オープン就労で働くということ

オープン就労とクローズ就労のメリットとデメリット

私は統合失調症という持病を抱えています。統合失調症は、脳の機能障害といってもいいかもしれません。発病して、約20年になります。今も気分の波があります。でも、色々な方の支えもあって、現在、介護施設で週に3回、オープン就労で働いています。働き始めて、9月になればまる2年になります。2年近く働けていることは私に大きな自信を与えてくれています。

私はクローズ就労で働き、仕事がなかなか続かなかった経験があります。病気を理由に解雇された経験もあります。なので、オープン就労で働ける現在の職場にとても感謝しています。

「オープン就労とクローズ就労って、そもそもなに?」って思う方もおられるかもしれません。それぞれの特徴とメリットとデメリットについて、簡単にまとめてみます。

オープン就労・・・障害を事前に開示して働くこと。

<メリット>  ・障害のことを隠して働く気まずさや罪悪感がない。
        ・障害のことを事前に伝えて理解してもらっているため、  
         体調や仕事内容などに配慮してもらいやすい。
        ・通院のための欠勤や早退がしやすい。
        ・(昼休憩中などに)服薬する場合も、服薬することへの   
         不安が軽減される。

<デメリット> ・求人数が少ない。
        ・短時間勤務のことなどが多い。
        ・給料面も一般採用と比べて少ないことが多い。
        ・職種などが限られる場合が多い。

クローズ就労・・・障害のことは伝えず、一般採用枠で応募し就労すること

<メリット>  ・障害者雇用枠に比べて、幅広い職種や業種がある。
        ・障害者扱いされない。
        ・賃金も、オープン就労より高くなるケースがほとんど。

<デメリット> ・精神障害者であることがばれるのではないかという不安
         が続く。
        ・精神障害に対する配慮がない。
        ・仕事の内容やスピードについて行けずに、ストレスを抱   
         えやすい。
        ・通院のための休暇を取るのが難しい。
        ・決まった時間に服薬することへの理解も得にくい。

オープン就労にもクローズ就労にもそれぞれにメリットやデメリットがあります。自分の体調や性格や特質、障害の状態などを理解したうえで、自分に合った働き方や職種を見つけていくことが大切です。ハローワークの専門窓口や、就労委呼応支援事業所など、相談できる窓口はたくさんあります。
「働きたい」という思いを主治医に伝えて、理解してもらうことも大切です。


私がオープン就労で働けるようになるまで

それぞれにメリットとデメリットがありますが、私は自分の経験から、オープン就労で働くことを強く勧めます。その一番の理由は、「障害のことを隠して働く気まずさや罪悪感がない」ということです。というのも、以前にクローズ就労で働いたレストランのホールの仕事で、なぜだか病気のことが、オーナーにばれてしまい、お客さんや、店のスタッフの前で、オーナーに大声で、
「なんで病気のことを隠しててん!」
「嘘つき!嘘をついたらアカンってお母さんに教えてもらわへんかったんか!」
と罵倒されたことがあるのです。辛かったし、悲しかったし、悔しかったです。
(好きで病気になったのじゃないのに・・・)
と、泣いてしまいました。
「今日で辞めさせてください」
というのが精一杯でした。

私は生活保護を受給しています。ちょうどその日に、区役所のケースワーカーさんが電話を下さったので、オーナーとのやり取りの事を話しました。
「言わなかったことと、嘘とは違いますよ。明日、暮島さんのところを訪問しますね」
と、言って下さって、「チャレンジワーク」というプログラムを教えてくださいました」

今もやっているのかはわからないのですが、社会福祉協議会がやっている「チャレンジワーク」というプログラムでは、受け入れてくださる事業所で就労体験をすることができました。一時間500円ですが、賃金ももらえました。主治医に意見書を書いてもらったり、区役所で看護師さんとの面談があったり、事業所での面談があったりと、色々なプロセスを経て、いま私が働いている介護施設で、「チャレンジワーク」のプログラムである、就労体験をさせていただくことになりました。

その後、コロナの影響で、施設で「チャレンジワーク」のプログラムが受けられなくなってしまいました。思いきって決断して、介護職員初任者研修の講座を受講して、修了しました。講座はかなりハードでしたが、1日も休まずに修了できたことで、自己肯定感が上がりました。

(講座は修了したけど、これからどうしよう?)
と思っていた私に、クリニックの私の担当スタッフの前川さん(仮名)が、
「社会福祉協議会の担当の方に相談してみたら?」
とアドバイスしてくださいました。そして、前川さんも面接に同行して下さって、今の職場で働けることになりました。私が強く望んでいた「オープン就労で働く」という夢が叶ったのです。


「働くこと」は楽しい! あきらめないで!

いまの施設で働き始めてから、9月でまる2年。仕事ですから、もちろん大変なこともあります。
(しんどいな)
と思うこともあります。でも、やっぱり「働く」ことは、私にとっては楽しいです。利用者さんとの関わりやスタッフさんとの関りから、学ぶこともたくさんあります。利用者さんやスタッフさんから「ありがとう!」と言ってもらえると素直に嬉しいです。仕事に向けて、コンディションを整えたりするのも大切にしています。
・時間を守ること
・笑顔でいること
・挨拶をすること
・「いま ここに」集中すること
・よりよく働けるためにはどうすればいいか?
ということに、心を配りながら働いています。特に「いま ここに集中する」ということが、私の一番の課題です。その瞬間のことに集中することが苦手なのです。

私のブログを読んで下さっている方の中には、ご自身や家族の方が、心の病を抱えておられたりして、「働くこと」をあきらめておられる方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

でも、「あきらめないで!」と、私は言いたいのです。相談に乗ってくれる人や、利用できる社会資源はたくさんあるからです。だから「働きたい」という思いの実現をあきらめないでほしいのです。

そして、心の病を抱えた人を雇うことに躊躇されている人にも言いたいのです。「偏見や差別といったモノサシで見ないで。もっとチャンスを与えて!」
と。

「心の病を抱えた人や弱さを抱えた人が、安心して働くことができる」、そんな優しい社会を創るために、私も自分にやれることやれる範囲で頑張っていきます。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました。














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