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On the border〜知らない世界に会いに行く〜宍泥美篇

作中に登場する職業の方に実際に会いに行き、お仕事の実態をお伺いする「On the border~知らない世界に会いに行く〜」、今回は作中で、不動産屋さんの跡取り娘、神田香を演じる宍泥美が、練馬区の不動産屋さんにご訪問、お話を伺ってきました。
メンバー、宮原奨伍からの紹介だったこちらの不動産屋さん。宮原と不動産屋さんの意外な関係も・・・?どうぞ、お楽しみください!


お話を伺った方

鈴木龍之介さん
株式会社コスモ代表取締役。
練馬区上石神井に代々続く不動産屋さんの、現代表さんです。
この日は朝イチのお早いお時間から、取材にお付き合いくださいました。




不動産屋さん、not only不動産屋さん


ハマカワ どう言った経緯で不動産のお仕事を始められたんでしょうか?
鈴木さん 僕、大学を卒業したあと、1年くらいフラフラしてたんです。そのあとで始めました。
 その1年間は何をなさってたんでしょうか。
鈴木さん バーテンやったりとか、バイトもですけど、遊んでましたね。笑
 なるほど笑。ご実家が不動産業だったとかそういうことでは・・・
鈴木さん あ、そうですそうです。父がもともと。今ここは僕の会社にさせてもらってるんですけど、元は父がここで30年前から、やってたんですね。
 (役と)一緒だぁー。
 ね、一緒だね。二代目。
 ありがたいー!すごい。
 場所は引き継いで社名は変えて、みたいなことなんでしょうか。
鈴木さん その辺がちょっと複雑で。ここの場所で同じようなことをやってる人間、っていうのでカウントすると、僕で4代目・・・あ、5代目か。5代目になるんです。
 5代目!?すごいですね。
鈴木さん もう亡くなってる人もいますね。色々あって、会社だけ変わって、中身変わらない、っていう感じです。
 お父様は現役でいらっしゃるんですか?
鈴木さん 現役です。います。店舗には週の半分くらい来てる感じですね。
 残りの半分はどうされていらっしゃるんですか?
鈴木さん うちの会社ここ以外にも別の仕事やってまして。空手の道場とか。
ハ・宍 空手・・・!?
鈴木さん 極真空手の道場もやってまして。
 お父様が教えていらっしゃるんですか?
鈴木さん そうですね。
 お父様も鈴木さんも、空手の師範代的な資格を持ってらっしゃるということですか・・・?
鈴木さん 一応、先生っていう立ち位置です。
 そうなんですね!
 もうこれはあれですね、いわゆる「地元の名士」ですね。
鈴木さん いやいや、そんなことないです。
 いやこれはもう、大きい字でメモさせていただきます、地元の名士。
鈴木さん 笑!
 お生まれもお育ちもこの辺りなんでしょうか?
鈴木さん そうですね。生まれたのが吉祥寺の方で、育ちが石神井公園の方で、今ここ(上石神井)で仕事して。今は上石神井に住んでもいますし。(名刺を取り出す)
 あ、ありがとうございます、頂戴します。
鈴木さん その裏に色々書いてあるんですけど。
 本当だ!いっぱいやってる!
 わ、めちゃくちゃ色々・・・え、芸能マネジメント!?
鈴木さん ええ、制作会社に近いようなこととかやってますね。映像の編集とか。
 だって、この所属のとこ、布川さんて・・・
鈴木さん はい、布川敏和さん、ふっくん。
 えええー。
 そうなんですね。すご・・・
 なんかこの、社員所有資格一覧が、すごい多岐に渡って・・・。

<社員保有資格一覧>

二級建築士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、特殊建築物等調査資格者、ハウスクリーニングアドバイザー、クリーニングインストラクター、3級ファイナンシャルプランナー技能士、YouTube認定資格、YouTube music認定資格、DPAドローン操縦士回転翼3級、極真空手三段/二段、管理理容師

 ファイナンシャルプランナーくらいまではわかるんですけど、YouTubeとかドローンとかは、どうして取得されたんですか?
鈴木さん それは、映像制作会社の方で必要でして。
 芸能系のお仕事の方で使えるように、ということですか?
鈴木さん 舞台の映像を編集してD V D作ったりとか、あとは例えば昨日はライブがあったんですけど、そのライブの最中に後ろで流れる映像とかを撮ったりとか、加工入れて色々、やったりとか。C M作ることもありますし。マネジメントはふっくんのためだけにやってる感じです。
 へえええーーー。すごいー。
「管理理容師」っていうのは、床屋さん・・・ですよね?
鈴木さん あ、そうです、隣の店舗です。隣の床屋です。
 隣の床屋さんもこちらの・・・!?
鈴木さん そうです。
 床屋さんはどうして始められたんですか?
鈴木さん 床屋さん、うちの道場生だったんです。父が空手教えてた人だったんですけど、隣がテナント空いた時に、ここの大家さんと父が「借り手いないかな」って話になった時にたまたま独立したいってその人がいたんで紹介して、父が出資して、開店した感じです。
 空手のお弟子さんが・・・
鈴木さん そうですね。
 なんかちょっと想像を超えた事業の幅広さにびっくりしています・・・
鈴木さん 今年またふたつ新しい事業やります。
 何を始められるんですか・・・?
 聞きたい聞きたい。
鈴木さん ひとつはもう申請は出したんですが、探偵業。
 た、探偵!?
鈴木さん あとは、ハウスクリーニングと害虫駆除。これはもう新しく会社作って始めるところなんですよ。
 でもあれですね、不動産屋さんの営んでる探偵業って、めちゃくちゃ足腰強そうですね。
鈴木さん ええ、あと空手もやってるんで。
 確かに、いざとなったら武闘派に転じることもできる探偵さんってことになりますよね。
鈴木さん そうですね。
 だから、もう今は二足も三足もわらじを履いてやる時代だってことですね。
鈴木さん そうですね。渋いです。一個だけじゃ飯食えないっす。
 いや、それにしても想像を超えてました。
 もう全部聞きたい。不動産以外も全部聞きたい笑

「俺が死ぬまでに宅建を取れ」

 ご出社されてからの流れみたいなものを伺いたいんですが、これだけ事業が多岐に渡っていると日によってまちまちになってくるんでしょうか・・・?
鈴木さん そうですね。昨日は朝7時起きで、倉庫行って、ライブハウス行って、帰ってきたのが・・・ねぇ俺昨日何時戻りだっけ?
従業員さん 0時前くらいすね。
鈴木さん です。で、帰ってきて、倉庫戻して、家帰って。今日は、不動産屋としては・・・
 あそうか!昨日は水曜だからこちらはお休みだったんですね!
鈴木さん そうですそうです。普通の時だと、9時半くらいに来て、10時オープンなんで準備して、午前中はお客さんとの連絡取ることが多いですかね。で、資料とか契約とかの用意して。来店が多いのは午後なんで、それに合わせる準備して、夕方まで資料作ったり、内見があれば外出て、って感じですかね。
 こちらは店舗は何時までの営業になるんですか?
鈴木さん 10時〜19時ですね。まあ、終わらないですけど。
 ご帰宅は何時くらいになりますか?
鈴木さん 不動産だけの時は19時終わったら帰ります!
 あ、そうなんですね!そっか、他のことお仕事されてると遅い、ってことですね。
鈴木さん そうですね、6月頭から8月半ばすぎまでは帰るの大体4時すぎとかでしたね。
 ・・・朝4時!?
 ・・・夏、だから。イベント時期だから・・・?
鈴木さん そうですイベントです。あちこち行ってたんで。(従業員さんに)早くて2時くらいだったっけ?
従業員さん そうすね。
 なんかもう全てを共にしていらっしゃるんですね?
鈴木さん や、全てではないですけど。スケジュールは共有してるんで。
 あの、なんか、古くからのお仲間とかなんでしょうか?
鈴木さん 大学の同級生なんですよ。空手もやってるんで。
 あ、ここにも空手がくっついてくるんですね笑
鈴木さん はい、やってます笑
 店舗でメインで働いていらっしゃるのはこのお二方なんでしょうか。
鈴木さん そうですね。今は二人です。
 あ、そうなんですね、すごい。
 不動産屋さんの店舗って、どのくらいの人数で回していらっしゃるんでしょうか?
鈴木さん でも今はフラッと飛び込みで来ることはあんまなくてですね。やっぱりみんな最初ネットで探すんですよ。なんで二人でもぜんぜんやれてます。たまに土日とかにダダダッと来客が混むともう二人くらいいたら、って思うことはありますけどね。
 じゃあ直接、こちらで持ってる物件が多いというよりは仲介が多いんですかね。
鈴木さん や、うち、どっちかというと管理会社の色が強いんですよ。地場で30年やらせていただいてることもあって地元の大家さんが預けてくださってる物件があったり、そこの賃貸の管理ですね。クレームの窓口とか修繕の手配とか。
 いわゆる「当社の管理物件です」って書いてあるような、あれですね。
 こんなしっかりしてる管理会社さんだったら嬉しい。安心するー。
 こちらは賃貸と売買はどのくらいの割合で扱ってらっしゃるんですか?
鈴木さん 賃貸7割くらいですかね。売買は僕と父で扱います。
 売買のときに必要な資格っていうと・・・
鈴木さん 宅建ですかね。厳密にいうと、契約をする段階になると、宅建が必要になります。
 契約以外であればいらない・・・?
鈴木さん 例えばご案内、内見ですね。内見の申し込みは誰でも案内できます。契約で書面を出す場面になると宅建が必要です。免許を提示した状態で、重要事項説明書ってやつですけど、書面の説明はしなければいけないということになりますね。
 宅建は難関資格ってイメージがありますが、どのくらい勉強されたんでしょうか?
鈴木さん 宅建はでも、勉強すれば誰でも受かると思います。僕はあんまり大学までの段階で、勉強してこなかったんで、自分で取ろうと思ってからは、えーと・・・一日4、5時間かな。
 あ、結構ガッツリ受験勉強ですね・・・!
鈴木さん 休日は朝9時から夜の10時まで、資格学校行ってました。それが大体10ヶ月くらいですかね。
 大人になってから通う、そういう予備校みたいなところってなるとなかなか雰囲気も違いそうですね。
鈴木さん そうですね・・・いなくなる人は速攻いなくなりました。宿題の量とかとんでもないんですよ。1日4、5時間やらないと終わらないんですよ。
 宿題だけで1日4、5時間ってきついですね・・・
 覚えることが多い、みたいな感じですか?
鈴木さん 覚えるのもですけど、問題を解き続けないといけないんですよ。答え合わせまでして持ってかないといけないんで。
 試験自体はペーパーだけですか?口頭試問はないんでしょうか。
鈴木さん あ、筆記だけですね。四択で、50問の試験です。
 車の免許と一緒ですね、なるほど。
 ざっとこちらから眺めただけでも、壁にかかってる証書の数がすごいですよね。
鈴木さん はい、えー、これは、父が二級建築士持ってるんでそれですね。
 わー、すごい!
鈴木さん で、僕と父の宅建と、こっちは保険ですね。少額短期保険募集人ていう、これは試験はすごい簡単なんですけどね。あとは賃貸不動産経営管理士っていうのが新しく国家資格になって。管理会社が持ってないとダメな資格ですね。
 建築士の資格があるとどんなメリットがあるんですか?
鈴木さん 役所関係は建築士の先生として父が行けるのでいいですね。建築士の先生の見解として話ができると早い、という場面はあります。
 こちらの不動産業を継ぐ、というのは小さい頃からの既定路線だったんですか?
鈴木さん いえいえ全然です。ここ入ってからも、役者の仕事してました。撮影あるって三週間くらい抜けたりとか。
 こちらの、コスモさんで本格的に代表として権限を抱えて、という働き方をされるようになった決意のきっかけみたいなことはあったんでしょうか・・・?
鈴木さん ああ、えっとですね、僕の父が仕事を教わって、一緒に色々やってた人間がいるんですね。父の先輩ってことになるんですが、その方が、退職して、1年くらいで急に亡くなっちゃったんですよ。そこら辺からです。その時、免許関係ですね、僕が宅建を取らないと、ちょっと事業の継続が大変な雰囲気があったんですよ。僕が宅建取るのが一番話が早い、というか。その方に、「俺が死ぬまでに宅建を取れ」って命じられまして。
 圧を感じますね!それは・・・
 はぁ〜、うわぁあ〜。
鈴木さん で、実際宅建受けて、そのあと割とすぐ亡くなったんです。合格通知は4ヶ月後とかなんですが、自己採点して、大丈夫だろうと報告までは出来て。
 結構待たされるんですね。
鈴木さん めっちゃくちゃな人数受けるんで。
 まぁ、そうですよね・・・
鈴木さん そのあたりから視野に入れて、って感じだったんで、今からでいうと4、5年前あたりから、という感じですね。
 まずは宅建、そのあと付随する資格も色々視野に入れて、という感じで、ご家業にコミットされるようになったということなんですね。
鈴木さん そうですね、そういう感じです。
 彼女(宍)の役柄もそうなんですけど、不動産屋さんて地場に根付いたお仕事なぶん、継いでやってらっしゃるところが多いイメージがあるんですが。
鈴木さん そうですね、多いと思いますよ。上石神井だけで、えーと、うち含めて、4・・・5個か。
 あ、すごい、上石神井だけでそんなに!
鈴木さん うん、でもやっぱり多いですね。
 持ってらっしゃるものがあるんですもんね、人脈も土地も。
 土地って当たり前だけど、動かないですしね。文字通り街に根ざしていらっしゃるお仕事で。
鈴木さん うん、そうすね。
 こういう他の事業を始められたのは龍之介さんの代からなんですか?お父様の時からすでに何か拡げてらしたんでしょうか。
鈴木さん 父がまずは不動産屋をやっていて、20年ちょっと前に極真空手の道場を始めて理容業に関してはえーと、8年前ですかね。それは父が始めた事業です。映像に関しては3年前、ですね。
 ちょうどコロナの時期ですね。
鈴木さん そうです、ちょうどその頃でした。コロナがスタートした時くらいですね。道場に人を呼べなくなっちゃったんで、辞める人が出ないように・・・あの、僕元々子役をやっていた関係で、高校、堀越の芸能コースだったんですよ。大学は城西大学の、新しくアクティングコースみたいなコースが出来て、その時にずっと知り合いだったプロデューサーの方が講師でいて、声をかけてもらって一期生で入って。そこで編集とかの勉強はしてたんで。その知識があったんでコロナになった時に「なんかやんなきゃ」ってなった時に親父がYouTubeやれば、って。で、そこで空手の動画を出し始めたんです。編集と撮影から始めて。
 なるほど・・・!
鈴木さん コロナ禍ではやっぱり不動産は全く動かなかったんですよ。ほんとに何も仕事なかったんで、その時に始めてなかったらやばかったですね。この辺、ワンルームが多いんで、その時期結構な人が地元に帰って生活して、空き家も増えちゃったんですよね。
 コロナ禍は本当に影響大きかったんですね。全部今日まで繋がっている。
 お父様もそうなんですけど、関わった人間がちゃんと食べていけるように、っていうのが大きいんですね。
鈴木さん そうですね、それは本当にあります。大きいですね。
 芸能の方面に進んだきっかけというか、何か教育方針で「外の世界に出ていけ」みたいなのがあったとかなんでしょうか。
鈴木さん そういうわけではないんですけど、やりたいことは全部やってみろっていう感じだったんですよ。なんで、遊びのライセンスは色々持ってます。乗馬、スノボ、船の免許も持ってますし、バイクも大型まで免許持ってます。
 わー、すごい!・・・お金かかるのばっかり・・・笑
鈴木さん そうですね笑。で、子供の頃、こういうレジャーが一回全部できなくなったんですよ。小学4年の時に生まれつき腎臓が片方小さいってのがわかって、野球とかサーフィンとか、体動かす系のやつがやっちゃダメってことになって。で、やることなくなって。その時伯母が、宮原くんが当時入ってた事務所で働いてて、暇でストレス溜まるからってことで、最初、家族でC Mのオーディションに行ったんです。で、その後もやれることあるんなら行く、って話になって、映画、ドラマ、色々出させてもらいましたね。その事務所が宮原くんとの出会いです。
 宮原と知り合った時は龍之介さんはおいくつだったんですか?
鈴木さん 小5とかだったと思います。
 ってことはしょうごさんは当時二十歳ちょいくらいってことですよね。
鈴木さん そうですね、ひとまわりちょい上なんで。
 ねぇ、どーせイケメンだったんでしょーう!!笑
 どーせチャラチャラしてたんでしょーう!!笑
宍・ハ ねーえ。笑
鈴木さん はい、そうかもですね!笑
 二十歳当時を知ってる人からしたらね、今なんて落ち着いちゃってるのかもしれないですよね。
鈴木さん そうっすね、落ち着いてくれてないと困るなぁ。笑

不動産業界と地方のおはなし

 業界のお話になるんですけど、不動産業って今全体的に厳しいとかあるんですか?
鈴木さん 厳しいですね。全体的にもうS N Sが発達しすぎて、お客さんの数と不動産屋の数とが合わなくなってきてるんですよ。この街だけで、チェーンも合わせたら15店舗くらいあるんですね。その数の店が、お客さん取り合いになるんで。純粋にお客さんがいないって店舗もありますし、うちも1日開けててお客さん一人も来ない、とかもありますんで。
 不動産収入を目当てに建てたものを古くなったから建て替える、とかっていう話もあるんじゃないかと思うんですが。
鈴木さん そうですね、相談はあります。でも建て替えの提案をしても、お金がないからできないってなることも多くて。駐車場にするか、ってなっても駐車場にしづらい土地もあるんで。かといって更地にしてしまうと固定資産税がすごく高くなったり。空いたまま放置されてるところ、空き家問題ですね、不動産業界の全体の問題としてよく言われるようになったやつですけど、あります。
 外国人の受け入れとかってこちらではどうですか?
鈴木さん うちはもうなんでも受け入れてます。外国人でも、生活保護でも、責任持って受け入れます。
 今保証会社が入ることがほとんどですよね?
鈴木さん そうですね。ただそれは僕らの判断とは変わってきたりもするので、僕らじゃなくて大家さんが嫌だって言うこともあります。あとは孤独死ですかね。国籍とか収入っていうより年齢でめっちゃくちゃひっかかるんですよ。感覚で言うと70歳くらいから審査が厳しくなってくるような感じです。
 そういう年齢の方はもう、出て行く時は亡くなるとき、ってことになるんですかね・・・
鈴木さん そういう場合もごくまれにですね。
 あ、現場に入られるんですか・・・?
鈴木さん 入ります。見ます。
 不動産屋さんは、義務なんですか?自社管理物件だと立ち会わないといけないみたいな・・・
鈴木さん 義務ではないんですけど、連絡くるんですよ。鍵を開けてくれっていう連絡ですね。そうなると、行きますね。
 私、お芝居で、特殊清掃の作品をやったことがあってその時にはずいぶん調べたんです。今度始められるっていうハウスクリーニングはそれも兼ねてやっていらっしゃるんですか?
鈴木さん そうですね。トータルでワンパッケージにできるような仕組みにして、付帯サービスとして仕事をしていこうかな、と。
 大手さんとの違いというか、個人の事業所ならではの強みって何なんでしょうか。
鈴木さん うちの場合は、やっぱり大手さんに比べるとお客様の絶対数は少ないので、お一人お一人を大切にした接客は強みですね。時間かけて、わがままも色々聞きやすくはなります。自分自身も芸能とか、夜職もやってたので、借りづらい、シークレットにしなきゃしけない人たちの対応、っていうのも出来ます。
 ちなみに作中に出てくる町は、地方都市なんですよ。北関東かな、って感じですが、そんな町の不動産屋の二代目のお嬢さん、って言う設定なんです。
鈴木さん あー、今その辺、人離れすごいですよ。とにかく人がいない。若い子がみんな出てっちゃうんですよね。
 北関東くらいだと東京への心理的なハードルも低いでしょうしね。
鈴木さん そうですね。うち、親父が茨城に家もう一つ持ってるんですが、あのあたりの子達と話したり若い子と飲んでみたりすると、町自体に活気がないと、出てっちゃうんだってのがわかるんですよ。で、その家があるエリアのあたり、祭りが無茶苦茶盛んなんですね。町内会がすごい強かったりして。友達のお父さんの会社に就職できるっていうのがあったりとか、鹿島の大きい会社で働く基盤があったりとか、そういう繋がりが深いところは、人が、残ってるんですよ。
 それこそお祭りにかかってるみたいな。
鈴木さん そうですね、年に一度の祭りにかけてる、その日のために日常を頑張ってるみたいな。そういう人は結構いるなってのは、感じますね。
 萩島フェスタだ。
 ね、現実とリンクしてる。
 朝の早いお時間から本当にありがとうございました。最後にひとつ伺いたいんですが、なんとなくのイメージで、固定観念とかステレオタイプの表現で、不動産業のひと、こういうふうに演じられたら、表現されたら嫌だな、というの、ありますでしょうか。
鈴木さん ないっす!
 あ、そ、即答ですね?
鈴木さん 大丈夫ですよ、どんなんでも。本当に!




ご謙遜されながらも、関わったひと全てに責任を持つ、という確固たる力強さは、まさに地元の名士のそれでした。文字通り、動かない財産を扱い、守る、不動産屋さん。時代の流れの中で少しずつ新しくなりながら、その町と共に生きるお仕事に、温故知新、という言葉はこんな時に使ってもいいんじゃないかな、なんてことを思ったりしました。

鈴木さん、ありがとうございました!


お店の前で1枚。ありがとうございました!

取材先情報


株式会社コスモ
〒177-0044 東京都練馬区上石神井1丁目14−2
 03-3594-1181


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