2018/05/26

ちょっとだけ生々しいことを書きます

先日、ヒデキが入神なさった

古いと言うにもほどがあるけれど、カネゴンが2000年に最初に開設した手書きHTMLブログサイト「あけてくれ」は、元々歌謡曲バンドだった

レパートリーの中心は言うまでもなくヒデキで、カネゴンはキーボード担当であるにもかかわらずマイクもなしで全曲絶唱しながら踊り狂って演奏し、ボーカルでもないのに翌日喉がつぶれたりなんかしていた

ヒデキの曲が中途半端な演奏を許さず、ダイヤモンドが黒鉛に変わるほどの完全燃焼を求められるからこそだったりする

このバンドが結成されたのは、当時べこべこに凹みまくっていたカネゴンに何か力を与えねばと、友人兼隣人のM1号が呼びかけたのがきっかけだった

バンド活動そのものは数回で自然消滅したものの、なんちゃってプロモーション的にバンドが開設した同サイトを少しでも賑やかそうと思ってカネゴンが書いていた同サイトの日記が、なぜか書いても書いても止まらなくなってきた

過去を全否定した当時のカネゴンにわずかに残されていたのは「科学っぽいものが好き」「コンピュータが好き」「電気工作が好き」だけで、ネットにあるそれ系の記事や資料を見つけては「ヒデキ指数」と称してカネゴンの高揚感を数値化するという何だかよくわからないことを書いていた

つぶれたボールのような、破れた唐傘のようなしおしおのカネゴンに、ヒデキがぷうっと熱い吐息を全力で、しかも真剣な眼差しで吹き込んでくれたからこそだった

カネゴンは無我夢中で絶叫しつつ演奏しながら、ヒデキからの時空を超えた熱烈な投げキッスを全身で受け止めていたのかもしれない

その吐息の熱だけは失うまいとカネゴンは目標もないまま冷やご飯のごとくブログ上で自らの再加熱を闇雲に繰り返していたものの、そのままでは黄色いパサパサご飯となってゴミ箱にポイされる日も近いかと思われた

そしてほどなく、カネゴンの運命を変えたのであろう教科書と出会った

さあ諸君、勉強しようではないか勉強を。数学に限らず、凡そ勉強なんてものは、何だって辛くて厳しい修行である。然し、それを乗り越えた時、自分でも驚く程の充実感と、学問そのものへの興味が沸き起こってくる。昔から、楽して得られたものなんて、詰まらないものに決まっている。怠けを誘う甘い言葉は、諸君に一人前になって貰いたくない、という嫉妬である。思い切り苦労して、一所懸命努力して、素晴らしいものを身につけようではないか。

この一文を目にしたその瞬間、ヒデキの吐息の熱が0.02秒で過熱されてカネゴンは瞬時に発火点はおろか臨界点をも通過し、テルミット反応もかくやという超高温に到達して容器ごと爆発気化雲散霧消対消滅し、強いガンマ線と高エネルギー粒子を放出して後には巨大なクレーターを残した

それ以後もブラウン運動のごとくわけのわからない予言不能の道を絶え間なく辿りつつも、そのときの火種はオリンピックの灯火のごとく、今もカネゴンの胸の内でチェレンコフのほの青白い光をゆらゆらと放ちながら連鎖反応を繰り返している

明らかにカネゴンを生かしてくれたヒデキ

カネゴンに点火してくれたヒデキ

どんな感謝の言葉を述べてもまったく足りない

述べたところで怪訝な顔をされるだけだとは思うけど

お疲れさまでした

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