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インタビュー新企画、はじめます。

皆様、こんにちは。
萩島商店街青年部、ハマカワフミエです。

団体の生い立ち、
作品の内容、とお伝えしてきましたこのnote。

今回は、このnoteを立ち上げるきっかけになった企画、
「On the border~知らない世界に会いに行く〜」
について、少し解説をさせてください。

作品についてのネタバレはありませんので、事前情報少なめ派のみなさまもご安心してお読みいただければと思います!



*俳優主導の中から生まれた「広報」


我々、萩島商店街青年部は、3つの施策を掲げて活動をしています。

・メンバー全員主宰(単独のプロデューサーや主催者に依らない運営)

・アクセシビリティへの取り組み(視覚・聴覚に障がいをお持ちの方をはじめとした、劇場での観劇にハードルを感じている方々に対応した公演パッケージを探る)

・観客と共に創る(舞台制作のプロセスを開示し、観客参加型の広報を行う)

この3つの試みを真ん中に置き、運営方法や会議の方向性、宣伝やH Pなどのビジュアル媒体に関する意見まで、この三本柱を意識して取り組んでいます。
メンバーそれぞれに自分の興味のある分野、得意スキルなどの個性を活かして、クラウドファンディング担当、アクセシビリティ担当、S N S運用チーム、などの小グループに分かれてそれぞれの仕事を請け負い、時にはチームを横断して協力体制を作ったり、さまざまな工夫を凝らして、我々、「未開の議場 2023」の運営を進めているところです。

その中で、私、ハマカワは広報班に入っています。メディア向けのプレスリリースを書いたり、フライヤーの部数や折り込み先をサーチしたり、公演の宣伝に関わる仕事ですね。「未開の議場 2023」を、ひとりでも多くの方に知っていただく、興味を持っていただく、劇場に足を運んでもらうための工夫をする、仕事。これまで仕事としては関わってこなかった分野なので、全てが手探りですが、とても新鮮。難しいことも多くありますが、結構楽しく取り組んでいます。

そんな広報なのですが、企画のそれぞれを並べてみたときに、私の中にひとつ、気になることが生まれました。


それは、「知ってください」を並べただけで、いいのだろうか?ということです。


元々、Twitterやブログなどに見られることの多かった「必見です!」「今回は本当にお見逃しなく!」といった言葉がズラズラと並ぶような宣伝が、私は少し苦手でした。わかります。すべては知ってもらうためなんです。力を入れて発信しなければ、という気持ちも、本当に素敵な作品が出来上がりつつあることを熱意で伝えることができるはずだという確信も、わからないわけではないんです。

でも、どうしても苦手です。壊れたラジオのように大きな音量で繰り返し繰り返し「観てほしい」を叫ぶだけなら、botでいい。「観てほしい」以外のことが伝わってこない上、伝わってこないなぁ、と感じているこちらのことも、どこか置き去りにされてしまっているような気がしてしまいます。

自分が広報で何か取り組むとしたら、「知ってほしい」の一方通行にならないことをやりたい。そう考えました。いわゆるリサーチ的な、観客席をターゲット層として知ろうとする、分析することも一方通行にならないための工夫なのですけれど、なにかもっと、根本的なことがあるような気がする。そんなことを考えていたとき、ふと思いつきました。


創る側の私たちだって、「知りたい」じゃないか。

自分が知らない、誰かの、何かのこと。


たとえば、作中に登場する萩島町は、人口5万人以下の小さな町です。私は神奈川県横浜市出身。育った町は横浜の中では相当に田舎の方ですが、それでも、車がなければ生活がちょっと難しくなるような暮らしは、肌感覚としてはよくわからないというのが正直なところです。調べて、出来れば出かけて、その町がどんな「顔」をしているか、みたいなことを知りたい。作品のことを知ってほしいのと同じように、私も作品の中にある、ひいては社会の中にある知らないことを、もっと、深く、知りたい。
そんなことを考えていたとき、メンバーの中から「ハマカワ、広報の一環ってことで、解説動画とか考察系の何かをやらない?」という声掛けをもらいました。

「全然違うことになるんだけど、いろんなところに取材をしまくる企画がやりたい。そして出来れば動画じゃなくて、文章で出したい。」と答えました。

そこから立ち上がった企画、それが「On the border~知らない世界に会いにいく~」です。



*その線の上で、手を繋ぐ


連載企画「On the border〜知らない世界に会いに行く〜」では、

出演者が、その役柄の職業に実際に就いている方の元へ出向き、
お仕事に関わるさまざまなことを伺う、というインタビューを行います。

基本的に、全ての取材にハマカワも同行。インタビューの文字起こしと記事の作成を担当します。

広報の方向性としては、いわゆるアウトリーチと呼ばれるものになるかと思います。演劇とは関係性、親和性の薄そうな箇所に働きかける、コミットする、という企画ですね。今回はインタビュー取材をベースにすることで、知らなかった世界との出会い、知ったような気がしていても必ず未知の領域があるということ、などを念頭に置き、取材対象者のみなさまの肉声を届けることを特に重点的に意識して執筆していこうと考えています。社会の中で生きる、自分とは全く異なる暮らしの人たちを知り、綴り、届ける。演劇公演とは全く違う形ですが、本質的には近いことに取り組んでいるんじゃないかな、という感覚があります。

もちろん取材先の皆さまに、公演のお知らせもさせていただいています。「こちらが今回の公演で、**の職業の役を演じる俳優です」とご紹介すると、皆さまそれぞれに少しほころんだお顔をなさいます。これもまた、ひとつの出会いの瞬間だなぁ、なんてことを思ったりもします。

映像でなく文章の形でお届けすることを選んだのは、私に映像編集スキルがないからというのもありますが、結局のところ、私が、文章を読むことがとても好きだからです。好きなものをつくりたい。それに、柱の一つであるアクセシビリティの観点で考えたときに、文章は読み上げソフトがあれば視覚障害をお持ちの方にもお届けできます。今回の広報活動の展開の中にテキストベースの形態があるのは、そういった意味でも、悪くないんじゃないだろうか。そんなふうに考えたのです。

今回、作品全体を包括するコンセプトとして「ここに、線がある。」というフレーズを掲げています。立場の違いやそれぞれの特性、抱えている問題や悩みなどを「越えていける!みんな分かり合える!大丈夫!」と簡単に宣言するのではなく、まずそこに確実に、違いがある、差異は存在するということを認める必要がある。隔てているものはなんだろうね、と考え、知る努力をして、自分にできる行動を探す、選択する。そこからはじめよう、という提言でもあります。

この「On the border」、このコンセプトと照らし合わせると、なんというか、「その線の上で、手を繋ぐ」とでも言うんでしょうか。すごく象徴的な企画になっていくんじゃないかな、と感じています。

取材の進捗は今のところ、7割がた、といったところです。番外編、みたいな記事も上がってくる予定です。どの取材でも本当に興味深い、面白いお話をたくさん伺いました。取りこぼしたくなくて、よくばって文字起こしをしているもので、一記事がとてもとても長いです。読み応えたっぷり。どうぞご期待くださいませ。

そしてこの場を借りて。

これまでに取材にご協力くださいました関係各所の皆さま、本当にありがとうございました!ご多忙の折、貴重なお時間を頂戴いたしましたこと、本当に感謝しております。記事のアップまで、引き続きよろしくお願い申し上げます。

そんなわけで新企画、

「On the border〜知らない世界に会いに行く〜」

近日スタートです。ご注目ください!


今回もここまでお付き合いくださいました皆さま、どうもありがとうございました。

また、次回の記事でお会いしましょう!

よろしければサポートをお願いいたします!いただいたサポートは公演の準備に使わせていただきます。