「私が好きだった人は、みんな何故か居なくなる。」
ずっと、そう思っていた。

大好きな『名探偵コナン』シリーズを支えた、シンガーソングライターの小松未歩さん。
実写版『金田一少年の事件簿』の高遠遙一役で好きになった、俳優の成宮寛貴さん。

アンジェラ・アキさんも、その一人だと思っていた。

中学生の頃、買ってもらったばかりの無印良品のCDプレイヤーで、偶然聴いた『手紙～拝啓　十五の君へ～』（確か、深夜のラジオ番組だったと思う）に心を打たれ、一瞬にして彼女のファンになった。
私の好みを熟知している母は、最初の誕生日プレゼントに、その曲が収録された彼女の楽譜とCDを買ってくれた。
ピアノに飛びついて譜読みをしたし、15じゃなくなってからも、カラオケに誘われれば、歌うのは苦手なりに、CDが擦り切れるほど聴いた彼女の歌を歌った。
2014年、彼女が無期限活動休止を宣言するまで、彼女のCDを買い続けた。

あれから10年。
唐突に、彼女が、帰ってきた。

『この世界のあちこちに』を携えて。

「この小さな紙切れには
どんな場所もどんな人も居場所があるんだ」

そう歌った彼女は、この10年、どんな人生を歩んできたのだろう？

27になった私は、未だに「自分とは何でどこへ向かうべきか」わからずにいるけれど、久しぶりに聴いた彼女の歌は、忘れかけていた子どもの頃の自分、今よりもずっと無限に世界や可能性が広がっていると信じて疑わなかったあの頃を思い出せそうな、そんな感じがした。

みんな、それぞれの事情で、勝手に人生に現れたり居なくなったりするけれど、本当に必要な人は、一度居なくなったとしても、必要なときにちゃんとまた現れてくれるものなのかもしれない。

とりあえず、

またCD買おうかな。

あと、

おかえりなさい。
So happy to see you again!