2024/04/30

そしてとうとう可哀想なカネゴンはテンセント版の三体(全30回)までU-Nextで一気に見てしまいましたとさ【即座に解約おれカネゴン】

ネトフリ版とテンセント版のどっちを見るのがいいかというものぐさな質問をネットで山ほど見かけますが、迷うくらいならとっとと両方見ちまえばいいと思います【投げて寄越すはおれカネゴン】

テンセント版は前半のテンポがおそろしく間延びしていて、ガンガンに早送りしてしまいました【こらえの効かぬおれカネゴン】

カネゴンは池上遼一がコマをコピペしているのをいち早く気づいてしまう癖があるのだけど、テンセント版も〆切が厳しかったのか尺を稼ぐためなのか、前の場面の使い回しが多く、ひどいときは20分ぐらい前の場面を丸ごと流すこともあったのも気になりました

その代わり、ネトフリ版ではしれっと流されていた三体協会の女幹部であるシェン・ユーフェイこと申玉菲のお気持ちが非常に丁寧に描写されていて、カネゴンも思わず救済派に入信してしまいたくなるぐらい最も感情移入できました【どこかへすっ飛ぶおれカネゴン】
その分、申玉菲と偽装結婚するウェイ・チョンこと魏成の数学中毒ぶりは「数学者はこういう変人ばかりに決まってる」という世間の思い込みと願望に忠実な仕上がりでございました

同じく、ネトフリ版では誰の子だかもよくわからなくなってしまったヤン・ドンこと楊冬の自殺の理由も丁寧に解き明かされ、これまたネトフリ版ではスカッと爽やかに削られていたイェ・ウンシュエこと葉文雪(イェ・ウンジエこと葉文潔の姪っ子)が後半で大立ち回りを演じ、なおかつ大史アニキをサポートする超絶有能な部下シュー・ピンピンこと徐冰冰とキャットファイト対決させるような安い展開に至らず踏みとどまったことに好感を持ちました【ひれ伏したいのはおれカネゴン】

誰も指摘していないのですが、音楽についてはネトフリ版が文句なしの圧勝です
テンセント版の音楽は、悲しい場面に悲しい音楽をそのまんまかけて端から端まで輪郭を全部なぞってしまう20世紀の映像しぐさがどうしても抜けきれておらず、靴下の上から靴下を履いているような心持ちにさせられてしまいます【パンツにパンツをおれカネゴン】
このあたりはたぶんカネゴンが1回コールドスリープして目覚めた頃には大きく改善されているであろうと期待しております【そのまま廃棄のおれカネゴン】

テンセント版の前半で、人物がやたらめったら駆けずり回って叫んでしまうという演出しぐさが日本のジャンプ系漫画やアニメと同じであることにカネゴン初めて気づきましたが、途中から気づいたのか常偉思(チャン・ウェイスー)  みたいなお目付け役にたしなめられたのかは不明ですが、叫びを抑制するようになっておりました

紅岸基地の機材については、ネトフリ版はかなり時代考証がきちんとしていて当時の技術水準にマッチした年代物のプアな装置のオンパレードだったのだけど、テンセント版のは巧妙に機材のスペックが水増しされていて、アナログ回路で実装できると思えない自動翻訳やら当時あったはずのないIBM-PCとかがコンニチワしているあたりにレッドアーミーへの忖度をそこはかとなく感じてしまったカネゴンでした【トラの尻尾とおれカネゴン】

ついでながら、ネトフリとテンセント版を問わず、あれほどの巨大パラボラアンテナを本当にあんな勢いでぶん回してしまったら、確実に自らの重みと遠心力でバラバラになってしまいそうでカネゴン気になって仕方がありません【君にパラボラおれカネゴン】

テンセント版でおそらく原作に最も忠実なのは、三体人と三体協会に対抗するために世界各国の軍事機関トップが極秘の会議を繰り返す中、中国代表の常偉思が当然のように西側諸国を完全に抑え込んで会議を完全にリードしていたり、大史アニキが生意気な米国軍人をコテンパンにやりこめたりする"痛快"な場面かと思われます【愛国有罪おれカネゴン】
それが原作者の本音なのか季節外れの三角帽子をかぶせられないための懸命のサバイバルなのかはカネゴンにはわかりませんが、テンセント版でうっかりこのシーンを入れ忘れたり痛快さが不足していたら関係者一同が季節外れの三角帽子をかぶってメインストリートを練り歩くことになるに違いなく、もしかするとネトフリ版の改変の真の狙いは常偉思をトマス・ウェイドにしれっと差し替えることでそうした場面をごっそりカットして西側の面目維持のために忖度したのかもしれないとカネゴンは想像しております【邪推と地雷のおれカネゴン】

残念極まるのは、テンセント版の最終回で、あくまで地球人(三体協会)たちが願望を塗り込めてこしらえた想像とはいえ、ゲームの中で三体人たちがしれっと姿を表して黒十字軍の幹部みたいに地球征服計画を嬉々として議論するシーンがあったことでございました
今からでも遅くないので、いつものように党のお力で三体人の姿かたちや声は最初からなかったことにしていただきたく存じます【赤いボタンとおれカネゴン】


しかしカネゴンはその直後、三体の遥かに素晴らしい映像化が進行中であることを知ってしまいました

それが、三体を愛してやまない人々がついカッとなって総力を結集してマイクラで作ってしまった「我的三体(=ボクの考えた三体)」です

第一部は途中くらいまで本当にマイクラだけで作っていたらしく、性別どころか人物の区別もままならず、まことに苦し紛れだったのだけど【あだち充とおれカネゴン】、回が進むに連れて磨き砂で磨き上げたように洗練され、スポンサーが付いて公式認定もされたようで、黒暗森林になってからの完成度の高さは驚異的

マイクラの大史アニキは鬼瓦権造みたいな造形なのだけど、その造形のまま人物の深みがみるみる増していく様子はもはや奇跡

我的三体が並みの同人創作と大きく違うのは声優の水準がどの人も極めて高いことで、愛國戰隊大日本のようなしょぼしょぼのCVとは比較にならず、中国の声優資源の埋蔵量が極めて豊富であることを痛感できます

第一部ラストに相当する上の「第一季11集」では、何と三体人がまったく普通のマイクラ人間の姿で登場して普通に会話しているのだけど、これについては実に不思議なことにカネゴンの心は一も二もなく諸手を上げて賛成いたしております【手のひら返しのおれカネゴン】

ネットで拾った我的三体を見る限り、今のところセリフと字幕は基本的に中国語で、惜しくも英語字幕はあったりなかったりするのだけど、水滴による完全に一方的な歴史的大敗北の場面といい、ルーブル美術館でルオジーの愛が成就する場面の繊細極まる尊い表現といい、真の軍人と呼ぶにふさわしいジャン・ベイハイこと章北海と艦長の東方延諸の胸に迫る最期といい、何から何までマスターピースと呼ぶにふさわしい出来

中国語版の字幕を読むときは、西洋人の中国名表記を押さえておくと何かと便利です

  • 牛顿: ニュートン

  • 莱布尼茨: ライプニッツ

  • 伽利略·伽利莱: ガリレオ・ガリレイ

  • 诺伊曼: ノイマン

  • 哥白尼: コペルニクス

  • 庞加莱: ポアンカレ

  • 爱因斯坦: アインシュタイン

  • 高斯: ガウス

特に第二部最大の見せ場である水滴の場面は、ベートーヴェンの「運命」を最初から最後までかけるというベタベタな選曲であるにもかかわらず、それが地上最強と呼んでもよいぐらいのベストマッチになっていて、カネゴンはうなり声をあげながら舌を巻いてしまいました【尻尾も巻くのがおれカネゴン】
商業ベースで三体を映像化しようとしているプロダクションには、恥ずかしくて絶対不可能な選曲であるとカネゴンが認定いたします

本当は我的三体の動画を片っ端からここに埋め込みたい気持ちなのだけど、すぐ見つけられるので、誠に恐縮ながら皆さまの方でおググりください【創作敬語とおれカネゴン】

スター・ウォーズの歴代登場人物の中で最も演技力が高いのはR2-D2とC-3POであることはカネゴンの中でだけ確かであり、パペットマペットの演技は5割増しになるのが世の常です
マイクラのほどよい抽象化が、我的三体の登場人物の個性をむしろ際立たせ、三体人たちを何の違和感もなく映像化できているのもこれと似た現象なのだろうとカネゴン考えております

我的三体の第三部はここ4年ほどずっと制作中らしく、そのうち日本語化されるかもしれないししれないかもしれませんが、今後はこちらのみを賞味すると決心を固めました【三枚舌のおれカネゴン】
あくまでカネゴンの予測ですが、我的三体の第二部第三部には、ネトフリ版もテンセント版も勝てないでしょう【希望と願望おれカネゴン】

今のところ我的三体の第三部の進捗がまったくネットに見当たらないけど、それだけ第三部「死神永生」の映像化が難しいのは十分理解できるので、気長にお待ちしております【苔のむすまでおれカネゴン】

と思ったけど、唯一あがっている第三部の予告編を見つけました

トマス・ウェイドの造形といい紙の船の描写といい、妙にネトフリの映像に似ているのが気になってしまうカネゴンでした
我的三体の制作者たちがネトフリ版につい影響されてしまって絶賛作り直し中なのか、それとも逆にネトフリ版に似てしまっては我的三体の沽券にかかわると負けじ魂に火が付いて絶賛作り直し中なのか、それとも他の理由があるのかはわかりませんが、4年経っても公開の気配がないところを見る限りでは、やはり並みのSF長編10本分のアイデアがこってりと盛り込まれている第三部を映像化するという産みの苦しみの大きさは相当なものがあると想像しております【会陰切開おれカネゴン】








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