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photo sheちゃん


雨は良いですよ、部屋から聞こえる分には。

人生は後悔ばっか。
過ぎ去った過去は尾ヒレが付くうちに、虚飾を帯びた栄光となるし若気の至りはまだ早い人生を微かに狂わせるし。

眠ること、狂うと面倒になる。
次第に寝息を立てて規則的な呼吸が聞こえる程、焦る。
水分が足りていない赤子のように、焦る。
あれは会うべきでは無かったな、と気が付くほど小さな小さな傷が付く。
あれは言うべきでは無かったな、と目が覚める程己への罪は重なっていく。
本当に弱いな、と知るほど落ちてしまう。

誰も居ない水族館の大きな水槽の前に立ちたい。
揺蕩う、光の偏光を目で追いたい。
午後を過ぎた部屋を過る穏やかな色の光に触れたい。
訳が無いのに寂しくて泣いてしまいそうな日の過ごし方が分からないし、眠れない夜、要らないことを考えるのを辞めたい。
少しずつ大丈夫だと偽ることは自分を遠ざけることだと気がついた時に手を置きたい。
強くなりたいのに、強くなり方が恐ろしくて立ち竦んでしまう。
嫌な事を嫌だと言いたい、のに言えない。
そのわだかまりが静かに積もる。
はっきり物が言えない断れない自分の弱さに爪を立てたい。ずるい技なんて大人みたいに使わないで、ちゃんと言えばよかった。悲しくて四角い部屋の隅、体育座りでうずくまりたくなる。

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