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写真史・写真論の入り口に、1万円で立ってみる。【 #1万円で始める写真史 】【 写真本選書企画 その1 】

上のツイートが始まりで、私のTLで、やおらに写真史に関わる人達が盛り上がり、気づけば、タイトルの企画ができていた。

「写真史っていまいちわかりにくい」
「写真を表現として考えたいけど、どんなふうに考えればいいかわからない」
「もっと写真のことを知りたいけど、何から読めばいいのか……」
となっている人、必読の記事です。

(こういう煽りは苦手なんですが、今回は私以外にもプロの写真史家やベテランの方までの参加があるために、ぜひぜひおすすめしたいところ)

ルール確認。

このように、プレミアム付きの本を除き、現行本以外も対象にすることで、価格を下げ、選書したものをみんなに簡単に買ってもらえるようにした。そのため、実際は5000円もあれば買えちゃいました、ってことも往々にあるはず。

この記事の使い方としては、
いきなり全部を買え!というのではなく、
・とりあえず気になる本を買ってみる
・気になるのであれば、その他の本も買ってみる

というのがおすすめ。構えず気楽に行きましょう。


それではとりあえず、まずは私の選書から。私個人のプロフィールを簡単に述べると、専攻が日本写真史で、専攻歴は3~4年の駆け出しの学生、といったところ。つまり一番のぺーぺーである。テヘペロ。

以上の8冊。
リンクはすべて生きているはずなので、原本はそちらで確認可能。
1万円という縛りの中で、とにかく読みやすさ、手に取りやすさを重視。
大型本は他の方が選んでくれると思い、あえて殆ど外した。代わりに、電車でも読みやすい新書サイズのものを多く入れ、サクサク吸収ができるはず。他の方の入門に対して、その入門と、入り口を示したつもり。

日本写真史の読みやすさはすごい。世界写真史は本当に読みにくいけど、代替書籍がない(みんな選書に苦労していた)。下の4冊はいろんな時代をつまみ食いした、写真作家たちの随筆や芸術論の本。適当に気になったものから手にとっていただければ。

次は、田浦ボンさん。フォトグラファーさんであり、こうした写真本を常に読んでおられる方のイメージが有る。

とんぼの本の写真の歴史入門は、東京都写真美術館の学芸員が執筆し、編集も東京都写真美術館が行ったシリーズ。一部を執筆した三井学芸員は初期写真(主に19~20世紀前半の写真)に著作が多く、当時を語るには外せない。カメラの歴史もしっかりと入れてこられたのが田浦さんのセンスで、カメラ好きの方だけでなく、技術とともに進歩してきた写真にとっては外せないものとして、カメラ史も読んでもらいたい。

続いては3冊をざっくばらんに。

この本は写真史をじっくり、というタイプではないのだが、かなりすごい本で、なんとページ数が450ページ超えの新書で、そこに写真が数千枚びっちり、という、なんだかとてもお得な本。昭和30年代にもカラー写真が存在し、それらで写されたものをのんびりと眺めることで、昔の写真に思いを馳せることができる。

コンタクトとは、フィルムの原盤の大きさをそのままに、1枚の紙に1本のフィルムの全てのコマを、ずらーっと全て焼き付けたものである。少し時代を感じるものの、日本の著名な写真家の有名な写真を撮るまでの苦労が、1枚のコンタクトシートに示されていて面白い、という内容。写真家に慣れ親しむための一冊。

学生紛争のさなか、今より写真がガンガンに尖っていて、同時に写真家の思想もビンビンだった時代にでた、伝説的な写真雑誌、プロヴォーク。同時代を生きた写真評論家の西井一夫によって、その全貌が明かされる。ちなみにプロヴォークは復刻版が出ているので、気になる方はそちらを買ってしまうのもあり。


続いては播磨屋さん。Twitter上におられる、知る人ぞ知るベテランアマチュア写真史家さん。今回の企画の共謀者のお一人で、家には大量すぎる書籍と、コピーライカがあるとかないとか。

私の説明なんて不要の大ボリューム写真本紹介。その熱に、愛に溢れています。大型本の選び方も秀逸。本人のブログ反省会も必読なので、ぜひ飛んでみてください。


そして写真本紹介としては最後に、写真史家の打林さんを。何を隠そう本職研究家さんの参戦に、首謀者残り二人は楽しくもぴりぴりとしたムードになったのは言うまでもありません。

という選書。はじめにキュレーターの著作を選び、更には自著まで……!と、なんとも唸らせる選書の数々。

そしてこうしてみると気付かされるのが、
・『カラー版 世界写真史』を中心とする、網羅的な書籍には常にその影が見える飯沢耕太郎氏
・写真という表現が、いかに技術とともに歩んできたか
・同じ初心者向けとしても、どれだけ色んな本が良著として認定されているか
・そして同時に、新たな通史本は、やはり必要とされている

という事実。

飯沢氏のあとを継ぐのは誰なのかも非常に興味深いところ。

この他にも色々ありましたが、とにかく今回はこんな感じで締めとします。タグに乗っかってくださった皆様、本当にありがとうございました。

第2回もおそらく開催する予定なので、いろんなものが再び見られるはず。みなさんもどしどし買って、気軽に読んでみてください。写真、面白いですよ。



……そして!上には掲載できないとっておきテクニックがこちら。

とんでもない裏技。













サポートして頂けた分は、写真に対する活動全てに充てさせて頂きます。缶コーヒー1本分からの善意への期待を、ここにこっそり記します。