見出し画像

日記hibi/ 2019/2/11〜2/17

2019年2月11日(月)
 祝日。例によって月曜日の祝日で、今日も暇かと思っていると暇は暇でもそこそこいらっしゃっる、という絶妙な日で、とポジティブにとらえているけれども結局は暇だった。
 昨日冊子の入稿をした会社から「グラフィックより「受付日」確定のお知らせ」というメールが来て無事に入稿は確定したようで、それでまた到着まで不安な日々を過ごすことになる
。入稿まではばたばたと、とにかくやらねば作らねばという気持ちでいくのだけれど、入校後から納品までの間は、いつも正しく入稿されていただろうか誤字などなかっただろうか、という不安に苛まれ、苛まれるもののなにも打つ手がないので不安感に押しつぶされそうになりながら、やきもきして待つことになる。

 店が終わってから、妙な疲れで脱力し、なにもできないまま座り込んでいる。三連休で、連日店に立つ、ということがなにか疲労のもとになっているらしく、だいたい月曜日の祝日は脱力している感じがある。だとして、この月曜祝日は常に店が暇なので、作業にそこまでの負荷はなく、というか、たぶん普通にしごとをしたほうが忙しい、というくらいで、だから、営業時間通りに行動するということや、なにより、人前に居る、いつも人に見られる立場で過ごす、ということが疲労につながっているようであり、それはもう接客に向いていないという証左でもあった。向いていない。

 夜に確定申告の作業をすすめて、すすめて、すすめている。おかしい。年始に箱根駅伝を見ながらすすめて、今年は順調に来ているなと思っていたのに、細かい作業が終わらなくて、おかしい。不可解な、感情で、訝しんでいる。しかしこれ、冊子の入稿を終え、冊子の実物が到着する、このあいだの期間に終わらせておかないとまた大変になるぞと思われたのですすめていて、クレジットカードの支払い明細などを入れていて、終わらない。
 けものフレンズ2を見て寝る。今回もまったくおもしろくない。

2019年2月12日(火)
 ナナチ。今日こそナナチと思っている。その決意のまま昨日は寝て、朝、ガサゴソという気配で起きると、相方が今日から、インフルエンザの病欠明けで出社するとのことで、準備していた。時計を見ると先週の起床時間に比べてとても早起きで、しっかり朝、一般家庭における朝、と言える時間に起きることが出来ていて、ちゃんと起きる人がいるだけでぼくもちゃんと起きれるのだな、と生活に感謝する。コーヒーを淹れて朝ごはんを食べるとまだ余裕があったので、駅前の銀行で10日の納税を先に済ませることにして、向かう。まだ朝早いしなー、開いたばかりだよなー、と思って行くとしかし、多くの人は通常通り働いていて、多くのお客さんが普通に窓口の順番待ちをしていた。いま9時で、それはひとが活動しだす時間をしては十分あたりまえで、ぼくが忘れているだけのことで、だから普通に、普通の順番待ちをして、処理を終え、新鮮がっているのはぼくだけで、その新鮮な感覚のまま電車に乗ると、いつも空いている車両がしばらく座れないくらいの混み具合で笑った。ひとが、活動しているひとが、ぼくの見えないところにたくさんいる。

 新宿の映画館に向かうためいつものひとつ前の駅で降り、そうするとひとが列をなして向かっていく出口があり、ハーメルンの笛に導かれるようについていくと無事、外に出ることができた。が、方向は逆だったため、地上に出てから結局逆向きに歩くことになった。簡単に惑わされる。映画館に入って、そうすると前回と同じくほとんどひとがいないようであったので、開いている席を自由に指定し、劇場に入る。『メイドインアビス』の後編で、これはもう、見る前から身構える、というか、前編の終わりどころからして、後編はいきなりクライマックス、やばいシーンが急に来るぞと身構えていると映画がはじまり、きた、きた、きた……、あぁ! と目を覆いながら真剣に見ていて、それで大好きなナナチ、それとミーティが、マンガが大好きで何度も読んでいて、展開もわかっているのに、ミーティがナナチに声をかけて2人が出会うシーンで泣きそうになって、そこからはずっと泣きそうで、冒険へのあこがれ、厳しさ、救いのなさ、それでも止められないあこがれ、をずっと感じて昂ぶっていて、それで、もう、最後のシーンではレグと一緒に目の前が霞み、泣いちゃダメだ、ミーティを、ミーティを見るんだと思っていても涙がとめどなく溢れ、それでナナチと一緒にぼたぼた泣いた。救いはない。救いがないから、これは救いだ、とすがりながら、これは希望だと信じながら、それでも前に進むしかない。

 事務所に戻ってくると雑誌の献本が来ていて、それは書評を載せていただいたものであったので、該当のページを写真に撮って関係者のみなさまに送ろうとして、それで付箋がないのに気づいた。付箋。該当のページ、ここ、ここに紹介させていただきましたよ、という付箋を、献本いただくときはわりとつけてもらえることが多く、そうするとぱっと開いて見つけられるのだけれど、しかし、今回はそうではなく、雑誌、とくにファッション誌とか、これ、本の紹介ページはわりと末席に、映画とか音楽とか、おもしろ小コラムとかの、そのへんがまとまっているところ、大々的ではなく、なんかこう、ある程度読んだあと箸休め的に、あるいはなんか、美容院でぜんぜん興味がない雑誌置かれたけど、ほかに読むものがないし、なにか、なんでもいいから文字多めなページを、という活字中毒者向けの、そういう脇に配置されているはずのそのページを、脇なので探しても探しても見つからないそのページを探して、まずは後ろの、二色刷りのところ、あ、犬山紙子さん、育児日記なんか連載しているんだねへー、とか、ROLAND様! といったあたりを見てみるもなく、そうなると、特集と特集の間、特集が終わったあと、くらいの真ん中あたりはどうだ、どうなんだ? と開いていくと無事そこにいたので、パチリした。途中で、もうこれ、検索、キーワード検索でハイライトしてくれ、してほしい、頼むから、という気がしてきたものの、検索できないから紙なんだろうし、だから育児日記発見できているんだよな、役得、と思わないでもない、が検索させてくれ、たのむから、と思うし、思うのがたぶんいまもう普通なのだろう。

 源泉徴収票が会計士さんから送られてきたので、チェックして宛先を書いて封筒に入れて発送する作業に没頭する。自分の確定申告をしながら、ひとの確定申告のための書類を制作して発送するこのメビウスの輪。昨年、一昨年もやったので、なにか送り状や、住所をまとめて印刷できるExcelをつくっていたはずと思い検索し、見つかったので印刷すると、ん、この案内状のフォントやレイアウトダサくね? みたいな感情が芽生え、去年はそれでも忙しかったから取りあえず送ったのだったか、それともかっこよく作ったものを変更せずに保存したのだったか、どうにも昨年の記憶はない。今日は今日とてばたばたしていたが、それでもこの案内状は機能的ではないしダサい、という個人的な結論に至って、そこから作り直すことにした。作り直すといっても、別タブの住所録からVlookupで自動で住所と宛名が転記されるシステムで、だからIllustratorではなく、あくまでExcelで作り直す必要があり、それで改修できるところはセルの結合を調整したりフォントとサイズを整えたりといった程度のもので、それがすむと満足して、プリントアウトした宛名紙をつかってせっせと封入、発送作業をしていた。孤独な深夜作業となったため、久しぶりにラジオ番組のアーカイブを開き、たまたま出てきた「のぞえりラジオ」の初回放送などを、聴いている。このときはまだ2人の間柄は敬語なんだよなぁと思い聴いている。2014年の年始の話をしている。楠田さんが去年まで年女だったんだという話をしていてつまり、24才。つい先日、30才の誕生日イベントに行ったばかりの人が、変わらない声で24才として話をしている。ぼくはといえば、こうして封筒にせっせと源泉徴収票を詰めていて、それでそういえば、2014年の年初は無職だったなと思って笑った。HABもつくっていなかったし、小屋BOOKSもなかったが、不安に思うでもなく、なにも考えず過ごしていた。

 行き帰りの移動時間で「読書日記」。先週はインフルエンザの相方が家で過ごすためiPadを持ち出さないようにしていたため、復帰した今日から持ち出して溜まっていた分もよむよむ。

結婚時の姓の選択のことが書かれていてちょうど遊ちゃんの名字が変わって、いろいろと手続きをしたり、しているところで、今日も免許証の変更のことを言っていた、俺にできることがあったら言ってねと、全然なにかできることがあるのか見当もつかなくて頼りない態度で僕はいて、申し訳なさを覚えたりしているところだった、名字は結婚を決めたときに「どっちにしようかね」と話をしたけれど、それは僕の「口だけリベラル」的な性質が見せた態度でしかなかったんじゃないかと思っていて僕が名字を変えるという事態を想定してはいなかった、どちらの姓にするか話し合った、その事実だけほしかったんじゃないか、と僕は思っていて、それでいくらかの情けなさを感じてはいるのだけれどもだからそのことが書かれていた。
「読書日記」#004

あるなー、ある。間違いなくあって、そうで、そのとおりで、だから結局、どうしたいんだろう、どうすれば、なんか空気みたいなもの? 決断に至るときの空気みたいなものを、健全に取り払って考えることはできるんだろうか、それはエゴだろうけれども。

2019年2月13日(水)
 昨日も結局夜更かしをしてしまって、起きたはいいものの、通常の時間に家を出るようになった相方を見送るだけで、また眠いと思いながらぼやぼや過ごしている。コーヒーを淹れたので、事務所に行く前にメールを返そうと思って開くと、トーハンの請求書電子化、みたいなお問い合わせが来ており、電子化はぜんぜんOKだけどTONETSみたいに、IEしか対応していないシステムはやめてほしいな、と思い、そこから、そういえばIEってもうWindowsでもメインのブラウザじゃないんだよな、どうするんだろうTONETS、と思い試しにChromeで開いてみると、開けた。開けた!? と、急いで告知のページなどを検索し、ブラウザ対応のアップデート記事を探したが見つからず、ひとまずいくつかの機能を試してみたところ正常に可動したため、この大ニュース、いったいいつ何処で、とTwitterに問うと、どうも半年ほど前から各種ブラウザに対応していたようであった。これで発注の際に別のWindowsPCを立ち上げなくて済むのだな、と思うといままでの苦労で涙が溢れたが、しかしこういうことこそ喧伝してほしい、が、いまさらChromeに対応しました! みたいなことを喧伝しても、むしろいままで対応していなかったことを逆に知らしめてしまうので、まぁおおっぴらにしないほうがいいのかもしれない。しかしこれは知れてとても便利、というか、店で売れたその瞬間にmacから発注ができることが嬉しくてしょうがない、し、というか、いま、これで嬉しがっているということ自体、どうなんだという気もするが、嬉しいし便利なので良しとしよう、とは思っている。

 小躍りしながら事務所に向かい、道中は「読書日記」。都営線の新宿西口駅で降りると、駅のコンコース内で人があつまり、PCと配線をじゃらじゃらいじっている一角があり、見ると近未来っぽいフォルムをしたALSOKのガイドロボットが設置されるようであった。
 そのあとは勤勉にはたらき、まとめていた発注の作業や、請求、お金のやり取りなどの資料をExcelでポチポチとつくっていると夜もふけ、再び新宿線で帰宅すると、ALSOKのロボットは消えていた。設定がうまく行かなかったんだろうか、あるいは日勤なのだろうか。

 帰りの電車で「読書日記」が切りの良いところまで読み終わったので、ほかの本を読もうかと思ったが、iPadのフォルダの中から、過去に保存したPDFの小説など、読んでいないテキストが発掘されたため、それを読む。iPad、きみなかなか、やるじゃないか、意外と、本棚の奥の方のように埋蔵されているテキストがあるな、とそれで漁りながら帰宅。

2019年2月14日(木)
「私はリボーグXです。ALSOKの警備ロボットとして開発されました。」

 普段よりも、少し早めに新宿西口に赴くと、ALSOKさんは、いやもとい、リボーグXさんが、ちょうど起動したところだったようで、流暢な日本語、女性の声で、そのようにお話される瞬間に立ち会うことができた。シャベッタァァァァァ、と思ったが、最近のロボはそれはそれは喋るであろうな、と思うと珍しいことではないような気がして、近未来を急に感じる。寿司屋にもロボがいる時代なのだ。しかし、いままでその近未来的、しかし警備用っぽい無骨なフォルムから勝手に男性的なイメージをもっていただけれども、女性の声であったことから、急にリボーグくん、から、リボーグさん、と印象がガラリと変わり、とはいえ女性的な声で喋っているだけで別に女性ではないのかもしれず、しかし男性、ということはあるのだろうか、ロボットの性別とは。というか、こういうロボットの声は、中性的か女性的な声のことが多い気がするのだけれど、やはりロボットが男性の声でしゃべると威圧感がすごい、というようなことから女性の声が採用されるのだろうか。
打ち合わせに向かう。

 移動の途中で『SFが読みたい!2019年度版』をようやっと買うことができたので読む。ちょうど国内編の1位は『零號琴』となっていて、そうだよね、そうそう、と思って、飛浩隆の今年の予定、みたいな小コラムを読んだら、冒頭に

「今年はたぶん新刊は出ないが、原稿は書き続ける」
『SFが読みたい!2019年度版』P.132

とあったので笑った。むしろここ数年が出すぎている感はある。

 少し早めに事務所を出て、新宿でスーパーと検索すると、成城石井がルミネの地下にあるようだったので向かうと、すごい人混みで、みんな今日の晩ごはんの惣菜を買い出しているようだった。20時、そうか、そうなのか。いつもこの時間はだいたい事務所で仕事をしているので気にならないのだけれど、ちょうどタイムセールの時間のようで、スーパーも、飲食店も混み合っていた。ぼくはといえば、リンツの「エクセレンス・オレンジアーモンド」を探し求めていて、それはとても好きなチョコレートで、昔はカルディで買えた気もするのだけれど最近はぜんぜん見なくなってしまって、それで高級スーパーならあるかなーと思い向かった。向かって初めてわかったのだけれど、什器や商品構成に既視感があったのでよくよく考えると、成城石井は代々木八幡駅にもあった。スーパーを巡り、無駄に新宿を徘徊する、みたいなことが発生していた。せめてそれでチョコがあればよかったのだけれど、それでもなく、しかたがないので別の、なにかオレンジピールが入っているチョコを購入して家に帰ることにした。

 リボーグXさんは、いらっしゃらない。日勤なのだろうか。

(闇夜に浮かぶリボーグXさんの雑コラ[公式]) 

先日までB&Bで盛岡フェアをやっていて、その場で蕪木のチョコを手に入れていたため、最低限、というか、最上級のチョコは確保できていて、まぁそれでいいかという気持ちで、家まで帰ってきて、はたと。今日、相方は会社のイベントで帰りが遅いのであった、ということを思い出した。何をやっているのか、なにを。最近、相方の体調がとみにすぐれないので、なにかこう、催し的なものでテンションを上げてもらおうと思っていて、ぼくも食べたかったのでチョコを整えてみたのだけれども、ぼくが今日はとことん抜けているというか、ぼーっとしているところがあって、しかたがないので一人で鍋をつくって食べることにして、食べて、食べたあとにしごとをしていると相方が返ってきたので、これみよがしにチョコをアピールすると喜ばれることができ、まぁひとまずよかった。蕪木のチョコは、びっくりするほど美味しくて、カカオ70%なのにぜんぜん苦くないというか深みがあり、これはコーヒーの深煎りみたいなところがあるねぇ、コーヒーとチョコは奥が深いねぇ、と相方と感心しあっていた。

 夜に『出版流通史』をまた久しぶりに引っ張り出してきて読む。明治~大正にかけて創業した出版社の紹介がえんえんと続いていてだんだん眠くなってきたので、30分くらいで閉じて就寝。

2019年2月15日(金)
 相方が早めに出る、というので一度起きて、それからずっと起きていればいいのにまた寝てしまって寝すぎたなと思いながら家を出て、蔵前の店に向かう。出荷を済ませてそのまま移動し、ぽちぽちとPCの前に座って、チラシ、イベント告知のものと、重版のご案内のものを作る。今日はすぐ対応しないといけないようなメールがほとんど来なくて、作業が進むなぁ、嬉しいなぁと思ってふと時計を見ると既に18時ごろとなっており、時間に換算してみると作業はぜんぜん進んでおらず、ただ時計を見ないで集中していただけで、集中、というといいイメージだし、実際良かったのだろうけれども、だからといって作業が捗るわけではぜんぜんなかった、という事実に愕然としつつそこからは溜めているインタビュー原稿をつくっていて、それを途中で投げ出して、いま日記を書いている。

 昼過ぎに、印刷会社のグラフィックさんから、ご注文のチラシできたので発送しておきました、よろしく! というメールをいただき、それは11日に入稿完了したもので、10日納期となっていたのでじゃあ20日だなと思って、20日に向けて準備していた冊子のそれで、「え、はやい」と困惑したが、10日納期ではなく、10日以内の空いた時間になんかどんどんつくりますね! という意味合いなのだろうということで合点して、早く着くならまぁいいかと納得されたが、しかしそれともこの発送分が20日に着くのだろうか。わからないが、なんだか急いだほうがいい気がしてきたので、同時オープン予定のwebサイトの商品登録をぽちぽちやった。やったといっても出来る範囲でテキストを書いていく、という作業で、一つづつ地道に進めるしかない。それで進めていて、それを途中で投げ出して、いま日記を書いている。

 今日はあんまり本が読めなくて悲しいなと思いながら、しかし、夜に「けものフレンズ2」のまだまだ溜まっていた分と「ジョジョの奇妙な冒険」を見てそれで本も読まずに夜更かししている。

2019年2月16日(土)
 グラフィックからのチラシが無事に、というか、発送日準拠で先程届いて、通常の制作スケジュールだと平日着になっていたので自宅を届け先にしていたのだけれど、結局土日に着くことになり、うわーこれなら最初から店に届けてもらえばよかった、と思うがたまたま土日に着いただけで、良いとか悪いとかの話ではなかった。それでしかし早めについて嬉しい、ということにはなるので、早速開封して、面付けが間違っていないかどうかひとまず1冊つくってみたところ、ちゃんと合った! ちゃんとページの裏表を合わせることができた! と、とにかく安堵した。これがずれてしまうと刷り直しになるのでとにかく安心して、そこから印字などをチェックすると、印刷自体はしっかりしたもので、紙のイメージもそのとおりに出ていたので、というか知っている紙に黒一色で印刷しているので、そのとおりになるだろうとは思って履いたが、そのとおりに印刷されていて、こちらも安堵した。今日はこれを延々と冊子にしていけばいい、ということになったので、店番中にやってしまおうと、紙を早速店に持っていくことにして、しかしダンボール、A4はともかくA3が500枚入ったダンボールはちょっとした重さと大きさで、原付で運ぼうにも、原付の荷台にはすでに荷物が入っていたため載せることができず、どうしたものかと思案して、荷台ではなく膝上に乗せていくことにした。こういう無茶をいつも、いつまでもしようとしてしまっていて、それでいざ、と乗り込んだところ明らかに無理! という状況で運転できたものではなかった。ダンボールの高さがありすぎてハンドル部分まで及んでしまい、それでカーブも曲がれない、みたいな状況で、流石に諦めて、原付を車庫に戻して、手で店までもっていくことにした。幸い重いけれども、無茶じゃない、という重量で、無茶じゃなければ大丈夫、という精神で駅まで担いで歩いた。それ自体は実際に無茶ではなく、よく納品や本の移動でダンボールを担いでいるので慣れたものだったのだけれど、原付で試行錯誤している間に思った以上に時間が過ぎてしまっていたようで、電車に乗り込んだ時点ですでに12時近い時間となってしまっていた。わー、ごめんなさい、ごめんなさい、と開店が15分ほど遅れる旨をツイートして、きっかり15分後に店を開ける。

 それで、しばらくだれもいらっしゃらない。いらっしゃらないので、寂しくPCに向かうことにして、百書店大賞の応募のお返事をしていくことにした。昨日締め切ったそれは、駆け込みでたくさんご応募いただき、どうやら65名ほどの応募があるみたいで、その方々に、イベントの詳細と今後の予定をお返しすることにして、テンプレのみなさま共通のご案内を書いたあと、なんというか、この、ひとりひとりの選書が素敵だなと思って、思ってしまって、それで一斉送信をやめて、それぞれコメントをつけてお返事していくことにした。していくことにした段階で、なんとなく察しがついていたが、65名、一人3分で195分で3時間弱、というもので、一人3分ではすまないであろうことも想定されたので、今日の店番中はこの作業だなと思って、そのままぽちぽちとメールをお返ししていた、ところまたものすごく集中することができ、そして16時現在、あと20名ほどという状況で、そして、お客さんがこない! ぜんぜん来ていない! 店番なのにメールに集中できすぎている! と気づきうろたえる。そういえば13時ごろに数名入ってきてくださり、そのうち一名の方のお会計をした。そこまでは記憶にあり、そこからの入店の記憶がなかった。これはなかなか、メールの作業をしていなければとても閑散と、寂しい一日になっていたはずの状況で、だとしてもいまからできることはないので、今日はもうダメであろうという気持ちでいると、お一人知り合いの方が入ってきてくださり、ビジネスの研修教本をどう売るか、みたいなお話をしていると、急に数名の方が入ってきて、結果的には4名の方にお買い上げいただく日になった。客単価が高かったので、売上自体は壊滅的、みたいなことは免れたが、なんだろう、ぼくが根を詰めている感じが階下まで伝わってしまうのだろうか、この客入りは、という感じで、気楽に店番することが求められているのか、そうなのか、と思ったが、完全に思い違いだしただの店の実力だった。それから、閉店後に残りの方にメールするとすっかり65名にお返事することができたので満足して、店を締めた。

 結局、冊子の折り込みがぜんぜんできなかったので家に帰るとそのまま折り込みに転じ、それは全部もっていくと家で手持ち無沙汰、というか、PC触りたくないな、みたいなときにできる作業としては最適だな折り込みは、と思ったので残しておいた分で、その分をさっそく折り込んで折り込んで折り込んでいった。途中で晩ごはんをつくって食べ、それでまた折り込んで結局150部くらいだろうか、折り込んで、いやーぜんぜん終わらないなこれ、と思って時給1000円で計算すると、たぶん一つ20円くらいのペースだな、内職でお願いするとしたらたぶん10円くらいだな、というペースで、そういう変な時給計算などをしながら一時間半くらい飽きもせず折り込んでいた。

 ちまちまとした作業ばかりしているな今日は、というところで目がしぱしぱしだしたので、おとなしく眠ることにして、また本も読まずに眠る。

2019年2月17日(日)
 遅くに起きてゆるゆると家をでて、店を開ける。今日もゆっくりとした一日で、ぽつりぽつりといらっしゃるお客さんを見守ったり、お話をしながら過ごしている。新刊の品出しをして、昨日は店ではできなかった冊子の折り込みをする。折り込み折り込み、昨日家でやったのはA4のもので、今日はA3に取り掛かっていて、両方とも同じA6のサイズに折り込んでいくので、A3は一回分折り込みが多い。その多さは、大量に作業するときにはてきめん、作業スピードに影響を与え、やってるわりにはぜんぜんできてない、みたいな印象を植え付けられている。なおかつ、A3の方が折り込んだ際の厚みがあるので、できた分を積み上げて積み上げて、積み上がった―と思ってから数えてみると、ぜんぜん数がなく、思ったよりできてない、となんだか無駄に落胆する、というようなこと考えながらずっと折り込んでいた。定規で、ピシっと、紙を折り込み技術に長けてきた感じがあって、ピシ、ピシ、としながら折り込んでいる。ピシ、とできると楽しい。

 そうすると、お客さんが途切れる瞬間があったので、いまだ、とばかりに店の奥の雑貨スペースで、webショップ用の物撮り写真を取り始めた。手元のデスクで撮れるものは撮るが、Tシャツは大きいのでスペースが必要で、本当は朝早く来てやろうと思っていたがゆるゆるしてしまったので時間がなく、しかし今日は閉店後にすぐ向かう予定もあったため、いま! しか! と思い、次のお客さんが来るまで、と急いで写真をパチリした。雑貨は写真だけではサイズがわからないだろうと、文庫本と一緒に撮ることにして、そうするとトートバッグで「poetry」であるとか「philosophy」であるとか、本のジャンルのロゴがついているものがあって、せっかくだから、これはそのジャンルの文庫で写真を撮ろうと店を見て回って楽しく作業していて、そうすると「mystery」とあり、ミステリーねぇ、SFならたくさんあるんだけどなぁと探して探して、しかしなく、ミステリー、うーん、と探して探して『消えた少年たち』が手に取られ、つまりタイトルがミステリーっぽい! という理由で、まぁしかしちょっとミステリー要素もあるし大丈夫だろう、それになんど、なんど読んでもぼくは泣きそうになってしまうくらい大好きな小説なので、それで良しとして、撮って、一難去ったなと思い次のトートを手に取るとそこには「Romance」とあり、完全に詰んだ。

 楽しく写真を撮っていると、一段落、撮りきったと思う瞬間が訪れ、それで時計を見ると16時、とあった。16時! 僕が一時間半くらい楽しく写真を撮っている間に、どなたの来店もなかった、ということでこれは憂慮すべき事態だった。昨日と今日はもうダメだろうか、2月は寒いし調子の良い月ではないけれども、と沈んでいるとお一人、お二人入ってきてくださり、多少の売上を上げることができた。昨日もそうだったし、ここ数週間もそうなのだけれども、来店のピークタイムが15時前後から、16時ごろ、にずれている気配がある。何かあるのだろうか、夜遅くまで蔵前で楽しく過ごす場所が増えているのだろうか、きっとそうだろうし、それは嬉しいことだったし、来店はとてもありがたいことだった。

 それで締め、相方との待ち合わせに向かい、文房具を買ったり、ベトナム料理などを食べて帰る。相方はキャッシュカードの切り替えのタイミングでいま現金がおろせない、というので、よしよしおじさんが出してあげよう、と無駄に鷹揚な態度で財布を開いたところぜんぜんお金が入っておらず、しかもお札入れを家に忘れてきたようで、本当に入っておらず、ないー、2人で合計所持金1000円くらいしかないー、とケラケラ楽しく笑って、ベトナム料理はカードで会計して出、にもかかわらず僕が秋葉原のブックエキスプレスで『プロ野球選手名鑑2019』を見つけてしまい、540円で買って、それで相方が駅のホームのケーキ屋さんでケーキを買いたそうにしていたので、よしよしおじさんが買ってあげよう500円以内で、と鷹揚に財布を取り出し、400円くらいのケーキを買って帰った。楽しく過ごした。
 家で『プロ野球選手名鑑2019』の表紙に皮肉が効いていて面白く、それでその写真を撮ろうとiPhoneのカメラを向けると、表紙にある12球団の全選手の顔認識をしはじめ、めっちゃ同窓会っぽいし、パリピっぽいし、Facebookでこれはあなたですか? とか言われちゃうやつだなと思って楽しくなっている3時。

(カメラに収めると大量の顔認識が発生し、
だれでも気軽にパリピ気分があじわえる)


#READING  「読書日記」(fuzkue、配信)
#READING  『SFが読みたい!2019年度版』(早川書房)
#READING  『日本出版販売史』(橋本求、講談社)
#READING  『プロ野球選手名鑑2019』(ベースボール・マガジン社)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?