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【イベントレポート】“サプライチェーン”から“サプライウェブ”へ —商流・物流プラットフォームを使いこなす—

2021年4月13日(火)に「サプライチェーンからサプライウェブへ —商流・物流プラットフォームを使いこなす—」をテーマにオンラインセミナーを開催し、物流事業者を中心に約200名の方にご参加いただきました。参加者からの質問では、「何から始めれば良いのかわからない」や「本当にサプライウェブに移行していった方がいいのか」など、新しい概念であるサプライウェブに対する不安や悩みも浮き彫りになりました。それらの課題をどう乗り越えていくのか、これからの商流・物流プラットフォームをどのように使いこなしていくべきか、今回は株式会社ローランド・ベルガーの小野塚征志氏のプレゼンテーションの一部をお伝えします。

【第1部】 小野塚氏によるプレゼンテーション
「“サプライチェーン”から“サプライウェブ”へ —商流・物流プラットフォームを使いこなす—」

小野塚氏は、ものづくりの機動化やライフスタイルの多様化によりサプライチェーンを取り巻くさまざまな業界環境が変貌しつつあり、COVID-19の流行はさらに変化を加速させていると説明しました。

特定の調達先・納品先との固定的な関係を基盤とした供給プロセスであるサプライチェーンから、不特定多数の調達先・納品先と自由に取引することが可能な供給ネットワークのサプライウェブへと進化しようとしていると解説。選択と集中を図る上で、サプライウェブプラットフォームの活用はデジタルトランスフォーメーションを推進するにあたっての第一歩になると主張しました。

小野塚氏は、川上から川下への固定的な「チェーン=連鎖」ではなく、柔軟かつ分散的な「ウェブ=クモの巣」に進化していると言及し、プラットフォーマーになるか、プラットフォームを徹底的に使うビジネスを構築するかを戦略的に考えることが大事であると述べました。

【第2部】 ディスカッション

後半では、チャットに書かれた参加者からの質問をもとにディスカッションが行われました。

―――最初に「フィジカルインターネットとの関係はどのように考えているか」という質問がありました。

小野塚: フィジカルインターネットも、物流をフィジカルにネットワーク化する点で非常に大きな意味を持ちますが、サプライウェブとの決定的な違いはモノの輸送・保管にフォーカスを当てているということです。

販売、出荷、生産計画などの商流もつながらないと、供給のネットワーク全体を最適化することはできません。物流だけでは最適化の範囲が限定されてしまいます。フィジカルインターネットを超える大きな概念としてサプライウェブを戦略的に考えていくことが、より最適化された供給ネットワークを構築することになります。

―――「サプライウェブという新しい概念であり、生産から物流まで複数部署が絡むため、何から進めればいいかわからない」という質問もありました。

小野塚:本業がある中で新しいチャレンジがなかなか進まないというのが最近の多い相談の一つです。一番のポイントは既存と新規をきっちり分けること。兼務ではなく専任をつけて、大きなマイルストーンを描いて戦略的に進めていくのが一つの大事なポイントです。

その上で、一つでもいいのでいち早くクイックヒットをあげるというのも重要です。一つでも二つでもわかりやすい成果が見えたからこそ先にいくことができます。そのために比較的やりやすい部分を選んで始めていくということがとても大事になります。

―――次に、「サプライウェブによって進化する業界と進化しない業界の二極化すると考えています。サプライチェーンを強化するべき業界もあると思うがそこについてはどう考えていますか?」という質問です。

小野塚:おっしゃる通りで業界によって差があると思います。一番進みやすいのはプレイヤーがそんなに多くなく、作るものや売るものがドラスティックに変わる業界。車やアパレル業界が当てはまります。

逆に変化に時間がかかる業界は、プレイヤーが多く、大きなチェンジが起きにくい、例えば食品メーカーは比較的潰れにくく、あまり大きな変化がないため時間がかかります。なかには引き続きチェーン構造が続く業界もあると思いますが、やはりだんだんウェブ化してきていると思います。

―――最後に、「小さな限られたプラットフォーマーは飲み込まれてしまうのではないか?」という質問です。

小野塚:一極化・集約化が進んでいる国もあれば多様性が問われる国もあります。日本のように多様なプレイヤーが存在する国では、特定の領域を対象とした小さなプラットフォーマーであっても、独自の価値を提供し続けることで勝ち残れます。

トラックの配車はここ、倉庫はここ、という感じで使い分けることもあるでしょう。物流の世界においても、それぞれにきちんと成果を生み出せるプラットフォーマーがたくさん存在する世界観が理想であると考えます。

こうして、オンラインセミナーは終了しました。参加した約200名全員で、「サプライウェブ」へと進化していく物流プラットフォームの構築について知識を深められたイベントとなりました。

今後の物流DXセミナーについて

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