洗濯と掃除の意義

わたしは果てしないズボラである。

掃除機はかけなくても死なないし、
整頓の為に買う仕切りやボックスは無駄遣い。
人に不快感を与えないくらいまでなら洗濯せずに着る。
トイレや水回り何て掃除する意味がわからない。

休みの日には起き抜けからノンストップでタバコを吸い、
夜な夜な街をふらつき酒を飲む。
そこに掃除などが入り込む余地など皆無だった。

もちろん外に出る時は変なやつに見られたく無かったので、
掃除と整理整頓と断捨離が好きですみたいな顔で出歩いていた。

そんな私が結婚した人は結構な掃除好きだった。
家の中では小汚いズボラな私に整理整頓を強制するでもなく、
楽しそうに掃除機やクイックルワイパーをかけ、
トイレを掃除し達成感に喜んでいた。

最初は本当に理解出来なくて戸惑ったが、
一緒に暮らしていくうちにある事に気付いた。
きれいな部屋に住む事は気持ちが良い。

寝たり座ったりする時に物をどけなくて良いし、
ここにあったはずと思いながら物を探す事もない。
布団や衣服はいつも良いにおいがする。

それまでは全く感じなかったのに、
散らかった部屋で暮らしていたストレスが、急に縁取られてくっきりと見えるようになった。

今では毎日シーツを替え掃除機をかけ、シンクを磨く。
初めて夫に掃除用具が買いたいと相談した時、
夫は驚き過ぎて、何もない所でつまづきコケた。

もうそろそろ洗濯機に呼ばれる頃だ。
子が寝ているから掃除機はかけられない。
そうだ、お風呂のカビ取りをしよう。

昔の私が見たらひっくり返るくらいに細々と働く私。
あの頃面倒だと思っていた事一つ一つを達成する。
10年後には「元々整理整頓が趣味です」みたいな顔をしているだろうか。
少なくとも、もうそこに少し前の中年男性の様な私はいないだろう。
そうなっている事を願いながら、捨てそびれたティッシュを拾い捨てる日々。

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