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日記hibi/ 2019/1/7〜1/13

2019年1月7日(月)
久しぶりに事務所に行くことになり、その途中、新宿に立ち寄り『君に届け』と、年末に3巻が完結巻でもう既に出ている、という情報を得たものの買えていなかった『星明かりグラフィクス』もついでに買う。風早くんのことしか考えていなかったのに、ちゃんと本屋で思い出せた自分が偉い、なんど、こういうものを買い忘れたことか、と思い、それで移動中に『星明かりグラフィクス』。3巻で、もしかしたら打ち切りか、というくらいに急発進で収束の気配を漂わせ始めたが、しかし、これおもしろいな、ぶっ飛んでいるところが面白いマンガだと思っていたしそういうのが読みたかったわけだけれど、これはこれで地に足がついて面白いなと読んで、読み終えて、良かったなすごく良かった。派手な一般人と、地味な天才が出会う話で、一報は才能がないなりの道を見つけてがんばる、みたいな終わりなんだけれど、きっともっといろいろ出来るというか、もっと飛ばせるよ君は! と思ったし、たぶんこれから飛ばして行ってなんだかんだすごい人になると思うし、もう一方は天才っていったって、外には天才しか集まっていない世界があるわけで、そこでめちゃくちゃ学んだり凹んだりしながら、それでもやっていくんだと思うし、それでまた2人が出会えたら最高だな、でもやめずにやっていればそういうこともあるだろうな、それはもうそれは、圧倒的に現実で、現実でもそういうことは常にある、というリアリティとともに受け止めることができて、それは希望だな、生きるための希望だなと思えて、胸に迫るものがあった。

いいものを読んだあといつもそうなるように、ぼやぼやとしながらなんやかやと作業をしていると、近隣の神社で初詣でも、ということになり向かって合掌。そうすると気持ちも改まったので、10日の納税の作業や月初の手続きが溜まっていたので、それをひたすらこなしているとだんだん画面を見るのが辛くなってきたので、実務作業に切り替え、昨年末からずっと置いてある返品の山を引き寄せ、改装作業、状態をチェックして、スリップと帯を変え、再出荷するものとしないものに分ける、という作業をえんえんとこなし、150冊くらいだろうか、ひとまずそのくらい作業して在庫が片付いたので良しとして、再びPCの前に座っていると、23時、とあり、久しぶりにちゃんと仕事だーと思ってテンション上がったのか、はたまた仕事があったのか、というかあったのだけれど、ずっとやってしまっていまたいへんお腹が空いている。

帰宅してばくばくごはんを食べると満足したので、『君に届け』を読み始めて、風早くんが風早くんが、あー、ちょっと、あーーー、それ、あーーーー、などと思いながら読んでいると最終巻まで読み終わり、明け方近い雰囲気を窓外から感じつつ、ねむいねむいといいながらそのあとすぐ寝た。風早くんの供給が過多。

2019年1月8日(火)
早起きをする。というか、普通の社会人の方が会社に通勤する、というような時間に起きて、ビン・カンゴミを捨てる。この家のごみ回収ルートは、資源ごみのなかではビン・カンのスタート地点であり、ダンボールとペットボトルの終着地点であるようで、ビンとカンだけ回収がシビアに早い。なんどもなんども捨て損なうので、がんばって起きて、それで捨てることができて自分を褒めたたえる。それから打ち合わせに向かい、行い、そうするともう眠い、どうやっても眠い、となって、20分くらい仮眠をとると少し元気になったので、細かい数字のデータをぱちぱちと作成していた。するとてきめん調子がわるくなっていった。わかりやすく目が痛く、頭も痛く、そのせいなのかどうか体の節々が痛いし、首が曲がらない。椅子に座っていることだけでもきつい。しぱしぱと目を開けたり閉じたりしながら、ぐるぐると首や腕を回しながら、悪いなりにしごとをこなし、家に帰り今日は調子が悪かったのである、と相方に伝えると、間違いなく夜更かしのせい、ということで、まさしくそのとおりなので倒れるように就寝。

2019年1月9日(水)
水曜日は納品日、という感じで、ANDONとリトルトーキョーに納品を行い、棚の整理をする。昨日は良く寝たのでわりと体が動くので好ましい気持ちで過ごしている。月曜日に神戸にいる友人から出張で上京するのだが予定はどうか、という連絡をもらいそれで楽しく会うことにしていたので好ましい気持ちで過ごしている。遅刻する。遅刻したのでどこで待っていたのかと問うと、ダンデライオン・チョコレートであると言うので、正しく蔵前で観光している感じで好ましい気持ちになる。店で少し話をして、ではご飯でもというところで、今日は泊まりではなく神戸まで帰るので、あと一時間くらいの滞在である、ということが明かされ、そういうことはもっと先に言っておくれと、バタバタしながら駅前まで向かい、食し、飲み、話して別れたところまだ20時で、普段であればまだまだしごと、というような時間だった。まだ今日は4時間もある、と、急に空いた時間に戸惑いながらひとまず家に帰り、それで昨年末からためていた、「HABの取次サイトで200点以上のコンテンツが表示できない」という問題に対処するべく、何も考えず行やフォントごとにこまめに配置したテキストコンテンツを一箇所にまとめて絶対数を減らす、という単純作業を延々と行っていた。

2019年1月10日(木)
朝から打合せに向かい、それから10日だったので納税。納税が終えられると事務所に戻って、なんやかやの作業をしていた。それは、別段何があるでもなく、しかし何かはある、という、日常、という感じが強く思われるペースで、つまりいままではやはりお正月的な、イベント的な雰囲気が多少なりともあったのであろうか、と事後的に観測され、認識されたようだった。双子のライオン堂の竹田くんから連絡があり、明日の8時からの渋谷のラジオで「しししし」の話をするのだが一緒にどうか、というお誘いを頂き、いつものように簡単に了承した。朝が早いので恐怖しかない。早く寝なければと思われたので、まずは家に帰り、と思いきや本の注文があったのでHABに寄り、出荷を終えてから帰り、早く寝なければ、と思いながらいまこの日記を書いているので、ぼくは早く寝たほうがいい。

2019年1月11日(金)
起きれた! という喜びとともに覚醒し、着替えて早々に電車に乗ることに成功した。この段階で6時30分。革新的と言ってもいい。毎日このくらいの時間に起きれないものだろうか。
電車の中で『霊號琴』。渋谷で降りる段階で残り5ページとなっていて、しかし、内容的には300ページ分くらいの伏線が残っている気がする。
地上に上がると、渋谷の工事の光景は一変しており、抜けられるかと思った道が抜けられないまま、駅をほぼ半周する形になりながら、渋谷のラジオのスタジオがある場所に到着した。15分ほど時間があったので、読書読書、と思いマックに入店し、『霊號琴』。読了。
第一部完! という感じで、飛浩隆さんは『グラン・ヴァカンス』といい、10年以上長編を書かないのに、どうして毎回伏線を残して終わってしまうのか、いや、おもしろいけれども、という読者あるある、というか、ファン特有の、好きだけどもどかしい感じで、それもまた好き、という愛憎入り交じりつつ、兎にも角にも読了した。したので、そのまま渋谷のラジオに向かい、双子のライオン堂の竹田くんの話をうんうん頷きながら聞く、という仕事に終止。それから2人で、年末に読んだfuzkueの読書日記によるとこの界隈に良さそうなコーヒー屋さんはないかなということが知られていたため、目についたところで簡単に、カフェ・ド・クリエみたいな、というか、たしかカフェ・ド・クリエに入り、ぽろぽろと話をした。主にぼくがネット書店を作りたいが、BASEとSTORESとカラーミーで迷っているのだが、という相談を行い、ちゃんとhtml使える人がいてガッツリやるならカラーミーで気軽にやるならBASEでは? まぁでも売上10万くらいは目指していくならSTORESだよねぇ、という先日の調査で感じた認識に近い回答を得たので、ぼくもそうすることにして、そののち、代々木八幡の事務所に向かうために渋谷が踏破された。VIRONでお昼ごはんを調達すると、すぐ向かいにジュンク堂書店がはいっているビルがあったため流れるように上昇し巡回し購入した。ジュンク堂はだいたい、文芸誌やリトルプレス、ミニコミのコーナーにデットストックとなっている昔の、本当に10年以上前のリトルプレスが大量に在庫されているため、懐かしさとともに、そのとき興味がある特集を購入することにしていて、今回漁っていたら2007年の「HB」が見つかり、なんと書肆アクセスの店長、畠中さんへのインタビューが掲載されているとのことですぐさま購入し、すぐさま読んだところ

畠中 (…)こういう結果を生んだのは何なのかっていうと、売れる店ができなかったっていうことにつきるわけじゃないですか。「いいお店だ」って言ってくださる方がたくさんいてすごく嬉しいんだけど、でも、売れなかったわけでしょう。それはひとえに、「私の棚の作り方が売れない店だった」ってだけの話になっちゃうから、すごい後悔してるし、一生そう思ってると思う。
HB 2007年秋号(第2号) P.59

とあり、胸に刻んだ、というか、過去に刻まれた跡を思い出した、というものに出会ったのでここに記した。
そこから夜まで、なんだかしごとの切れ目がわるく深夜まで事務所で働き、細切れのなかで、HABのwebサイトの改修作業などが完了した。朝が早かったのでかなり稼働時間も長いが、ランニングハイというか、あまり眠さを感じないまま帰ってビールを飲んで本など読んだりしていたら、そのまま倒れ込むように寝てしまった。

2019年1月12日(土)
倒れてしまったわりには早めに目がさめ、昨晩しそこねたお風呂などに行っていたら、ガンガンという騒音聞こえてきて、何事かと思うと家に足場が組まれていた。よくよくマンションの掲示板を見てみると、改装工事・外壁掃除となっており、この足場が3月半ばまで続くとのことだった。流石に、この騒音は足場設置までだろうと思うのだけれど、この二ヶ月は常に作業員の方が外にいるということは、洗濯物などは室内干しになるということで絶望した。したが、年末年始に延々と洗濯機をまわしたおかけで布団のシーツなどは軒並み洗われていたため、なんとかなりそうではあり、過去の自分の善行に感謝、感謝。

今週は月曜日の夜更かしの影響か、常に倒れるように寝ているし、そしてなぜか朝も早いという、勤勉な状況が生まれている。そろそろ倒れるかもしれないという不安がよぎり、店番中のごはんとともに、モンスターエナジーが購入される。店について営業が開始されると、すぐさまお客さんがいっしゃり、それからはずっと断続的にだれかいるという時間帯が続いた。お客さんとともに、先週まとめてたくさん頼んだリトルプレスの不在表が溜まっており、すべてこの日の12時〜14時の時間帯で再配達をお願いしたことで、断続的にダンボールが届き、開封し、品出しをするというタスクも重なり、さきほどスーパーで買ったお弁当を食べようかと箸をつけるとどなたかいらっしゃり、だれもいなくなったので箸をつけようとするとどなたかいらっしゃり、ということが続いたところ、3時間くらいかけて昼食を食べ終わった。最低限の荷物を出し終わったあとは、今日どうしても送っておきたかったメールをいくつか書いていたら閉店時間が訪れ、夜に予定されていた双子のライオン堂の読書会とインタビューという予定のためにすぐさま店を出て電車に乗った。電車にゆられながら『無限の玄/風下の朱』を読み直していたら、新たにいいな、これはいいなと思うところがたくさん見つかり、再読の機会に感謝した。あと少し! というページ数で電車が駅についてしまい、歩きながら読み、最後はライオン堂の手前の角で立ち止まって読んで、読了したのち入店した。それだけで満足だった。

「 頼りなく感じても不思議のないこの事実にどれだけ勇気づけられていることかと、その日、ベースランニングの最中に私は実感した。私は野球をする者で、ほかの野球をする者たちと、野球をする場を駆けているーーなんという幸運! この価値は私たちにしかわからない。野球の心臓を掴んだ者にしかわからない。そして、そう考えながら二塁を蹴り、三塁へ向かう体とともに思考もなだらかな弧を描きながら疾走し、瘴気とはつまり、この幸運以外のすべてだ、と私は出し抜けに瘴気の正体を悟ったのだった。この幸運以外のすべて。野球場の加護を得られないものすべて。無益なお喋り、過剰な褒め合い、悲鳴のような笑い声。馴れ合いに、甘えに、お砂糖に、スパイス、それから素敵なものいっぱい。大学に満ちた瘴気とは、これまで私が「一般」とか「社会」とか、ときには「世界」とまで呼んで受け入れてきたものだったのだ。
 三塁を踏み、振り返ると、ちょうど侑希美さんが一塁から走り始めるところだった。今にも風に飛ばされそうな彼女の痩身は、しかし風そのもののように強く、重く駆けた。」
『無限の玄/風下の朱』(小谷田奈月、筑摩書房)P.155

2019年1月13日(日)
読書会のあと、たまたま来たお客さんとたのしくお話をし、『しししし』の販促用に、と頼まれていた竹田くんへのインタビューを終えた。終えた時点ですでに23時を回っていたが、「夜通しライオン堂でボードゲームをする会」が脇で開かれてたため少し参加して、終電で帰宅したのは昨日。流石に朝はすこしゆっくりな時間まで寝て、相方が昨晩作っておいてくれたビーフンを食した。食べて家を出ることができると、店番中に一口食べてから店番、一口食べてから店番、と繰り返さずすむのでたいへんありがたいところがある。
それで、今日は万全、いつお客さん来てもいいよ! という気持ちでオープンしたところ閑散としており、ちょっとだけ顔を出された方が1名いらっしゃったのち、ずっと一人で作業している。現在13時30分。ひとまず、オープン作業とするべきメールを返し終わったためこうして日記に向かわれている。BGMが悪いのかもしれないので、ちょっとPOPなものに変えた。

出荷をしてから、あとはネットショップの準備だろうか。開店時にそれなりの商品数にするため、写真やテキストを準備しておく必要にかられている。じょじょにやっていった方がいいだろう、とそそくさとカメラの準備を始めたところ、ひとりふたりとお客さんが入られ、それからは賑やかな時間が続いた。お客さんとBGMに感謝した。お客さんが入ってきたのでカメラはしばらくしまわれ、それから結局閉店まで撮影をすることはなかった。PCに向かい、委託している小屋BOOKS向けの本の出荷リストを整理するなどしているともう早々に遅い時間になってしまっていて、突如そうだ! と、昨日届いた大量の荷物の中で異彩を放っていた、投光器的な照明機材、階段の電気が自動照明になってしまい暗くてたいへん不便で集客にも良くないと思われたその状況を解決するためのもので、これを一階の階段部分に設置しようと、一晩充電しておいたものを外し、意気揚々と設置した。階段下から上に向かって投光されているため、上りはいいが下りの際は眩しくなってしまうことがわかり、そのため、あまり眩しくならずしかし階段は明るめ、という確度をブツブツいいながら調整し、ある程度満足したので4階の店で作業していたところ、数名の方がはいってこられ、この遅い時間に人がはいってくるのは稀なことで、その即効性に感謝した。偶然かもしれない。

店を締めて家に帰る。冷凍したカレーを温めて食べて、そこそこ時間があったためゆっくりすればいいものを、どうにも手持ち無沙汰になってきてしまい、確定申告の作業をずっと進めていた。


#READING  『星明かりグラフィクス』(山本和音、KADOAKWA)
#READING  『君に届け』(椎名軽穂、集英社)
#READING  『零号琴』(飛浩隆、早川書房)
#READING  「HB 2007年秋号」(第2号)
#READING  『無限の玄/風下の朱』(小谷田奈月、筑摩書房)

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