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服の設計士hagyの「服の見どころ・腕の見せどころ」vol.24~「パタンナー」って何してるの?chap2.5~

残暑の厳しい今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか
フジファブリックの『若者のすべて』が胸に響く時期ですね
個人的には井上陽水の『少年時代』もたまりませんねぇ…

さて今回はchap2.5と銘打ってはいますが、前回まででパタンナーの仕事はひととおり説明しました
ですが業態によってパタンナーに求められる役割が微妙に変わってくるので、そこを補足していきます
ある程度、就職・転職しようとする人向けの内容になるかと思います
(ただし、自分の知り得る範囲なので全てが書かれているとおりではないことだけご了承ください)

まずは

1.大手アパレルメーカー

大手アパレルメーカーと聞いてだいたい頭に思い浮かぶメーカーのパタンナーです

大手アパレルメーカーでのパタンナーは、まさに前回までに書いた仕事全般を行います

ただ自分でトワルを組むメーカーは少ないかと思います
だいたいはトワルを作らずに1stサンプルを作って次に展示会サンプルという流れですね

パターン作成はCADです
ファ◯◯フォ◯◯◯は手びきらしいですが…(震)

ちなみに大手セレクトショップ企業のパタンナーも聞くかぎり同じ感じです
少し違うのは、セレクトショップの方が外注に出す比率が多いかな?って気がしますが(数字を知っている訳ではないので、あくまで気がするだけです)
ちなみにトゥ◯◯◯◯◯ドのメンズは100%外注です
他にも同じ会社内でも、このブランドは外注に依頼する、とかはありますね

2.コレクションブランド

いわゆる東コレとかパリコレに参加しているブランドのメーカーです

ここがいちばん多種多様ですかね
そもそもパタンナーのいないブランドが結構ありますし
パタンナーが生産業務を兼任しているところはわりと聞きますし
某超有名ブランドはデザインまでパタンナーが考えますし
自社ブランドのパターンの他に他社のパターンの外注依頼を受けているとこもありますし
…到底まとめきれません(汗)
って言ってても始まらないんで、ある程度大きいブランドを想定して下さい

まずほとんどのブランドでトワルを自分で作ります
やはりコレクションブランドの方がこだわりが強い傾向があるので、トワルを作って修正してまた作って、みたいな繰り返しを行うことがあります
単純に1stサンプルを作るお金がないのでトワルで済ますってところもあります
かたや1stや展示会サンプルまで自分で縫うところもあります
縫製技術が求められますね

パターン作成はほとんどCADです
ですがCADを導入するといろいろ費用がかかるのでグレーディング以外は手びきのブランドも若干はあるかと思います(グレーディングは外注にだす)
あとドレーピングを行うブランドも少なからずあると思います
というのも難しいデザインは、2次元(平面)で考えるより3次元(立体)で考える方が作りやすい場合があるからです

ほんとにブランドによりけりなんでなんともいえないのですが(汗)
トワルを作ることと、それに付随して縫製技術が必要ってことがポイントですかね

3.OEM

OEMとは基本的に企画・販売以外の業務をアパレルメーカーに代わって請け負う業態のことです

OEMのパタンナーの仕事は前述の大手アパレルメーカーとほぼ同じです

違うところといえば、メーカーから依頼される仕事なので、やはりメーカーからのプレッシャーがあることでしょうか(納期とか品質とか)
アパレルメーカーのパタンナーだと、良くも悪くも身内なんで融通がきく部分もあるのですが…

あと、アパレルメーカーからきたパターンをチェックする仕事もあったりします
パターンはアパレルメーカーが作って生産をOEMで行う場合もあるので、その時はOEMで生産する前にパターンに問題がないかチェックする訳です
(いろんなメーカーのパターンが見れるので勉強になります!)

他にグレーディングや、パターンに洗い加工の縮み寸法を加える仕事をOEMですることもあります

4.工場

縫製工場専属のパタンナーですね

OEMでなく工場となると仕事はかなり限られます
主にアパレルメーカーからくるパターンのチェックと出荷の際の検品です

縫製するときに問題が起きないように、仕様や縫い代、縫い合わせる線の長さなどをチェックします
問題がある時はメーカーに連絡して修正したものを送ってもらうか、工場側で直したりします

工場によっては、パターンに洗い加工の縮み寸法を加えるパターン修正も請け負うところありますね

生地を裁断してしまうとパターンが間違っていてもちゃんとチェックしなかった工場が悪い、みたいな習慣があるので責任は重いです…

あとCADですが、アパレルメーカーはほぼ東レのクレアコンポなのですが、工場はユカや島精機のCADを使っているところが意外とあります
私は東レ以外使ったことないのですが、見たり聞いたりしているかぎりだと、操作方法がわりと違うようです

5.外注パターン会社

その名のとおりパターンの仕事のみ請け負う会社です

その会社の取引先によって業務内容は多少変わってきます

コレクションブランドが取引先の場合、トワルから1stパターン、展示会パターン、グレーディングまで任されることが多いです(その点はアパレルメーカーやOEMと仕事は同じですね)

商社が取引先の場合(商社は1年を通して安定的に仕事を発注してくれるので取引している会社は多いです)、1stパターンだけ、グレーディングだけ、パターンチェックだけと仕事は様々です
1stパターンだけ作成して、出来上がりの商品は見られない、とかもあります(これが結構モチベーション的にツライです)

あとおそらくどこの外注でも多いのがメーカーから渡された商品のパターンを抜く仕事です
とくに商社は多いですね(経験者は語るw)
製品から逆流してパターンを作るのは、これはこれで特別な技術が必要です(詳しく書くと長くなるので割愛します)
有名ブランドの服を抜く時とかは楽しいですね

外注パタンナーはいちばん色んな技術が求められます
世の中にはいろんなブランドがあるので、いろんなパターンを引く能力が求められるわけです
さらにパターン一本でお金を稼ぐ訳ですから、自然とパターンに対する姿勢も変わります。ミスをすれば次のシーズンに仕事が来るかわからないプレッシャーもあります
他のパターン会社との競合もありますし、環境的にほんとうに厳しいです


以上、ザクザクと書いてきましたがなんとなくイメージが掴めたでしょうか
正直漏れてた部分もあるかと思いますが、ここはもっとこうだ!というコメントあればコメントください
就職する際に業態によってパタンナーの仕事内容が違って困っている学生さんがおられると小耳に挟んだので、今回は主にそちらを念頭に書きました
このnoteが少しでも役立てば幸いです

それでは最後までご覧いただきありがとうございました


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