見出し画像

君の目に映る世界を希望で照らせますように

去年の夏に妊娠した。
あるかなきかの小さな命の塊をモニター越しに見たときは、勝手に涙腺がゆるんだ。

しかし新しい命をおなかに抱えるというのは想像以上に大変で、妊娠初期はすっかり無気力に。
メディア立ち上げで奮闘した直後のことだったから、落差がすごかった。
気持ち悪くて何時間も横になり、やるべきことはたくさんあるのに何もやる気にならず、置物のように時間を過ごしていた。

何といっても
「やろうと思えばできるはずなのに何もできない自分」
を受け入れるのに苦労して、日中さんさんと輝くベランダを横目に
「あそこから飛び降りて死ねたら楽だろうなあ」
とぼんやり思った。
もちろんうっすら思うだけで、実行に移すまでには大きな乖離があり、鬱々と疎ましい思いに駆られていただけだ。
がんばりたいのにがんばれないのだ。がんばれない自分を受け入れるのは本当に難しい。

秋が深まる頃には安定期に入り、つわりもひと段落してだいぶ持ち直した。
しかし妊娠初期から
「妊娠したら・出産したら今ほど自由に時間を使えなくなる」
という焦りが募り続けており、時折居ても立ってもいられない心地になった。

食べづわり(空腹感が気持ち悪くて食べてしまう)により体重は増え、体は丸くなった。
日々ふくふくと膨らんでいくおなかにも若干の抵抗があった。
「我が子がいるおなかを愛せないのは母としてどうなのか」
と小さな罪悪感が芽を出す。

待ちわびていた子どもができるのはうれしい。
でも、まだ書く仕事も道半ばだし、やりたいことはたくさんあるし、自分の成長に時間をかけたい。
配分を決めて両立するしかないのだけど、やきもきする。

そんなしこりが胸に残っていて、去年は
「妊娠しているからこれはできない」
「出産したらあれもできなくなる」
といったネガティブな言葉をぽろぽろ漏らしていた。

ネガティブな言葉を吐いていると、頭のすみで
「なんで望んでいた子どもができたのに嘆いているんだろう」
という違和感がちらついた。

そうこうしているうちに年の瀬を迎え、久しぶりに手帳を買って2018年を振り返った。
2018年の後半は妊娠で心身が乱れていたものの、よくよく考えてみると去年はたくさん新しいことに挑戦した。
新しいメディアを作ったり、コーディングやフォトショップ・イラストレーターの勉強をしたり、自分の名前で取材依頼をして好きな人に会ったり、そして何といっても好きな人と子どもを作った。
今まで私ができなかったことがたくさんできるようになった。

向上心があるのは良いことだが、上ばかり見ていると現状を卑下しやすくなる。
周囲のきらめきにばかり目を向けず、過去の自分を振り返り、自身の成長に目を向けてみると、思うより人生は上々だ。

手帳には2019年の目標を書く欄があり、これらの反省を活かして以下の3つを書いた。
・ネガティブな感情はポジティブな行動に変換する
・周りと比べず、過去の自分と比べる
・人生を前向きに楽しんで、子どもにかっこいい背中を見せる

妊娠・出産にかこつけてできない理由を並べたて、言い訳するのもやめた。
本当にできないこともあるけど、大抵のことを「できない」と勝手に決めつけているのは自分自身だ。
たとえ他人に反対されたとしても、他人が私の人生を楽しくしてくれるわけじゃない。
それに、親が人生を満喫していなきゃ、子どもも人生に期待できないだろう。

ずっとどこかで「やりたい」と思っていたギターも妊娠中に習おうと決め、明日体験レッスンに行く。
ギターの弾き語りができるお母さんってかっこいいじゃないか。
(ドラムをやっていたんだけど、家でひとりで楽しめるギターへの憧れがずっとあった)

「2019年はもっと前向きな言葉を使って、もっと人生楽しもう」
と帰省中の電車内で決意していたら、赤ちゃんがおなかをポンと蹴った。
まだ見ぬ君に、背中を(おなかを?)押されている。


#妊娠 #ママ #プレママ #育児 #出産

最後まで読んでいただいてありがとうございます!Xでも文章や本づくりのコツや考えをポストしてますので、フォローしていただけるとうれしいです。出版・編集の仲間も募集中です! https://twitter.com/hagiwriter