ぽっけノート

「ぽっけ」ことスギヨシ ハチと申します。自作の小説を公開しています。 以前はYahoo…

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「ぽっけ」ことスギヨシ ハチと申します。自作の小説を公開しています。 以前はYahooブログでのんびり活動していました。 面白い企画なども一緒にできたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。 (※作品の著作権は筆者に帰属します)

マガジン

  • 短編など

    短編作品をとりあえず収納。 あんまり短くないものもまじっているかもしれませんが。

  • ポケットのなかみ

    作品以外のこと。あとがきや作者のひとりごとを放り込んであります。

  • ナンカヨウカイ

    緋山まひるは正真正銘の化け猫。 一名を除き、妖怪ばかり所属する便利屋「ナンカヨウカイ」の従業員として、理不尽な所長に日々こき使われる日々。 今日も所長の一声で、まひるは同僚の河童・渡と、唯一人間の高校生巫女・姫子とともに調査を開始する!

  • 星降る町の物語 ◆完結◆

    不思議な風琴弾きがいざなう、『ほんとう』を探す旅。 まるで童話の舞台のような、美しいレンガ造りの町に隠された『秘密』とは? 本が大好きな主人公・アイリスと一緒に、少しだけ冒険してみませんか? ◆長編ファンタジー。全34章と長めですが、1つの記事は短めなので、気楽に読んでいただけると思います♪

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◆タイトルをクリックすると目次が開きます。 星降る町の物語 【全34章 完結】 不思議な風琴弾きがいざなう、『ほんとう』を探す旅。 まるで童話の舞台のような、美しいレンガ造りの町に隠された『秘密』とは? 本が大好きな主人公・アイリスと一緒に、少しだけ冒険してみませんか? ナンカヨウカイ 【「折る」完結】 緋山まひるは正真正銘の化け猫。 妖怪ばかり所属する便利屋「ナンカヨウカイ」の従業員として、理不尽な所長に日々こき使われる日々。 今日も所長の一声で、まひるは同僚の河童・

    • ナンカヨウカイ「折る」あとがき

      お久しぶりとなってしまいました、スギヨシです。 いきなり夏本番で、皆さま体調はいかがでしょうか。 さて、やっとのことでナンカヨウカイ「折る」完結までこれました。 途中で会社が繁忙期に入ってしまい、なかなか更新ができずにいました。 楽しみにしてくださっている方、お待たせしてすいませんでした。 「折る」いかがだったでしょうか。 今作の主人公、まひるは化け猫です。 クールなようで人懐っこく、無関心に見えて実は情に厚く、めんどくせえと言いながらきっちり仕事はこなす……まひるの性格

      • ナンカヨウカイ「折る」⑪

         明け方近く。  俺たち3人は、病院にいた。  こんな時間にもかかわらず、シュウは起きていた。  痩せた体を起こして、白いベッドの上にぽつんと座っていた。  ……眠っている間に済ませようと思ってたんだけどな。 「お兄ちゃんたち、だれ?」  そう言ったシュウの目は、どこか投げやりに見えた。  なかなか良くならない病状か、坂本の呪いのせいか。  目の下には痛々しいほどに青黒いクマができている。 「お前、加賀谷みゆって知ってるだろ?」 「みゆちゃん、知ってるよ」 「俺、み

        • ナンカヨウカイ「折る」⑩

          「どいつもこいつも、俺を無視して騒ぎやがって! ガキ共もそうだ。授業中でもおかまいなしに騒ぎやがる。ちょっと怒ったら、バカな親から厳しすぎるだの行き過ぎた指導だのと言われる。お前らに俺の気持ちが分かるか? ええ?! 親も教師、ジイさんも教師、俺も教師になったものの、毎日毎日ガキの世話! やつらは夏休みでも、俺は仕事、仕事仕事仕事! ふざけやがって!」  こんな長台詞を、坂本は一度も噛まずにまくしたてた。大したもんだぜ。ま、内容はタダの責任転嫁でしかねーんだけど。 「確かに

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        • 短編など
          1本
        • ポケットのなかみ
          4本
        • ナンカヨウカイ
          12本
        • 星降る町の物語 ◆完結◆
          35本

        記事

          ナンカヨウカイ「折る」⑨

           時刻は夜中の1時。  花咲プールアイランドの入口前で、その男は何かを探している様子だった。 「こんばんはー。花咲小学校1年3組担任の坂本先生、だよねー」  突如響いた声に、男はびくっと全身を震わせて、反射的に振り返る。 「ごめんごめん、驚かせちゃったー」  へらへらと笑っているのはワタル。 「こんな夜中に探し物ですか?」  にこりともせず、そう言ったのは姫子。 「あなたがたは……?」  坂本は怪訝な顔でこっちを見据えている。 「こんばんはー。便利屋『ナンカヨウカ

          ナンカヨウカイ「折る」⑨

          ナンカヨウカイ「折る」⑧

           小学校近くのたばこ屋。  俺は猫の姿のままで、窓口の下からニャーと鳴いた。 「なにがニャーだよ、可愛い子ぶっちまって」  そう言いつつ窓口から顔を出したのは、真ん丸メガネをかけた小柄なバアさんだ。 「おっ、出たな化け猫ババア」 「ふん、お前も化け猫だろう。用があるならさっさと入りな」  お言葉に甘えて、俺は窓口から中へと飛び込んだ。  ハルさんっていうのは、このバアさんのこと。  この町に暮らす連中のことで知らないことはないという、凄腕の情報屋だ。  ちなみにハ

          ナンカヨウカイ「折る」⑧

          ナンカヨウカイ「折る」⑦

           捜査の基本、現場百回。  ってことで、俺は虎猫に姿を変え、手始めに花咲プールアイランド周辺で聞き込みを開始した。相手はもちろん、近所の野良猫どもだ。 「おはよう、お前ら」  俺がたまり場に顔を出すと、2匹の野良がニャーとあいさつを返した。 「なんだい赤虎、仕事か?」 「まあな。お前らに聞きたいことがあるんだけど」  俺は、ラッパみたいな妙な鳴き声を聞いたことがないかと訊ねた。  2匹は顔を見合わせて、首をかしげている。 「聞いたことないなあ」 「そうか。じゃあ、変

          ナンカヨウカイ「折る」⑦

          ナンカヨウカイ もくじ

          緋山まひるは正真正銘の化け猫。 妖怪ばかり所属する便利屋「ナンカヨウカイ」の従業員として、理不尽な所長に日々こき使われる日々。 今日も所長の一声で、まひるは同僚の河童・ワタルと、唯一人間の高校生巫女・姫子とともに調査を開始する。 ※数字をクリックするとページが開きます。 「折る」【完結】  ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪

          ナンカヨウカイ もくじ

          ナンカヨウカイ「折る」⑥

           翌日、俺は朝早くから事務所へと向かった。  事務所の中ではひとり、ワタルがヘッドフォンで音楽を聞いていた。  なんだよこいつ、早起きだな。 「あ、まひるっち。おはよー」 「おっす。姫子いる?」 「んー、来てないよー」 「ったく、肝心な時にいねーんだから。補習だかなんだか知らねえけどさ」 「補習じゃないわよ、夏期講習!」  りんと響いた女の声。  見ると、事務所の入り口で腕を組んで仁王立ちになってる背の高い女がひとり。  こいつが本城姫子(ほんじょうひめこ)。うちの事

          ナンカヨウカイ「折る」⑥

          ナンカヨウカイ「折る」⑤

          「やあやあ、まひる。おかえり」  ぼさぼさの頭でふらりと起きてきたのが、加賀谷衛(まもる)。  みゆの父親で、俺の親友だ。  年を取らない妖怪の俺と、人間の子供だった衛。なぜだか妙に馬が合って、もう30年近い付き合いになる。  出会った頃はまだあどけないガキだったのに、今やすっかりヒゲ面のおっさんになっちまった。今は大学で民俗学を教えているとか。 「はい、パパの分」 「おー、おいしそうだね。ありがとう、みゆ」  みゆからカレー皿を受け取るとき、丸メガネの奥の目が、きゅ

          ナンカヨウカイ「折る」⑤

          ナンカヨウカイ「折る」④

          「まひるっち! まひるっち!」  ……うるせえ、何だよ。 「ああ、まひるっち。乱暴で人使いが荒かったけど、けっこういい奴だったのに……安らかに眠ってね」  おい。 「勝手に殺すな、アホ河童」 「あ、おはよ」  目をあけると、ワタルのへらへらしたツラが見えた。  どうやら気を失っている間に、事務室に運ばれたらしい。 「おい、ワタル。ふざけんじゃねーぞ。何が『俺にまかせてよ!』だ。さっさと助けに来いっつーの」 「やだなぁ、ちゃんと助けたよ! まひるっち以外のヒトたちは

          ナンカヨウカイ「折る」④

          ナンカヨウカイ「折る」③

           逃げるように事務所を飛び出した、その1時間後。  俺はプールサイドにぼんやりと座っていた。  今回の仕事は、ここ『花咲プールアイランド』の監視員だ。  プールといえば「長方形の水たまり」という俺の認識は、いつの間にか古臭いものへと変わっていたようだった。  ドーナツ形のプールではぐるぐると水がめぐっているし、海みたいに波が立っているプールもある。おまけにジェットコースターよろしく、信じられない高さからうねうねと続く滑り台まである。  そして一番驚いたのは、それらがすべて屋

          ナンカヨウカイ「折る」③

          「星降る町の物語」もくじ

          全34章、完結。不思議な風琴弾きがいざなう『ほんとう』を探す旅。 まるで童話の舞台のような、美しいレンガ造りの町に隠された『秘密』とは? 本が大好きな主人公・アイリスと一緒に、少しだけ冒険してみませんか? ※各章のタイトルをクリックするとページが開きます。 第1章 イフェイオンという少年 第2章 風琴弾きのヘスペランサ 第3章 ほんとうは、ほんとう? 第4章 出会い 第5章 怪盗リューココリネ 第6章 守護隊長イキシオリリオン 第7章 魔女 第8章 窮地 第9章 選択 第1

          「星降る町の物語」もくじ

          ナンカヨウカイ「折る」②

           窓の外から中をのぞくと、ジーパンに包まれた長い脚が見えた。  足を高く組んで腰掛けているソイツは、何やらチャラチャラと装飾のされた、先のとんがった靴をはいている。  なんとなくムカついたので、俺はそのヒザめがけて、ツメを出したまま窓から飛び込んでやった。 「いっ、痛たたたたたっ!」  みっともなく悲鳴をあげたソイツからひらりと離れると、俺はそのままズブリと影に潜り、再び人の姿へと化けた。 「ひどい! まひるっち、何すんだよ!」 「おー、悪いねカッパくん」 「もー! そ

          ナンカヨウカイ「折る」②

          ナンカヨウカイ「折る」①

           やれやれ、今日も暑くなりそうだ。  ショッピングモールの屋上。立ち入り禁止なので、当然誰も入ってこない。俺は柵に体を預けて、早朝の町を見下ろしていた。  夜明けからさほど経っていないため、空気はまだ涼しい。俺はぼんやりと眼下に見える交差点を眺めていた。そこに誰もいなくても、信号は律儀に青に変わるのだ。  バサ、と羽音がした。カラスが一羽、舞い降りて来る。 「おはようございます、赤虎の旦那」 「よう、クロノスケ」 「今日もまた、暑くなるんですかね。あっしら黒い連中は、こ

          ナンカヨウカイ「折る」①

          星降る町の物語 あとがき

          ぽっけです。 「星降る町の物語」全34章、完結しました! とはいえ、この物語は10年くらい前に、以前ブログで発表した作品でした。つまり、新しく書いたわけではなく、引っ越しですね。 引っ越しがてらとはいえ、細かい手直しをしながら読み返してみると、なんだかとても懐かしかったです。 まあ、文章はどうしようもなく拙いんですが……。 上手いとか下手とか関係なく、小説を書き始めて間もないころは、ただワクワクしながら作品を書いていたことを思い出しました。 元ブログの終了はショックでし

          星降る町の物語 あとがき