6月20日1

二刀流

実はタイピングはかな打ち派です。

「えっコイツ小学生のパソコンの授業から成長してへんの?」と驚かれる方もいるかもしれない。実際、私の子供の頃は小学校の授業でパソコンを触る際は、まずはかな文字入力で触っていた。(年代によってだいぶ変わると思うけれども。今ってどうなんですかね)その後、年齢があがる中でローマ字を覚えて、ローマ字入力に移行していったはずだ。もちろん私も例に漏れず、ローマ字でのタイピングを覚えた。

我が家は親が意外と新しいものを受け入れていくタイプで、小学校4年生くらいである程度パソコンは自由に触らせてもらえていた。成長すると共に自前のPCも買ってもらえた為、はじめて二次創作サイトに足を踏み入れBL文化に衝撃を受け(軽くトラウマになる)、フラッシュ倉庫を見漁り、眠くなるフラッシュ動画と騙されホラー画像と悲鳴が大音量で流れるフラッシュにちびりかけ、大好きなゲームのファンサイトのBBSやチャットで仲間たちと交流してキャッキャウフフと、同年代あるあるなインターネットの世界を歩いてきた。当時はネットどころかPCを持っていないという家も多く、まわりの子たちよりタイピングが早かったと思う。

そして時は流れ、高校生になった私はワープロ部という謎な部活に入った。当時通っていた高校は学生は全員なにかしらの部活にはいらなければならなかったのだが、帰宅部なんて都合の良い部活はなかったのだ。しかし生粋の運動音痴の私にはスポーツの部活などさらさらやる気もなく、消去法で選んで残ったのがワープロ部である。

部活内容は、「Wordでの文書作成のマスター」と「タイピング」であった。それを総称してワープロ。年に何度か高校生対抗のタイピングの大会があったのだ。大会の内容は、渡された例文を制限時間の10分間でいかに早く、タイプミスをせず入力できるかで競われた。具体的に言うとPCの横に配布された例文をたてかけ、それを読みつつダダダダダダダとブラインドタッチで文章入力をしていくのである。当然タイプミスがあればそれだけ時間をロスする。ミスを残したままだと減点される。また、地味に難読漢字の一発読みなどができないと1文字ずつ変換するはめになるなど、国語的な能力も求められた。(天橋立←当時の大会の例文でこれが一発読みできず、てん、はし、たつ、で変換したのを覚えている。あまのはしだて、と打ち込んだほうが当然早い)

そしてうっかり私はこの部活にドハマリしたのである。1秒のロス、1タッチのミスの争いが激アツ。部活そのものはいわゆる幽霊部員だらけで実際に活動している部員は少なかったが、一緒に入部した友人や後輩たちとがんばって練習をしていた。そらもうダカダカ打っていた。
なんとか大会でも爪痕を残そうという熱はあったのだが、上位との壁が厚かった。3位までが入賞なのだが、その3位までの間に100文字近い差があった。たった100文字と思われるかもしれないが、これがどうしても届かなかった。(ちなみにワープロ検定の1級は10分間で710文字ぐらいが合格ラインだったが、大会ではまず1000文字は確実に超えないと話にならないレベルだった)

あと一歩…という悔しさを抱えたまま、高校三年生となった私と友人(まさかの部長と副部長就任)は最後の大会を控え、なんとか速度をあげるべく練習に打ちこんでいたのだが、やはり記録は伸び悩んでいた。
すでに己の限界を感じていた私は、ついに今まで冗談で言っていた策を本気で実行することにした。

「私、かな文字入力に変えるわ」

ローマ字は1文字入力までは基本2タッチ。それに対してかな文字入力は1文字1タッチである。理論上は入力できる文字数が倍近くになるはずだった。理論上は。

しかしそれは部活以前に10年近くローマ字入力だった奴がその癖を忘れ、かも文字入力に移行するわけである。右打ち打者が急に左打ちに変えるようなものである。だがマジで追い詰められていた私はその宣言をした日から猛練習を開始し半年後には、かな文字入力を習得したのである。

そして迎えた高校生最後の大会。

成績はローマ字入力のときより悪かった。

なんだこれ。あの時の虚しさといったらない。いやぶっちゃけ人並みには打てるようにはなったのだがローマ字入力の癖が抜けきれず、タイプミスでの時間のロスがかなりあったのだ。結局、ローマ字入力を素直にやっていたときより打ち込めた文字数は少なかった。本当になにしてんだ。普通に考えれば当たり前といえば当たり前だったのだが、若さゆえの過ちであった。大変微妙な空気のまま、我々は最後の大会を終えたのである。

そしてそのまま、ローマ字入力に戻るでもなく、かな文字入力派で生きています。いまではローマ字入力よりさすがに早くなりました。一応ローマ字も打てますが、もうだいぶ遅いです。微妙な二刀流です。
タイピングゲームとか本当はめっちゃ無双したいのに、かな文字対応していない場合が多くてぐぬぬってなります。ちゃうねん、わしの実力はこんなもんやない!

ちなみにかな文字入力ができるようになって得したことは今のところ特にありません。人にPC貸したときに「かな打ちかよ」って舌打ちされるくらいです。なんだこの野郎。

この二刀流がいつか役に立ってほしいので、なんか爆弾の解除がパスワード入力しないといけないみたいなシチュエーションとかで、

「くそっ!このパソコンかな文字しか受け付けねえ!これじゃ間に合わねえ!」

とかなんかそんなんなってるところに颯爽と現れて、

「任せな!」

って余裕でダカダカ打ち込みたい。キャーグレーさんカッコイイ!って言われたい。そんなアホなことを思うグレーさんです。今後そういった機会があったらどうぞよろしくお願いいたします。