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子育ては「引退」じゃないんです

忘れられない言葉がある。

会社員時代、後輩男性とクライアント帰りに公園の横を通ったら、ママたちが子供を遊ばせながらお喋りをしていた。その様子を見た後輩が「俺もいつかあんなふうに、引退したいなー!」と言ったのだ。

子供を産み、育てることは「引退」なのか。公園で子供を見守るのは、ママたちにとっての「仕事」ではないか。

いろいろモヤっとしたけれど、後輩が当時、無茶ぶりの多いクライアントの仕事で疲弊していたことはわかっていたし、私が感じたことを口にすれば角が立つのは明らかだから、何も言わなかった。あの後輩は、今頃、結婚したり、パパになったりしているだろうか。今も公園にいるママを見て、同じことを思っているだろうか。

正直言うと、当時は私自身も心のどこかで、今自分がやっている仕事よりは、家事育児のほうが気楽だろうな、と思っていた気がする。「公園で子供を見ながらお喋りするママたち」は、独身でパートナーもいなかった私からすると、何か確かなものを掴んだ人たちに見えたし、ゆとりがあるように見えた。

そして、今、実際に自分が「公園にいるママ」になってみて感じるのは、「はたから見るほど楽じゃない」ということ。

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