アイマスもラブライブも知らない人間が合同ライブに行って楽しかった2

2日目も終えて。twitterで書いたものと少し重複。

「ラブライバーが……適応しだしている!?」

2日目、アイマス側の曲演中のコールが明らかに増えている。
「ライブ初披露の曲も途中からコール入れ出すからね」(ライバー友人談)
 どう考えても1日目を終えたラファンが「アイマス側の曲もコール入れて一緒に盛り上げよう!」と一晩で順応したとしか思えない。それでも邪魔に感じるようなコールは全くなく、これが歴戦のラブライバーなのかと感じ入った。
 私はオーケストラのコンサートは何度か経験しているので、ライブも「静かに聞き、演奏後に拍手する」という流れなのかと思った。でないと曲を尊重していないと映ると思っていた。しかし作法は全く違い、先に書いたように演者と観客がセットで作り上げるのがライブであった。『ジャングル☆パーティ』などはその極致で、あの何分間のあいだは東京ドーム5万の観客がホモサピエンスをやめ、ただウホウホいうだけの生物に退化していた。そしてそこに身を投じる事のプリミティブな一体感や興奮たるや。インドネシアにいたときkecakという民族音楽を見る機会があったが、迫りくるリズムと生命力に圧倒されたものだった。まさにそれに近しいものを全身で感じ取った。

 演者の底力を感じたのは『コットンキャンディ』だった。イントロで電波ソングが始まったかと冷静だったアイマス側、今までと全く毛色の違うMV、そして最初からトップギアのaquosファン、しかもソロ曲。ラファンとアファンの温度差がすわ生まれるかと思われた。
 しかし曲が進むにつれ様相は変わっていった。私が愚考する限りではテンポやコード進行の大きな変化はなく、ルビィの高い声がこだまし続けていく。バックでU149のメンツが踊るが、積極的にメロディには入ってこない。しかしダレることはなく、徐々に会場のボルテージが上がっていくのだ。コールの声も大きくなる。正直なぜかは理解できていない。初見の客を一人また一人と取り込み、気が付けば黒澤ルビィは一人で会場の全てを掌握していた。場がピンクに染まり、ラスサビは全員が全力でコールしていた。これがカリスマと言うものか、と驚嘆するほかはなかった。

 1日目の『READY!!』『僕らは今のなかで』、そして2日目の『Snow halation』『MASTERPIECE』については、私はどちらのコンテンツも俄者ゆえ語る言葉を多く持たない。しかし、私は涙を流さない、だけどわかるぜ燃える友情……ではないが、イントロを聞いた途端泣き崩れた隣の女の人の感情は伝わってきた。長い事そのコンテンツを追い、一緒に人生を過ごした人しか持ちえない特別な感情だから、自分がその重みを量ってあれこれと言うのは野暮だろう。なのであえて「冬だから『Snow halation』合ってるよね」という朴訥な感想を持つことにしたい。一人くらい俄なりの立場を演じても良いだろう。
 前知識一切なしで『Snow halation』の色が変わる瞬間に立ち会った時、何が起きたのか分からなかった。ラスサビに入る瞬間、5万のイルミネーションが1秒かからず白からオレンジへサッと切り替わったのだ。信じられなかった。オーロラとかそういう人智を超えた現象を見た気分だった。2日間で色変えは幾度となく見たが、当然何%かは変えるのを面倒がったり、別の色を振ったりする。それがあのときは比喩無しで100%、なんの取り決めもなく全員の全員がオレンジだった。統一感にさらに一段階上があった。驚愕と言うよりも畏怖に近かった。

 ライブに行く理由……と改めて考えみて、別の答えを言うなら「刹那性」だろうか。友人の「その時その場でしか聞けないんだよ!」という言葉は頭では理解できたが、Live Aid '85のウェンブリー・スタジアムにいなくても当日のフレディはネットですぐ見られるし、今の時代ライブのオンライン配信も多い。メロディをなぞるだけならイヤホンで申し分ない。正直最初に話をもらった時は「行く必要ある?」だった。ただ「何かものすごいことが起きそうだ」という少しの好奇心が勝り今日に至った。
 会場で生で浴びて分かったのは、1曲1曲すべてがその時限りの”ライブ・リミックス”なのだ、という事だ。現に気に入った曲を帰ってから何曲か聞きなおしてみたのだが、どうも物足りなく感じてしまう。メロディをかき消す重低音、耳をつんざくハイトーンボイス、そして轟く観客のコール、それらは元の曲を全く別物に生まれ変わらせていた。
 私はゲームのサントラが好きで、DQ3の曲ならFC版、SFC版、N響オケ版、名も知らぬyoutubeのリミックス……みたいに色々なアレンジを楽しむタイプだ。それと同じように、君がイヤホンで聞いて気に入った『WATER BLUE NEW WORLD』の"別バージョン"があるよ、しかもそれは12/10に東京ドームに行かないと聞けないよ……と言われたら。人間の性として当然行きたくなる。他にも推しに会いたいとか人それぞれ理由はあるけれども、どれもその時限りの「ハレ」を享受しに集まるんだな、と理解できた。文字通りのライブ・パフォーマンスである。

 終わりに
 「君が他のライブも行きたくなったのなら嬉しいな」と友人は言った。私がラブライブファンになるか、アイマスファンになるかはまだ未知数だが、この2日間は非常に楽しかった。他で得難い経験だった。人生何でもやってみるものだし、そのきっかけをくれた友人と異次元フェスのキャスト諸氏にはあらためて感謝の言葉を送りたい。


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