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自信を奪った言葉と、自信をくれた言葉


おわりに

 大学1年生でネット活動を始めてから、もう10年以上がたちますが、ググって出てくる私の写真のほとんどが口を閉じて笑った写真で、口を開け、歯を見せて笑った写真はほとんど存在しません。「口を開けて笑うといつにもましてブサイクですね」というブログのコメント欄にあったたったひと言が原因で私はその後10年間、写真を撮る時に口を開けられなかったんです。

 最近は、口を思いっきり開けて笑うことも増えましたが、それは、とある撮影の時にカメラマンさんが「口を開けて笑ったほうがいきいきして見えますよ」と言ってくれたことがきっかけです。極端な例かもしれませんが、言葉はこんなふうに簡単に、人の人生に呪いをかけることもできれば、誰かの
呪いを解いてあげることもできます。まるで黒魔術と白魔術みたいだと思いませんか。

 また別の例を挙げます。これもまた容姿に関連した例になってしまいますが、テレビ出演時に外見に関してあれこれ批判され、落ち込んだ私はとある美容クリニックの門を叩きました。「目を大きくしたいんですけど……」。
 
 そう言うと、そのお医者さんは「目が終わったら、鼻を少し高くして、あごにボトックスを打って、少しシュッとさせたらいいかも。さらに立体感をつけたかったら、あごの先も少しいじりましょう」と言いました。その日、施術の合計金額を聞いた私は、コンプレックスをさらに膨らませながら、絶望して帰路につきました。

 そのすぐ後に、今度は取材で、別の美容クリニックに行くと「鼻の整形を受けていますか?」と聞かれました。また何か施術をオススメされるのかな、と「いえ、何もしていません……」と暗い声で答えると、「あらそうなの! まっすぐな鼻だから、何か入れているのかと思った! 大事にしたほうがいいよ」と思いがけず、おほめの言葉をいただいてしまいました。

 それまで、自分の顔を見るたびに、しっかりと肉ののったほお、ぼんやりした目……とマイナス面ばかり数えていた私でしたが、その先生は「鼻もいいし、肌もキレイだし、眉もしっかりあるし」と自分では気づかなかったよい面をいくつも教えてくれました。その日は、帰宅の足取りも軽く、家に帰ってから、うれしくて何度も鏡で鼻を見ました。
 
 私たちは常に言葉の使い方次第で、相手の元気を奪う人にも相手に元気を与える人にもなれます。
 私は願わくば後者になりたい。
 英語には「You made my day!」という表現があります。直訳すると「あ
なたは私の一日をつくってくれた!」ですが、「あなたのおかげで今日が素晴らしい日になった」という意味。よい言葉をかけることは、誰かの一日を変えること。「You made my day!」と誰かに思われる言葉を心がけて、今日一日を過ごしてみてください。そしてその結果、誰かの心の「名言博物館」に自分の言葉が飾られたら何よりうれしく、名誉なことではないでしょうか。

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今日は「おわりに」の公開でした。

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