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日記hibi/ 2019/1/14〜1/20

2019年1月14日(月)
月曜日が祝日、というのは何度目だかわからないのだけれど、最近とみに多い気がする、が実際どうなのか、毎年そうなのだろうか、いや、そうなのだろう、暦だし、しかし多いな、など思いながら店を開けた。店を開けられるのだから良いことなのには変わりない。

海外からのお客さんが来られ、洋楽のBGMはなんらか耳障りなのだろうか? インストにしておけばよかったが、いまここで変更するのは逆に不自然であろうか、などいらない気を回してしまったが、全然そんなことはなく、とても日本語がうまい方なようだったので安心したし、すごいなー、と、本当に、コンビニなどで働いていらっしゃるアジアの方々が日本語を話されるのを、ぼくは全然多言語ができないものだから、勉強したんだなぁ、すごいし、見習いたいなぁ、と尊敬の眼差しで見ているところがあって、今回もとても尊敬した。日本語の書籍、文芸誌などもぜんぜんOK、みたいな感じで、店から一冊、とてもうれしそうな顔で買ってくださった。嬉しさしかない。本屋を開いていてよかった。そこからはやってきた注文を梱包したり、ちょこちょこいらっしゃるお客さんのお家計などしていたが、やはり祝日はお客さんの絶対数が少ない気がする。ゆるり、ゆるりとしながら閉店。しかし、こう、3日連続で人前に居るからだろうか、妙な疲労がだいたい、三連休の最終日にはあり、人と会うから疲れるのだけれど、そうだとしてなぜぼくは接客業など望んでしているのだろうかと思うが、本を売っているのであればしかたがない、という気がするので良いのだろう。

2019年1月15日(火)
朝から快調に起きる、起きると足早に事務所に向かうことにし、ひとまず郵便局で荷物を出し、と思ったら窓口が混んでおりしばらく待つことになった。年明けから、郵便局の「スマホ割」というサービスを使っていて、持ち込み限定だけれどスマホから伝票を入力して、郵便局の発券機で発行するとちょっと安い、年10箱以上から割引もあり、というのを使うようにしていて、だからもう伝票は出ていて、窓口に箱を出すだけなのだけれど、その窓口が混んでいる。もう、わたすだけなのだから、専用のBOXなど設置していただければお互いの手間が省けてハッピーなのではと思うのだけれど、そうも行かないらしくおとなしく待っている。不毛。
とはいえ、待てばもちろん順番はやってくるので、待ち時間10数分、窓口30秒ほどで差し出し、その後に電車で移動して事務所に落ち着いた。『2666』を今日から読み始めようと思っており、そのようにするために本を持ち込んで机で読み始める。毎日この本を持ち歩き、電車で読むのはなかなかつらいだろうなというところと、家のなかではあまり集中して本が読めないので、どこか外で、と思うとそれは事務所が一番良さそうであったのでそうすることにし、毎朝早めに起きたりした際、そんなことはいままで全く起きていないのだけれども、もし、もし早く起きれた朝、などに所定の時間まで読んでいよう、と思ったので快調に起きたのだった。今日は起きれた。はじめてのボラーニョ。楽しみ、ということで、所定の時間までのアラームを設定して読み始めた。まだ事務所にはぼく以外だれも来ていないようで、これはとても好都合なことだった。

“空いた時間には、これはかなりあったのだが、彼らはもっぱらアウグスブルクの、ペルチエの意見ではぱっとしないが面白い場所を散策した。エスピノーザにとってもこの街はぱっとせず、モリーにとってはわずかにぱっとしないという程度だったが、いずれにせよぱっとしないことに変わりはなかった。エスピノーザとペルチエは交代でイタリア人の車椅子を押した。というのも、そのとき彼の健康状態はあまりよくなかったというよりもむしろぱっとしなかったためで、友人であり同業者である二人は、新鮮な空気に少しあたるのは彼の身体に悪くないどころかむしろいいだろうと考えたのだった。”
ロベルト・ボラーニョ『2666』p.20

今日は夕方から、悪くないどころかむしろいい。そういうものを食べに行く約束をしていたため、早めに事務所をでて赤坂に向かう。寿司。相方と待ち合わせをして、食し、満足したところ時間はまだまだ早く、普段であればむしろこれから仕事本番です、といった頃だった。

帰宅の人々で混み合う電車に乗って家に帰っても時間はまだ早く、メールの返信や簡単なデータの整理などしたのち、STORESへのアカウント登録がなされた。迷っていたが、迷っているが、ひとまず登録してみて考えようとなったため、まずはなされ、なされたところ様々なデザインテンプレートの設定や、非常に、これは根本的に重要であると思っていた送料の設定が、ぼくがやりたいと思っていた、一点ごと課金+上限設定、が可能とのことで、最低限の状況をクリアしてくれたように思えた。それからデザイン、どういうサイトにしたいかというところで、アイデアはあったが、やはり同じSTORESを使っている本屋さんのサイトを参考にしようといろいろ見たところ、うーんこれは参考になる、勉強になるなぁとなって、やはりQ&Aはあったほうがいいのだなとか、カテゴリとかどうしようとか、示唆を得た。送料については、もうぼくの中で、絶対にweb経由の注文は不便にするんだ、という気持ちが強いため無料の設定はありえないのだけれど、だからむしろちょっと店側の手間賃として送料でも利益が出るくらいでいいのだけれど、サイトによって、ほぼ実費であったり、多少の手間賃を考慮していたり、一律であったりしていた。titleさんが、300円と500円のにパターンで異なる送料の本を買った場合はどちらか高い方、ということで1冊だと高いけれどだいたいは2冊以上だと得、というか複数冊や大きな本の注文の場合はお店側が損してしまう設定だったのだけれど、むしろ、webショップでそんなたくさんの買い物をする人はいないのであろうか。いないからこの設定で、大半の人が1冊だけ頼むので、実費で200円とかで設定するくらいなら、300円でちょっと高いけど、複数冊頼むならむしろお得だからフェア、で、お客さん的にも、「今回の注文はまぁしょうがないよね。1冊だけほしいし。ぼくがたくさん買って得するか、少な冊数で金額を抑えるか、の中から後者を選んでいるから、300円もやむなし。」「グランデ飲んだ方がお得なのはわかっているけど、お腹の都合でいつもスモールだよねー」という人が多く、結局このほうがマイナスのイメージを与えることなく店側も得をする、という想定なのだろうか、先人の設定には従っておくべきノウハウももちろんあるだろうな、という気持ちになって揺れている。たのしい。あと、ロゴ、なんかロゴ的な、「H.A.Bookstoreのwebshop」だと、なんか寂しい気がするので、新しい名称とロゴ的なものを作りたいと思ってIllustratorをこねくり回していたところ、悪くない、というか、これはなかなか、大手ネットショップへのアンチテーゼ的な部分もあっていいんじゃない? というものができて、うんうん、いいじゃない、これいいじゃない! となっている。このテンションは、いわゆる、野球はキャンプインが一番楽しいんです。すべてが未確定で、未来の可能性しかないんで! と言っていた、弱小時代の広島ファンの友だちのことを思い起こさずにはいられないくらいの、始める前特有のテンションであったが、始める前くらいは楽しい感じになっていたい、ので、たのしい。
楽しくなったので、作業中に星野源の「POPVENUS」をiTunesストアで購入して、「え、いまアルバム2000円とかでダウンロードできるの? 3000円では?」と相方と旧世代の会話を交わし、よくよくかんがえると、CDはほとんど中古を漁っていて、新譜を買ってもラブライブ!か輸入盤、という生活だったため国内のアルバムを買うのは思い出せないくらい昔のことだった。Amazonで調べてみると、通常のパッケージ版は3000円くらいするようで、そりゃみんなパッケージなら限定版を作ったり売ったりするよなぁ、というところを遅ればせながら理解した。それで聞いてると、なんかすごい、この曲、聞き覚えあります、ぼく! というものに出くわし、「hello song」というもので、「あれ、あの、箱根の、CMでずっと流れていて、なんかよくわからない生物が仕事がないって愚痴っている中華料理屋に、源くんが、「事務所かりたよ!」ってやってきて、みんなで事務所改装するやつで、や、どこの企業のCMかは全然覚えてないけど、箱根で、ずっとかかってて、で、ぼく、ずっと、仕事ないのに事務所とか借りて、改装中の家賃とかもまじで大丈夫なんだろうか、星P、大丈夫だろうか、星P! ってずっと、正月から家賃のことを考えざるを得ない状況におかれたやつなんですよ。箱根で!」ということを、一生懸命説明したが、相方はその点について、おもに星Pと家賃の関係について、興味がないようであった。音楽をたのしんだ。

2019年1月16日(水)
早く起きて、昨日ははしゃいで遅くまで作業してしまったので、なんとか強い気持ちで早く起きて、コーヒーも飲まずに新宿へ向かった。「メイドインアビス」の劇場版が上映されており、今週、というか、今日の朝を逃すともう見に行けるタイミングがどこにもなかったため、朝イチの回を見に行くぞ! という予定をたてて向かい、ギリギリ間に合ったので席につくと、たまたま水曜日ということで1100円で入ることができた。早起きは700円の得、と思ってほくほくしたが、別に水曜日だから安いのであって早起きは関係ない案件だった。劇場の中には本当に人がおらず、10人くらいだろうか、まぁ平日の朝で公開から一週間以上経っているTV版の総集編、というファン以外見向きもしないような映画なのでそれはそうだなと納得感はあった。映画は前後編となっていて、この「前編」はまだまだ、「メイドインアビス」的には穏やかで冒険への希望に満ちあふれているパートだったので、これからのこと、あのひとやこのひとの辛い記憶や強い意志、その萌芽を感じ、涙ながらに見た。結局泣く。後編でも間違いなく泣く。たのしい。見終わるとまだお昼で、今日はこれから! というテンションであったので紀伊國屋書店をちら見してから事務所に向かった。

眠い。睡魔との激しい戦いが巻き起こっていて、眠い、もうすべて自業自得で眠い。昨日のぼくのせいで、今日のぼくが眠い。ぜんぜん今日はこれから! ではなかった。すでにぼくの体は黄昏で、最低限のPC作業をこなすと、これは体を動かさないとだめな状況かもしれないと、ふたたびデスクの脇に積んであった本の返品の山に手を付けた。HABでも散々こなしているので手慣れてはおり、スリップと帯をセッティングして、本をためつつがめつし、再出荷可能なものを振り分けたのち、スリップと帯を変えて在庫を積みましていった。眠いので作業しながら星野源くんを聞いていた。右から左へ積み替えられると、ふたたびいくばくかの再出荷可能な在庫を作り上げることができ、満足して整理を終えた。しかしながら、ずっと眠い。

2019年1月17日(木)
ボラーニョが読みたかったのでちゃんと朝起きた。それですぐさま事務所に向かうつもりが、朝イチで出荷がはいったため家で荷造りをしているとけっこう時間が経ってしまい、事務所についたもののすでに次の予定までの時間は30分もないところだった。だったが、読みたいなと思い、パンを買い、コーヒーを入れてから15分ほど読んだ。そうしてから打合せに。打合せをおえてからそのまま、なんだかちゃんと、自分のしごとというか、どんな感じで日々すごしていくか、ということについての話し合いを、わりと急遽、時間がうまく合ったのでそのまますることになり、あれこれ話すと、どうも、うすうす自分でも感じていたのだけれど、最近、最近ではないかも、ここ数年のぼくは、とってもふわっとしているというか、語るべきことばが全然ないな、と思うような語り口でうわっつらっぽいことを話しているな、と自分で思える話し方で自分のことを話している、ということを自覚し、しかしほんとうは、それはもっと前から自覚されており、たとえばだれかと普段話したり、最たるものではトークイベントとかで話す際に、どうにもことばに強度が足りないなと思っていて、それはここ数年、ぼくがふわっと生きているからだろうな、いけないな、つまらないな、と思われる部分が多々あり、そして今日もそうであって、それがもう強く自覚できたのでこれはちょっといけないな、いけない、たぶんインプットとかが圧倒的になりないし、日々の過ごし方がいけない、だとして、いけないとして、どうやって生きていこうかな、どうやって……という煩悶を抱き、抱いたまま話し合いは終わり、それから作業に戻ったが、早く起きたせいか今日も眠く、ぼんやりと過ごした。

家に帰り、だからといって何をするでもなく、ビールを飲んで、先日氷砂糖とブランデーで漬け込んでおいたいちごを取り出して、ソーダで割って飲んでみたところこれは美味で、おいしい、おいしいと、はしゃいだ。昨年末からずっと楽しみに取っておいた『天冥の標Ⅹ 青葉よ豊かなれPART1』が開かれ、読まれていた。完結巻であるPART3が出るのに合わせて一気に読もうと思っていたにも関わらず、結局我慢しきれず読んでしまう。ブランデーのアルコールがわりかし強く、酔ってしまった感覚がある。文字がうまく頭にはいってこない。「私が一番悲しかったのは、こいつが死んだこと。私が一番嬉しかったのは、こいつが死ぬまでこうだったことよ」と物語の中でチカヤ・アイザワが言っていて、それは二巻での出来事の続きで、現実時間にして約10年ぶりの続報はぼくを喜ばせた。

「ここは仕切り直しにちょうどいい。ここなら新しい暮らしを始められると思うわ。どう、ダイア。ここに国を作ってくれない?」
「そんな、私にはそんなこと……」
いいかけたとき、小さな思いが頭の片隅をよぎった。セブ基地の前での、一瞬のやり取り。
言葉を切る。あれは小さすぎて、期待にも値しないような出来事だと思えた。
だが、チカヤはなにかを感じたらしかった。
『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれPART1』(小川一水、早川書房)P.62

小川一水が描く人はいつだって気高く、自らの力で立つ。

2019年1月18日(金)
寝すぎた。昨日のお酒がよくなかったのか、寝すぎてしまいここ数日の中ではかなり遅めに起きた。よく寝た、とも言えるが、急いで準備し、まずは先にメールなど返したりしたのち、家を出て役所に向かった。2月に台湾に行く話が持ち上がっており、昨日の打合せの中で、ふんふん、と頷きながら予定を確認し、航空券を取ろうかという段になって、海外行きの航空券をとるにはそもそもパスポート番号が必要だ、という事実を知った。海外、というのは大学のころに一度行ったきりで、パスポートの期限は切れていたが渡航までに準備できればいい、と高をくくっていたのだ、が、まさか手続きの段階ですでに必要だとは。それで急ぎ取得しに行くことにして、役所で戸籍謄本を得た。それから新宿のパスポートセンター的なところに行き、その日のうちに手続きをしてしまうつもりでいたのだが、行ってみると、ちょっと尋常ではない人が並んでおり、並ぶのがとにかく嫌いなので躊躇し、ひとまず証明写真をと見渡すと、専用のブースがあり向かうと、そこは「ちゃんとしたの撮ります!」というような写真屋さんがやっているところで1500円とか2000円とかかかるようで、1500円あれば本が買えると思うととてもそこで写真を撮る気にならず、書類だけ手に入れてちゃんと記入してから再度来よう、新宿であれば毎日通過しているので、そこまで再訪は大変ではない、と完全に気が萎えてしまったのでその場を辞した。

パスポートセンターから新宿駅への帰り道は、グーグルマップ先生によると、どうもブックファーストを経由できるようで、わー本屋に行けるー、と楽しげに向かっていくと道に迷い、この道のこの通路が地上で? 地下で? この地下は、ブックファーストがある地下とは違う地下なの……か? と迷っているともうそのまま新宿駅まで着いてしまい、自分が何処にいるかがわかったときには既に、ブックファーストは通り過ぎて彼方にあった。どうせまた来週もくるので、とリベンジを誓い、そのまま事務所。勤勉にしごと。

2019年1月19日(土)
受注の荷物の出荷が20日の夕方までにほしい、ということだったので、店を開ける前に郵便局までもっていくことにしていた。新しく店をつくるのでまとめて、という注文で、ダンボールにまとまるのは大変ありがたいが、店のあちこちにその場しのぎで収納した様々な本を、2〜3冊ピックアップしてもってきてまとめる、ぜんぜん効率のよいレイアウトでないので、何度も店のなかをぐるぐる周り、机の下をあさり、ダンボールの中をあさり、棚の裏に隠してある在庫をチェックしていたら思いのほか時間がかかってしまい、オープン直前になってしまっていた。しかしながらいまこの時間に出してしまわないと、営業後や営業中の集荷では明日の夕方着に間に合わないのではないか、という懸念が強かったので「開店が遅れますー、ごめんー」というツイートをしたのち、徒歩5分の郵便局に向かった。向かったら向かったで、伝票発行機の調子が悪くなんだか時間がかかってしまって、というか、急いでいるから些細な、たぶん数秒くらいの時間が長く感じてしまって、しかしどうすることもできないまま、そういったものを受け入れながら15分ほど遅れて店を開けた。

店を開けたが、しかし暇な一日でお客さんはとてもまばらにしかいらっしゃらなかった。が、もしかしたら最初の15分で帰ってしまった方が30万円くらい購入してくださったかもしれない、と思うとなんだかどうにも、というか、売上が少ないといつもそういうことを考えてしまうので、ちゃんと店開けよう、と心に刻む。

人が少ないので、作業を進めようと思い、締切の近い原稿に手を付ける。書けない。書けないので放置。このやりとりは実はすでに数回目で、どうにも書くことが思いつかない。書こうとすることが大切だ、たぶん、と、べつの告知文に取り掛かる。イベント、フェア、告知、告知、告知。なかなかいい文章ができたと思われたので、一緒に企画をやっている方に確認のメッセを送り、そうするともう既に外は暗く、ほとんど本屋的営業がなされないまま、閉店を迎えた。残念、という気持ちで今日の売上をエクセルに入れていて、ふと思い過去、一昨年くらいの売上表を見てみたところ、今日の売上はその頃で見ると、普通くらい、であった。売上って上がるんだなぁと思ったので心を慰めたが、いずれにせよ高くはなく、だからどうなんだというレベルの差だった。

店を締めて、お近くのリーディンライティンへ向かう。「Magazine isn’t dead」という、立ち上げからいままでお話を聞いていた方、あまり日本に輸入されていない洋雑誌を中心に扱うwebショップ、をやっていらっしゃる方のポップアップコーナーができているとのことで、見に行って、というか、その「Magazine isn’t dead」のネーミングの元ネタになっているという「PRINT ISN’T DEAD.」という雑誌がwebサイトで見ていてもすごくかっこいいな、いいなと思っていたので、実物を見て、あわよくば、というかほぼほぼ100%の気持ちで購入したいと思っていたので向かい、そして「あぁ、いいな、いい。これいい」となったので購入した。ポップアップのディスプレイもとても参考になるもので、丁寧で手がかかっていた。丁寧に、手をかけたい。いつもなにかに感化されて学んでいる、いたい。

帰ると、思いの外時間ができたので、戯れにPCを触って、自分のwebショップのために緩やかに出来る作業をする。STORESの商品登録は無料プランだと5点までしかできないので、別に原稿や素材を準備をして、いざオープン、有料登録、となったタイミングで一気に更新しようと書誌情報や紹介文の準備を進めていたが、ふと、あれこれアイテム登録できるんじゃ? というボタンを見つけたためクリックしてみると、どうも「公開」は5点までだか、「登録」はたくさん出来るようであった。サーバー容量の問題ではないのか、助かるー、これは助かるー、とそのまま非公開の商品登録をどんどん増やしていくことにして、まずはHABの取次扱いの本をやり始めて、そして、終わらない。こんなに、こんなにあったけHABの扱い本は、というくらいにはあり、なんかやってもやっても終わらず、それで数えてみると36冊あり、まぁそのうち10冊は同じ雑誌の別号数なのだけれど、しかしすげーな、と。やー、3年、やったねー、やったよ。と感慨にふけった。が、ちゃんとしごと的に回していくなら月1冊は新刊を扱わないと無理だなぁ、というところもみえていて、とはいえ「あ、それいいっすね、ウチでやりましょうよ!」みたいなことが安易に言えない、「うん、きっとそれは自分で営業してみたほうが面白いですよ!」「そこまでやるんだったらほかの選択肢がいいかもですねー」などと言ってしまうし、言う前からそういうことを考えて声かけないままにしてしまうことが多いし、だからといってそれがいやではない、というか、ぼくの生活のために扱い点数を増やすべく別にぼくがやらなくても自分で出来るであろう方々に声がけをする、というのに健全性が感じられないので、なんかいい感じに、いい感じの人と、たのしくやっていきたいのだなぁ、と思わないでもない。それで生きていけるかはわからないけれども。そういえば、リーディンライティンで買った本の値段が、だいたい今日の利益分、くらいであったなと思った。

2019年1月20日(日)
14時現在、さっぱりお客さんがこない。やばいだろうなやばいなこれは、と思いながらwebショップ用のコメント書きと写真撮影を行って、サイトにアーカイブしていった。
すると15時くらいから、まばらにお客さんが来てくださり、『読書の日記』を見ながら、「このお店行ったことある、何時間でもいられるんだよー」と言っていて、「やー、そうですよね。ぼくもそう思いますー」と心のなかで思ったり、『チョコレートの手引』を買ってくださった方が「お、ついに!?」「そう、チョコレートにも手をだそうかなと思って」と、なにかお菓子なのか料理なのかをお好きだという感じの会話をレジ横でしていらっしゃったので、「あ、その本、書いた方が蔵前でチョコとコーヒーのお店やっていますよ」というと知らなかったようなので、ちょうど出たばかりの「BRUTUS」コーヒー特集を持ち出してきて蕪木のページを開いて紹介したりなどしていたら閉店時間になっていた。

ふと、今日入荷して品出しした『ダルちゃん』をペラペラ見ていると読み始めてしまい、そのまま店の片付けもしないでぜんぶ読んでしまい、それで今日、この一日、この本が読めていたらそれでオールオッケーだったなというくらいに満たされてしまい、しまった。抜け出す、立ち上がる、一人で立つ、その先にあるのは一人きりの荒野ではなく、そこにも、ここにも、一人で立った人がいて、ふれあい助け合いながら、でも、取り込んだり取り込まれたりしないまま、生きていける。それを知っていることが、どれほど貴重で幸せなことなのだろうと思う。

現実に戻り、家に帰ると、勤勉にパスポート取得のための用紙を記入して、一枚しかないそれを、しっかり書き損じて途方に暮れた。


#READING  『2666』(ロベルト・ボラーニョ)
#READING  『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれPART1』(小川一水、早川書房)
#READING  『ダルちゃん』(はるな檸檬、小学館)

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