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日記hibi/ 2018/11/5〜11/11

11月5日(月)
月曜日なので、ひょこひょこと事務所に向かった。新宿を踏破するのも三回目。で、だいぶ慣れてきたし自分自身回復してきているのでイケる、イケるぞと思って飛ばした。が、むしろ、飛ばしてしまうと、普通に歩ける人、に見えてしまい、あきらかにひょこひょこしていたときに対して、もしかしたら内外の配慮が、薄れてしまうのでは。なんならちょっともたついたタイミングで舌打ちなどされてしまうのでは、という被害妄想が訪れ、それで無理のないスピードと動きで、ひょこひょこ歩いた。難儀。人の心が。いや、ぼくだけの心か。
先日、テーピングからサポーターに変えてから毎日整体に行くような形ではなくなっていたため、どうせ来たならと思い、普段通りというか、夜まで事務所で仕事をこなした。原稿確認や急な調整などを行い、いつものように夜に家に帰っていった。だんだんと、日常的な生活に戻していきたいが、どうか。階段が難儀だ。

11月6日(火)
朝から風邪味がすごい。電車に乗り間違えるし、打合せには遅れそうになり、というか遅れ、そして道中は雨に打たれた。全くテンションを上げられないまま打ち合わせを終え、事務所に帰って仕事を行っていた。なんとなく体調が優れないときは市販の風邪薬とビタミンCの錠剤とモンスターエナジーなどを処方することにしているので今回もそうして、日々をやり過ごした。

11月7日(水)
原付き乗った。非常に恐る恐る、しかしながら必要にかられて乗った。僕の原付きはカブなので、右足はブレーキ。左足にはギアチェンジが割り当てられている。ということは右足をあまり使わない、という、つまりそんなにスピードをださずにゆるゆる行けば、そこまでいろんな影響はないはずであった、と思ったので、そうした。
行けた。
水曜日は小伝馬町と清澄白河に本を納品する、というか、なるべくしたいなという気持ちを強く持つ日、として毎週の設定がなされており、今回はイベント用の本など納品しなければならないこともあり納品はわりかしマストであった、ので行った。それから蔵前のHABにもどり仕事を行い、お近くのリーディンライティンにてtitleの辻山さんとツバメ出版流通の川人さんのトークを聞きに伺った。聞いた。沁みた。ものを運ぶ人の話を聞くのは常にいい。なんというか、理想はあっても幻想を見ていないところというか、運ぶ以上はそこにリアルな物と重量が存在していて、総じて汚くて散らかっているであろうそういう現場で、その重みを体感している人の話は常にいいなと思う。だから「そういう仕事があって本が届いているんですねー。知りませんでした。感動しました」みたいな感想をほかの方が言っているのを聞くとそれは単純に嬉しいもので、けれども、というところは理解しつつも、結局倉庫で本と格闘して、車やバイクで運んで、ホコリまみれになる仕事ではあり、いわゆる肉体労働で、言い方はあれだけれども本を読んだこともないような人がどんどん入れ替わりで採用されたり、現場で人が低賃金で働いているような仕事なんだよなと思う。そんなかっこいいことでもなんでもないんだよなぁと思う。だから結局、憧れたり注目されたりしないような仕事で、本来は。だから過度に羨望されることなく、本来のようにじょじょに注目されなくなっていけばいいかなと思う部分がある。誰かを雇う以上は労働環境には最大限気を使いたいが、そもそもとして本を運ぶことはだれもは行う普通のこと、という気持ちが強い。普通にやっていきたい。
イベントのあとは店にもどって展示の準備をした。面だしの陳列台を全部どかして、展示用のカードを貼り付けていく。張り付いた。どかした本は置く場所がない……がまぁそれは次の営業日に考えればいいだろう。

11月8日(木)
朝イチで、最近ではわりと早めの時間に家をでた、急に文字起こしなどしなければならない案件があったためで、打合せの前に延々文字起こしをしていた、そこから、打合せをして、ごはんをたべて、また打合せをして、事務所で作業し、家に帰って、ごはんを食べて、文字起こしをした。相方が最近ハマっているという、中華風のおかゆ、を食べて満足もした。先日入稿したイベント用のZINEは無事刷り上がったとのことだった。

11月9日(金)
夜に予定があるというのは今日の人生を急ぐということを意味して、だからいそいだ。朝早くから活動していると、なんと勤勉な! という気持ちになってくるが、そもそもその朝早くは会社員の方々の朝くらいの時間なので、おそらく全く勤勉でもないのだろう、が勤勉な気持ちになるのは自由だろうと思い昨日にひきつづいて勤勉がっている。
夜の予定はリトルトーキョーの「しごとバー」というイベントで、まぁゲストがバーカウンターにいるのでその方と好きに飲む、というようなイベントであったので、大変気楽な気持ちでいる、がそもそも人は来るのだろうか、不安、自分の名前で人を呼ぶこと自体に根本的な不安感がつきまとう。
日曜日の「Books&Something」で提供するコーヒーをB&Bからピックアップして、販売する本の荷造り、POPや袋、お釣りの準備をする。イベント出店にはだいぶ手慣れてきた感がある。
それから急いで蔵前に向かい、小屋BOOKSに納品するための本をピックアップし、家へのお土産にシノノメで焼菓子を買い、リトルトーキョーに向かった。向かうとそこでは打合せがセッティングされており、小屋BOOKSの運営などについて軽く打合せた。そこからしごとバー。なんだかめっちゃ人がいてビビる、というかビビって、だいたいは「しごとバー」というコンテンツが好きでそこをフォローしている、というような人で、なんだかなんだか久しぶり、「本屋のほ」から説明するような環境は久しぶり、と思って「ほ」から説明していた。そこからビールを飲んで好きに話した。いづれにせよ「ほ」から話した。いかに普段のイベントや環境が“わかっている”人たちに囲まれているのか、ということに感謝もしたし反省もした。というか、意識? 「なんか本屋たのしそうー」という純粋な興味や憧れをもっている人に囲まれるのは久しぶりだった。良きことだ。良きことなので、全力で具体性を説いていった。具体的な手段を問うたり検討していくことしか、昔から僕はできないってう感じがしている。
歩いて帰れる環境であったため、わりと夜遅くまで飲み、二駅ほど歩いて帰った。金曜日の夜は市井にけっこうな人がいた。

11月10日(土)
昨日の今日で眠い。眠いが12:00オープンの店を眠いを理由に開けないというのは世間の人々に申し訳ないという怠惰さであろう、と思い、思っても思わなくても、もちろん店は開けられた。
眠い。眠い……。
展示をスタートしたのだけれど、告知をしていない、ので、はよ告知おばと思い準備を進めたかったが、そもそも展示スペースを開けるために引いた本が全然棚に収まらずデスク周囲に積み上がっていたので、なんやかやと店の片付けをしながらスペースの確保をしていたらだいたい営業時間は終わっていった。
「新しい本と出会いたくて、毎回その店の店主のおすすめを買うことにしているんです。だからなにかおすすめ教えてください」という質問をいただき、また来たなぁ嫌だなぁと思い、こういうときは会話の流れでおすすめしたり断ったりしているのだけれど、今回はお断りすることになった。「あなたのことがわからないのに何かをおすすめすることはできないし、ここにぼくの店と本棚がある以上、そこからあなたが気になった本を自分で選んでもらったほうが断然こころに残るしいい本と出会えると思いますし、それがその店のおすすめです。結果的には」というようなことをしどろもどろになりながら、説明した。ところ、律儀な方で2冊ほどご自身で選んでくださった。選んでくださったものはおそらくとてもいい、なんとなくその方っぽそうな本と少しはみ出ていそうな本で、「そうですよ、そうそう、断然そのほうがいいんですよ、すばらしいっすよ」みたいなことを急にしどろもどろになりながら伝えた。

11月11日(日)
朝から目黒へ行く。「Books&Something」の出店準備をして、実際は一日ほかの方が店番をしてくださることになっていたのだけれど、レイアウトを作ったZINEの内容やコーヒーの手配やいままでやりとりしていたみなさまと会場の雰囲気を味わいたい、などの気持ちがあり、朝早くから向かって設営を手伝っていた。ふらふらとほかのブースの様子なども見ていったところ大福書林さんのところで「よきかな・ヨキカナ」ステッカーという商品を見つけ、良いっすねー、これ良いっすねー、と言ったところ卸もされているというので、その場で卸していただいた。イベントはすぐ仕入れた本を持ち帰れるのでいつも大変役得、と思っている。
そうして会場の様子をひと足早く満喫し、写真を撮り、蔵前に帰る間にツイートなどしていた。いかにもHABが出店する風であったが、もちろん出店はせず、ぼくは蔵前にもどって普段どおり店を開けた。それで今日から、というか本当は昨日から、の展示のお知らせをやっとサイトにUPするなど、軽快に日々を過ごしていった。
ところ、本の中身をメモしているっぽい方がいたので注意せざるを得ない事態が生じた。スマートフォンだったので、最初はなんか連絡でもしているのかなと思い、なんとなくそのままにしていたところ、どうにも何度か、視線が本とスマートフォンを往復しつつ、それは本屋ガイドの本だったのだけれど、なんども往復するので、どうにもどうにも、「あのー、ちがっていたらほんと申し訳ないんですけど……」みたいな感じで注意した。人に話しかけるのがあまり得意ではなく、注意とか特に心拍数が上がるので、本当にやめてほしい、本屋ガイドの本っていうのが絶望感をさらに煽っている感があった。それからは、店自体は人入りの多い日だったので、ありがたくすごしていたところ、また夕方にいらっしゃった方が、本棚に椅子を寄せて凝視しつつ何かをメモしているようだったので、それもしばらく注視していたのち、注意した。「書名をメモしていただだけだったんです」ということであったが、実際のところそれはぼくもほかの本屋に行ったときに仕入れたいと思う本をスマートフォンにメモすることはあるのだけれど、せめて露骨にならない程度に、申し訳なさと多少の購買意欲を元にやっていただきたいなと思って、やはり注意した。その方はいくつか購買いただき、ありがたいと思って少しお話したところ、本や本屋の商売に興味があるんです、ということだったので絶望した。今までこういう露骨な方はいらっしゃっらなかったのだけどなぁ、なにかいけないのだろうか。打ち出している姿勢とか? そもそも、この7坪の死角などまったくない距離感で、謙虚さ! と思わないでもない、が、謙虚さの基準がぼくと世間で離れていっているのだろうか。ぼくの店なので、まぁそこは、ぼくの謙虚さの基準でやっていけばいいだけの話であるのだけれども。

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