シルバニアファミリーだった髭

仕事を辞め取引先に行くような用事もないのでなんとなく髭を伸ばしたりしている。

学生の頃に何度か髭伸ばしチャレンジを試みたが、もともと髭が薄いせいか一週間待ってみてもシルバニアファミリーの人形を撫でているような感触が味わえる程度にしかならなかった。

四年ぶりに思い思いに髭伸ばしチャレンジを始めてちょうど一週間が経つ。社会人をやっているうちにあっという間に過ぎ去っていった四年だったが、口元に黒くしっかり生えている髭を見て四年の月日の重さを実感する。

四年前というとラグビー南アフリカW杯、いまや五郎丸ポーズで写真に写ろうとする人間は絶滅し、代わりに若者はタピっている。そんな時の流れを経て、髭のさわり心地はシルバニアファミリーの体毛からファービーのまつ毛に変わっていた。

「かー!平成生まれか!」と先輩方に驚かれる度得意げな顔になっていたのは今は昔。居酒屋で全盛期のヒョードルが史上最強だとかを未だに語っている場合ではない。自分はもうおじさんなんだ、令和を生きるおじさんなんだ。

髭の似合うおじさんになろう。

たとえ女友達に笑われようが田舎のばあちゃんがあまり良い顔しなかろうが、しっくりくる髭を見つけるまでは泣いてはダメだ。

チャレンジは始まったばかりだが、ご飯中に視界の端っこに見えるもぐもぐさせた口元の髭、もぞもぞしててちょっときもい。

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