戦うお姫様になる

幼少期に読んだ本は
人格形成に及ぼす影響が大きく、
大人になってから読み返すと
新たな発見がある、という話を聞いて、
昔よく読んだ本を読み返してみた。

私が最も読んでいた本といえば
以前インタビューでも、
紹介したことがあるのだけど、
「アリーテ姫の冒険」という本で、

一度絶版になっていたらしいけど、
最近復刻版が出たそう。

しかも、出版社の方が私が愛読者だということを
知って献本してくれて、復刻版が手元にあった。

復刻版はこちら。

(復刻版には、復刊記念ブックレットがついてきます)

私は前の表紙のほうが好きで、
私が昔、持っていたバージョンはこちら。

(今は手元にはないけれど実家にあるのかもしれない)

==

読んでいた頃には知るよしも無かったけれど、
これは「フェミニズム文学」と呼ばれるものだった。

この物語は、よくある、お姫様が
王子様の力で幸せになる展開ではない。

主人公のアリーテ姫は、親が勝手に(お金目当てで)決めた
結婚相手の悪い魔法使いに、3つの難問を出され、
もしその難問を解けなければ、殺されてしまう。

アリーテ姫は良い魔法使いのおばあさんに、
3つの願いが叶う魔法の指輪をもらうのだけど、

閉じ込められた地下の小部屋での退屈な
時間を楽しく過ごすために指輪を使い、

難問は自分の力と知恵で解き、
最終的には、良い国を作るための旅に出る…。

ざっくり、そんなあらすじ。

気立てと顔が良いことだけがとりえの…
というのはきつい言い方かもしれないけれど、

美しいことが大前提のお姫様が、
偶然、王子様に見初められて、
幸せになるのではなく、

自分の力で鮮やかに難問を解き、
幸せを掴んでいくお姫様の姿を
子供ながらにすごくかっこよく感じた。

(ちなみにアリーテ姫の容姿については
本の中では言及されていなくて、挿絵も後ろ姿のみ)

もちろん、シンデレラや白雪姫も
何度も読んできて、ある種の幸せの形として
頭に刷り込まれているわけだし、

高スペックな相手に勝手に一目惚れされて、
追いかけられる好都合すぎるストーリーにも憧れるわけだけど

やっぱりそれは、お姫様たちが
抜きん出て美しいことが前提だから、
自分がおとぎ話の主人公になれるとは
子供ながらに思えなくて、

「こんな風に自分の力で人生を切り開ける、
戦うお姫様になろう(なるしかない)」

という決意のようなものが、
この物語を読んで芽生えたように思う。

アリーテ姫が物語を書くことや絵を描くことが好きで、
退屈が何よりも嫌いということが、
自分と共通していて、嬉しかった。
共通点があるなら、こんな風に生きられるはずという希望が持てた。

シンデレラや白雪姫は家事が出来たり、小人たちの世話をしたり…と
いう記述はあるけれど、何が趣味で、
何を考えて生きているのかよくわからなかった。

人のために自分を犠牲にできる心の美しさと
おしとやかさはあっても、そういう「いい人」たちは、
たまたまビビデバビデブーと唱えるおばあさんが現れてかぼちゃの馬車をくれたり、

たまたま、森のなかでみつけた死人(に見える)美女に
キスする変わり者の王子が通りかかるような
棚ぼたでしか幸せになれない。

そんなの宝くじに当たるほどの確率でしかなくて、
前世でどれほどの功徳を積めばそんなラッキーにぶち当たれるのか。

もちろん、私も幸運が空から降ってくることを
願う気持ちを持ち合わせながら生きているし、
古典的なお姫様物語を疑わずに憧れられる素直さがあれば
今よりずっと楽な人生だったのかもしれないけど、

もし、誰かの手によって与えられる幸せを手に入れていたら
本当に幸せだったかというと疑問が残る。

漠然とした、実態のない「幸せ」が
いつか訪れることを願うよりは、

自分の好きなことと自分にとっての幸せは何かを把握し、
それを手に入れるために勇敢に行動したほうが、
確かな幸せを掴めるんじゃないだろうか。

だって、誰かにとっての幸せと、
自分にとっての幸せは、違うもんな。

お金が少なくても時間がある生活が幸せな人もいれば、
時間はないけどお金がある生活が幸せな人もいて、

有名になり、道を歩けば顔バレするような状態が幸せな人もいれば、
街にとけこむ、目立たない生活が幸せな人もいる。

自分にとっての幸せは何かなんて、
それを得ようと自力で頑張ってみるまで
わからなかったりもするし。

(シンデレラや白雪姫は王子様と結婚して
「めでたし、めでたし」の後は一体どうなったのか。
幸せなんて瞬間的なもので、永久保証はどこにもないのに)

いつか自分に子供が出来たら、
絶対にアリーテ姫を読ませようと思う。

そして、アリーテ姫のようなお姫様を、
好きだと言ってくれる王子様が
もっと増えてほしいと願っています。

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余談だけど、この本に出てくる

「ローストチキンと豆のはちみつ煮に、
ベークドポテトとほうれん草ぞえ」や

「ベーコンエッグとトマト、マッシュルーム、
トースト、それにはちみつとコーヒー」

などのご馳走にどれほど憧れたことか。

これらが作者のダイアナ・コールスさんの
出身のイギリスの料理だと知るのは、
ある程度の年になってからで、

大学生2年生で
初めて訪れたロンドンで、
「豆のはちみつ煮」(ベイクドビーンズ)
を食べた時は感動したなぁ。

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