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「古美ていく(ふるびていく)」無垢の床

先日、ある工務店さんを訪れ、お話を伺った際に「古美る(ふるびる)」という表現をはじめて耳にしました。

無垢材を営業・販売するうえで、「経年美化」という表現はよく使っていましたが、「古美る」という表現は、よりしっくりと木材の特性を捉えていて、自分のなかでストンと腹落ちしたのでした。


時間が経って、使い込んで、美しくなる。

古美ていく過程を通して、いっそう愛情が深まっていく。


無垢材は使い込むことで、ぐっと表情が増し、美しくなっていきます。

それはまるで財布やブーツといった革製品のよう。硬かった革が柔らかくなるように、表情が深みを増し、しっとりと落ち着いていくように。


例えば、杉材の床は、使い込んで時間が経つと、日に焼け、年輪が浮造りのように浮かび上がり、艶が増し、風合いが深まっていきます。

また、蓄積された傷や汚れも、暮らしの足跡のようなもの。その足跡には、住むひとの思い出が詰まっています。


工業製品をはじめ、多くの人工物は新品のときがいちばん新しくてきれいです。使い込んで時間が経ち、古くなればなるほど、劣化していきます。
つまり、減点方式のようなもの。100点からすこしずつ、すこしずつ減点されていくものです。


一方で古美るという価値観は加点方式なのだと思います。


無垢の床が施工された時点で、無垢の家具を購入した時点で、100点ではありません。その時点ではけっして完成していないのです。

時間が経つことで、使い込むことで、美しさを増し、味わい深くなっていく。そして、愛情が深まっていくものなんだと思います。

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