「なんか違う」と言われないためにデザイナーができること

「イメージと違います」
これはデザイナーが一番言われたくないし、言われると悲しくなるワードだと思います。

私も今までこの言葉を聞くと「自分のスキル不足が原因だ・・・」と落ち込んでいましたが、最近、この原因は2つに分類できて、そしてそれは全く別物のスキルだと気付きました。

①ゴールとなるイメージを、技術不足により再現できていない
②ゴールとなるイメージを、依頼者と共有できていない

①は技術的な絵作りの力
②はコミュニケーションの力
なので、イメージと違いますと言われたとき、デザイナーだと①の方に原因を見出してしまいがちですが、②の方が実は重要なんじゃないかと思い始めています。

なぜなら②が土台としてないと、①のスキルがどれだけ高くてもゴールの方向がずれてしまうから。

逆に②がめちゃくちゃしっかりしていれば、多少の技術不足はデザイン後のコミュニケーションでカバーして軌道修正していくことができると感じてます。

では、どうすればゴールのイメージをお互いしっかりと共有できるのか?

可能であれば依頼する側が齟齬のないようにデザイナーへ希望を伝えるのが理想的ですが、それを求めると誰と仕事するかによってクオリティが左右されてしまうので、今回は「デザイナー側でできること」にフォーカスして、私がやってることを書いてみようと思います。
(正解はわかりません。あくまで私個人の意見です。)

1.絵で共有する

特にデザインにあまり詳しくない人、
イメージがまだ具体的にできていない人に対して有効な手段だと思うのですが、すでにあるイメージに近いものを引っ張ってきて、そこから参照していくやり方です。

時間があまりなければ参考サイトのをいくつか探してそれを共有しますが、もっと精緻にすり合わせたい場合はピンタレストにボードを作って、それごと共有する場合もあります。

絵で共有する場合、言葉で説明するよりも簡単に抽象的なイメージを共有できるメリットがありますが、逆に参考のイメージが強すぎて、そこに引っ張られてしまうリスクもあります。

なのでこの手段を使う場合はなるべく多くのサイトをピックアップして、特定のものにイメージが偏らないようにしています。

ピンタレストで共有する場合、ピンの数は大体20〜30個ぐらいでしょうか。
それくらい十分に集めた上で共有できれば、方向性として大きくずれることは少ないと思います。

2.確認のタイミングを早める

まだ未完成の状態で見せるのを嫌がるデザイナーさんもいると思いますが(私は途中で見せたくないタイプでした)、確認の頻度を上げると円滑に進むケースもあると思います。

作り途中のデザインを見せる場合、どの段階で見せるのが一番良いのか?いつも迷いますが、ざっくりとしたイメージが湧くレベルまで作ったらデザインの細かい部分はさておき「方向性」だけ確認してもらう。

一見遠回りというか、時間のかかる進め方のように感じますが、デザインに対してこだわりが強い人が確認に入る場合や、デザインの方向性が決まりきらずに制作を着手することになった場合、この方法が一番大きな出戻りがなく確実に進められる印象です。

また、早い段階で見せるとデザイナー側としても周りの意見を受け入れやすいので(作り込んでしまうとどうしても愛着が湧いてしまいますよね)、周りを巻き込んで一緒に作っていく空気を醸成しやすい利点があります。

一人で作っていると愛着を持つのは自分一人だけですが、共有→意見をもらう行為をスピーディに挟むことによって、愛着を持ってもらう人を増やす。そうすると最後の方になって反対する人が急に出てきてひっくり返し、みたいな結末は起こりにくいと思います。

私は仕上げた状態で見せたい気持ちが強いのでこれが苦手ですが、常に周りの意見を吸い上げるスタンスで走り続けられるデザイナーさんは信頼もされるし、頼みやすいので生き残る力が高い気がします。

3.パターン出しをする

2の発展型かもしれませんが、ラフ共有の際に、数パターン用意することで
相手のニーズを引き出す方法もあります。

このパターン出しに、デザイナーさんのセンスとコミュ力が滲みでるな〜と感じるのですが、

例えば全く方向性が定まっていない場合には、あえて全く違う世界観のパターンを大きく3つ用意して、相手のイメージを引き出す。

ある程度方向性が定まっている場合は、レイアウトや使用する写真違いでパターンを用意して、さらに具体的なトンマナを深掘りする。

という感じで、「相手が何を悩んでるのか?何を確認したいのか?」
に応じて適切なパターンを出しができると、対話の中でうまくニーズを引き出せるように感じます。

注意点として、パターン出しする際に
・相手に何を確認してもらいたいか
・その中で自分の推しはどれか

が定まってないと、相手が答えにくかったり論点が多方面に飛んでしまって逆に混乱させることになるリスクがあります。

自分も悩んでいて議論につなげたい場合は良いですが、スムーズにすり合わせするにはある程度自分の軸を持ってぶつけることがすごく重要だと思ってます。

「そんなのは良いからよしなに良い感じに作っちゃってよ!」というデザイナー全面任せ型の人もいるので、パターン出しは合う合わないがあると思いますが、デザイナーだからこそできるコミュニケーション手法なので、擦り合わせに大いに活用できると思います。

4.言葉で聞く

これはそのままの手段かもしれませんが、絵で共有したりラフを何度も見せる時間がない場合、なるべく確認の精度を上げられるような質問をするようにしています。

例えば
「女性受けの良いデザインにしたい」という要望があった場合、
その女性の年齢層はどのくらいなのか?
どんな嗜好の女性なのか?
その女性にどんな気持ちになって欲しいのか?
と、「女性受け」の内訳を深掘りする。

全て明確に答えてもらわなくても良いんです。

具体性を確認することで依頼側もイメージを明確にすることができますし、
同じ「女性受け」でも全く違う世界観になり得るということを伝えるきっかけになります。

また、言葉で聞く際のポイントとして、
「これがイメージです」
を聞くのではなく
「これはイメージと違う」
と、消去法で聞き出すのもアリだと思います。

というのも、人って不思議と
「どうしたいですか?」
「何が希望ですか?」
と聞かれるよりも
「何がダメですか?」と質問された方が答えやすいと思うんです。

明確なイメージがなくて、具体的な回答が得られない場合でも、
「こういう表現はありですか?」
というピンポイントな問いを投げかけると、OK/NGの境界線が次第に浮き彫りになってきて、徐々に要望が見えてくることもあると思います。


以上、今回私がイメージをすり合わせる上で意識していることを書きましたが、今も日々試行錯誤しながら模索している状態なので私も何が最適なのか分かりません。
コミュニケーションって、本当に難しいです。
(個人的に、デザインより難しいかもしれない。。)

ただ言えるのは、伝えたいことが伝わっていないまま、または認識がずれた状態で進んでしまうのはお互い損だということ。

あまりデザインに詳しくない人、
デザインに強いこだわりがある人、
言葉でイメージを伝えるのが苦手な人、
自分も積極的に制作に参加したい人
デザイナーに全部任せちゃいたい人、
今まで色んな方からデザインの依頼を受けてきましたが、どんな人も「良いものを作りたい」という気持ちは一緒なはず!

なるべくその人の本当のインサイトを引き出しつつ、寄り添えるデザイナーでありたいなーと思っています。

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はちこ

アート×デザイン=クリエイティブ

アートとは「自己表現を通じて鑑賞者の感情を励起する装置」であり、デザインとは「機能や目的に向けてユーザーの行動をアフォードする装置」である。故に両者の総和たるクリエイティブとは「暗黙知を通じて人々に新しい知見や体験を与えるプロダクトを生む活動」に他ならない。
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