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形は違えど、愛は、愛。『愛がなんだ』

本日紹介する映画は、今泉力哉監督『愛がなんだ』です。

テルコ(岸井ゆきの)はマモル(成田凌)に一目惚れしてから、マモル中心の生活をおくります。何があってもマモルを近くに感じられることが、テルコにとってこの世の全ての幸せなのです。だけど、マモルにとってテルコは都合のいい女以上の何ものでもないのです。「好き」とは伝えられないまま、それでも二人は急接近します。しかし、また二人の距離は離れ、マモルはすみれさん(江口のりこ)という年上の女性に恋をし始めたのでした。テルコの友人であるナカハラ(若葉竜也)と彼が一途に思い続ける葉子(深川麻衣)を巻き込みつつ、「マモルとただただ一緒にいたい」という願いを叶えようとするテルコ。彼女の愛は、どこに向かうのか。


この作品は、「愛ってなんだ?」というのを様々な形で提案してくるものでした。テルコからマモルへ、マモルからすみれさんへ、ナカハラから葉子へ、葉子の母から父へ。愛の形って、人がとやかく決めるものではなくて、結局自分自身が満足ならそれが愛だ、というのを私はこの映画から感じました。

この映画の目を見張るものは、キャスティングではないでしょうか。(こんなことをいうとファンに怒られそうですが)成田凌さんのクズ男役はとても自然だったし、若葉達也さんは情けなさと真っ直ぐさをまとわせたら日本一の若手俳優なのではないか、という演技でした。しかし、何よりも、一番目をひくのは岸井ゆきのさんです。こんなにピュアな恋する乙女を演じられる女優いますか?ピュアすぎるがゆえに、愛なのか恋なのか執着なのかわからない感情でマモルに「付きまとい」続ける演技は、絶対に観ておくべきです!

私の中で最近の邦画は濱口竜介監督『寝ても覚めても』が圧倒的1位の映画すぎて、どうしても比較しながら観てしまいました。衣装の色にもこだわりを感じたり、セクシャルな表現を描かずに愛をうまく表している点で『寝ても覚めても』の方がどうしてもよく作り込まれているなと私には思えてしまいましたが、鑑賞のしやすさとしては『愛がなんだ』の方が勝るでしょう。(どちらの映画も配給しているエレファントハウスはこれからの邦画界に影響を与え続けるのではないか、ととても期待してしまいます。)

この映画については、「メンヘラ御用達」などというレビューが多く観られますが、この映画に登場する様々な愛の形を、「メンヘラ」という一言で片付けていいのかというのは疑問です。人の愛を「メンヘラ」だの「不純」だのカテゴライズするのは、とてもナンセンスではないかと、この映画を観て再認識させられました。

放映時間は123分。現在劇場上映されています。とても「カップルにオススメ」とは言えませんが(笑)、観終わった後に話し合える人と行くと良いのではないかなと感じました。それくらい、観る人によって感想は変わるかと。

「愛ってなんだ?」と考えたことがある方には、きっと頭に入り込んでくる作品かと思います。ぜひご覧ください。


ここから下は「おひねり」記事です。
今日は、イチ大学生が「『愛がなんだ』と村上春樹」について書いています。
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