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覚書④

春が嫌いだ。でも春の夜は好きだ。

暖かくなりはじめ、どこかがなにかが疼いてくるような感じ。
人間も動物なんだなと感じる季節。
寒いころぎゅっと固まっていたものが、強制的に解されていく感じ。
嫌いだ。

春の夜の、何かが起こりそうなうずうずしてくる感じは嫌いじゃない。
どこか湿った土の匂いがして、なまめくような風の匂いがして、
誘うような湿った春の夜は嫌いじゃない。

寒くもなく暑くもないどっちつかずが苦手だ。
何かが萌えてくるような鬱陶しさが苦手だ。
たぶん新しいものになかなか慣れない性格もあるからだろう。

春は嫌いだ。

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