路線等を経由して交通の要衝である大宮おおみやへ。そこを起点とする高崎線に進めば、終着の高崎まではまっしぐらだ。

そのような面白いルートを駆け抜けるわけだが、停車駅も目を見張るものがある。
高尾を出ると、なんと大宮まではドアが開かないのだ。
これは様々な要因が絡み合っていると推察できるが、主目的として挙げられるのは、「乗客の適正な利用」と「高崎線沿線の高尾山詣での需要にきっちりと応える」、この2点だろう。

まず前者については、大回り乗車との関連が指摘されよう。
大回り乗車とは、”ある一定の区域内[東京近郊区間・大阪近郊区間等]では実際に乗る経路にかかわらず、運賃の計算上は最も短い距離の経路で計算する”という決まりを利用して、初乗り運賃で十数時間も列車に乗り続けるという苦行を好んでおこなうものである。
おこなうに際して、確実に一筆書きのルートを作らねばならないが、それさえきっちりと守れば、普通列車だけでなく、快速や特急にも乗れてしまう。

今回の列車に当てはめて考えると、中央本線内の八王子はちおうじ立川たちかわに停車してしまうと、八王子・立川⇔大宮といった比較的短い区間での利用が想定され、とくに大回り乗車をする人々にとって絶好の餌食となりかねない。その行為が悪いかと問われれば、もちろんそうではないと言える。
また、高尾山の詣で客を運ぶという運行趣旨にそぐわないのも、その2駅に停めない理由であるはずだ。

そして後者に関しては、先ほど話題に挙げたが、八王子・立川と武蔵野線の新秋津しんあきつ北朝霞きたあさか等の近距離の駅に細々と停車してしまうと、遠距離利用客、つまりは大宮から高崎までの客が乗れなくなる。要するに距離に応じた差別化である。JRはそれをおこないたいのではないか。

長々と書いてしまったけれど、とにかく約50km強にわたってドアが開かないのは珍しいのだ。

国立の駅を過ぎると、中央本線とはここでお別れ。武蔵野線とを結ぶ連絡線はトンネル内に設置されており、その間は景色を楽しめない。その代わり、下から聞こえてくるジョイント音やモーター音に耳を傾ける。
トンネルを出たら、半地下構造になっている新小平しんこだいらを通過して、再び真っ暗になる。
ようやく抜ければ、そこに待っているのは夕焼けだった。
武蔵野線は高いところを走る区間が多く、その分、遠くの景色を見渡せる。私がいつも乗車する際は、遠くの山々に注目している。今回は、残念ながらそれらが見える席には座っていないが、夕焼けが綺麗に見えているのなら、山並みもさぞかし美しいものだろう。

北朝霞と西浦和にしうらわ間にある荒川橋梁を渡り終え、政令指定都市であるさいたま市に入る。西浦和を通り過ぎ、列車は大宮方面へ向かう連絡線へと進路を変える。ここもトンネルが多いが、先に示した楽しみ方で乗り切れた。
さいたま新都心が車窓に映ってまもなくして、大宮へ到着する旨の放送が流れ始めた。一部の乗客はそれを聞いてせっせと荷物の片づけに追われている。

長いこと走り続けたが、大宮に到着。
これから列車は夕闇の中を走ることになるが、見せ場はここからだ。


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