写真はどう語り、また語られるべきなのか。自身の写真展をどう評するか。または、展覧会評へのちょっとした愚痴。

例えば、上の私の写真がギャラリーに置いて飾られ、「東京 #21」という題名がついていたとする。

この写真を語るために、写真の中身をまずは分析する。

なんだか暗い屋外の階段が写り、シャッタースピードは遅いことから、夜に撮影された写真であることがわかる。そこを一人の人が降りており、まばゆい白と赤の光が階段の外から差しているが、階段自体には照明はない。どうやら、普段あまり使われる階段ではないようだ。非常階段かな?そういった感想が頭に湧く。

赤い光は、当然、赤いランプがただあるわけではないだろう。じゃあなんの光だろうか……と考えて、撮影者の前作、「東京 #20」を見やると、どうやらこれはカラオケの看板のネオンサインらしい。

となれば、これは、東京のどこかの非常階段で、かつ夜に撮影されており、ネオンの光を効果的に取り込もうとした写真であることが、まずわかる。

ただ、これだけでは構図の分析に過ぎず、構図の良し悪しでしか写真を語れなくなるために、もう少し深掘りを行いたい。タイトルに注目してみよう。

「東京 #21」。東京でのシリーズの作品群であり、ナンバーが21番。撮影者はなんらかの意図を持って東京を撮影し続けており、今回はその作品を数十点撮影しているようだ。また、どうやら東京にはこだわっているが、無機質なナンバリングまでをタイトルに入れることから、他の命名要素は排除しているらしい。他の作品を眺めてみる。


上から順に、「東京 #08」「東京 #13」「東京 #14」。

どの作品の命名の規則性も同じようだ。また、これらの昼の作品の2,3枚めに写る文字から、一連の写真が、新宿で撮影された可能性が浮かび上がってくるが、詳細はわからない。いずれもスナップ写真と言われる写真群であり、昼夜問わず、東京の姿が写されているのだろう。

一番最初の写真に立ち返る。そろそろ、200字程度の短評はかけそうだ。

「スナップの撮影者である○○は、今回は東京を中心とした写真群を個展で発表する。無機的な都市のアーカイブによって会場を大胆に構成し、どんな時間帯、どんな場所においても人々の行動が観測されうる都市社会での営みを描き出した。[東京 #21]は、廃ビルに存在するような階段すら、実際には現役で用いられていることを示すかのような写真であり、綺麗なだけでは済まされない都市の暗部を鑑賞者に提示する。」

190字弱。

ここまでの仮想の展覧会と短評は、なんとなく、私自身の写真の語り方をなぞったものである。事実を用いながら、どのように写真を語るか、ということは非常に難しい。

例えば、つい最近、IMA ONLINEでこんな展覧会評が飛び出した。

これまでサラリーマンや女子学生など“日本社会における記号的な存在”をモチーフにしながら、自分自身の思春期観や父親像などを反映させた作品を制作してきた青山が今回モチーフに定めたのはひとりの“少女”。

この展覧会評、実は私はめちゃくちゃ好みではない。かっこよくかっこよく展覧会評を書いた結果、こうなったんだろうなぁ、という気がしてしまうためだ。例えばこれを、めちゃくちゃ通俗的に、かつ私の僻み満々で書き下すとこうなる。

これまでサラリーマンや女子学生など、一般人にもわかりやすい人々をモチーフにしながら、自分自身の妄想を反映させた作品を制作してきた青山が今回モチーフに定めたのはひとりの“美少女”。

いや、だって美少女じゃん!!!!誰がどう見ても、100人中98人位は美少女だっていう美少女じゃん!!!!なんかもうそれだけが頭に残るし、しかも展覧会テーマだって、「少女礼賛」。これ、青山さんがやるから許されているだけじゃない……?なんてツッコミを入れる。

確かに、写真展ってめちゃくちゃ売れるのは難しいと思うんです。だからこそ、ポートレートの名手、妄想フォトグラファーの旗手、青山さんの写真なら、そりゃ誰だって美少女を期待はすると思うんですが……にしても、そうした写真展を、「記号的でありながらも極私的」なんて書いちゃった日には、個人的には恥ずかしくて飲みながらネタにしちゃうレベルだと思うんですが……どうなんでしょう。

尻切れとんぼに口調まで変わっちゃいながら、一人ため息をつく私でした。

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はいあ

フリーランスカメラマン兼、 写真雑貨屋オーナー兼、 写真研究者見習いです。 スナップを撮る傍ら、写真文化の裾野の広げ方や、誰でもが素敵に撮影できるポートレートの方法論を模索しています。

良い写真って、なんだっけ。

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