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資生堂企業資料館まで歩く時は、気を付けてね

渚にて(1967)/前田美波里、団次郎
ディレクター/杉山登志
ナレーション/来宮良子
音楽/櫻井順

ふたりの男女が渚で戯れる、しっとりと情緒的な美しい映像。
「66年あたりから、資生堂のCMは商品から軽やかに離脱して、日常生活のなかに潜む小さなドラマの発見に向かっていく。」とDVDの解説にある。

私が静岡に引っ越して来て良かったことのひとつ、掛川市に資生堂企業資料館があること。創業以来の商品パッケージ、店頭ポスター、企業文化誌『花椿』等、かなり充実した美しい所蔵品が楽しめる。中でも良い時間を過ごせるのがCMシアター。明るい日差しが差し込むちょっとした一角にあるので、プライベートゾーンのように時を過ごせる。過去40年間の代表的なCMを9つのジャンルから自由に選んで観ることができる。

イベントでは、調香師による調香体験と学芸員による世界の香水瓶の鑑賞。ダンディな調香師さんの少人数に分けてのレッスンも楽しかったが、何と言っても香水瓶の展示と解説が良かった。圧巻はラリックの5連作「真夜中に」「夜明け前に」「さよならは言わない」「私は戻ってくる」 「君のもとへ」。解説してくれる女性学芸員さんの落ち着いた声のトーン、一編の詩のように流れる言葉に感極まってウルウルしてしまった。

そしてもう一つの楽しみ。入り口入って左手に歴代CMモデルさんのパネルがあるのだが、その中に大好きなモデルさんがいる。パネルに選ばれているということは、資生堂にとって重要な役割を果たしたモデルさんなのだろう。70年代『恋のミルキーオレンジ』のCMモデル、パトリシア・アヤメ・トムソン。まるでビーナスのような憂いのある表情にうっとりと見惚れてしまう。(タイトル画像)

この資生堂企業資料館。掛川駅から歩ける距離なのだが、その道のりがけっこう怖い。資料館の入り口へと続く道は、新幹線に沿って薮のようになっていて人気がない上、途中に怪しい沼がある。ここで悪い人に出くわし殺されて沼に捨てられたら、長らく発見されないかも?

ほんと、怖いです。行く方はもったいないけどタクシーにしましょう。


最近久しぶりにドキドキした資生堂CM。
白石麻衣さんのマキアージュ「真珠ヴェールの唇」編

ラスト、人差し指を口にあて、くるりと去っていく姿がドラマを感じさせて美しい。何かが起こりそうな予感がする音楽は、オーウェン・パレットの「THE MOMENT」。
最近マキアージュのCMって夢が無いというか、ドキドキ感が無いよなぁ、と思っていたので、これを見た時は「これこれっ!これこそ資生堂CMよっ!」と興奮してしまった。

オーウェン・パレット - The Great Elsewhere
ひとつひとつ音を重ねて作っていくパフォーマンスが面白い。


資生堂企業資料館

歴代の資生堂CMはDVDでも売られています。


DOVA-SYNDROMEに私のフリー音楽素材があるから、よかったら使ってね。

AudiostockでWAVEの高音質バージョンを販売しています。




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