音楽配信(ストリーミング)はダウンロードに比べてもうからなくなる?

ダウンロードに続けてストリーミング(ここでは主にサブスクリプション)はどれくらいもうかるのかを考察してみましょう。

前提:ダウンロードでは250円で販売した場合に148円が権利者に支払われる。(参考:音楽配信(ダウンロード)はどれくらいもうかるのか?

ストリーミングではどれくらいなのかは、公開されているSpotifyの情報をベースに考えてみます。

Spotify for Artist (日本語訳はこちら

再生単価が明確に設定されている訳ではありませんが、実績ベースで0.006ドルから0.0084ドルとのこと。おそらく日本でサービス展開される際には、他のサブスクリプションサービスと同じく月額980円で展開されると思われます。ですので、海外の月額9.9ドルという価格設定も考慮し、ざっくりと日本円に置き換えると1再生あたり0.6円〜0.8円程度の再生単価になるのではないかと思います。ただ、当初は広告があまり入らないであろうことも考え、また計算を簡単にするためにいったん1再生あたり0.5円と置いてみます。

そうすると、1曲250円でダウンロード販売した場合と同じレベニュー、148円を権利者に支払おうと思うと296回再生される必要があります。僕のitunesライブラリの再生回数の多いものをみても30回程度です。もちろん同期漏れもあるし、他の聴き方をしているケースもあるから実際には1曲あたりの再生回数はもっといっているはずですが、購入もしくは入手からのある程度決められた期間で300回も聴いているかというとさすがにそんなには聴いていません。(もちろん何年,10何年と聴いている曲は300回とか聴いてると思いますよ!)仮に1ユーザーあたりお気に入りの楽曲を30回聴いてくれるとするとそこらかの権利者分配は約15円。ダウンロードと同じ収益をあげようと思うと、10倍の人に聴いてもらう必要がある訳です。

ちなみに数ヶ月前のデータですがSpotifyで一番再生された楽曲はAviciiの『Wake Me Up』で約2億再生だそうです。(参照:Spotifyで最もプレイされている曲をご存知ですか?)上記の計算式で逆算すると2000万ダウンロードに相当する売上げがあるといえるのではないでしょうか?(実際には国内外でのダウンロード販売の価格差もありますし、これくらい聴かれている曲ですと1ユーザーあたりの平均再生回数は30回を下回ると思うので、ちょっと乱暴な計算ですが・・・)

ダウンロード販売の世界記録がどれくらいなのかは調べきれなかったのですが、日本だけでもGreeenの『キセキ』が着うたフルで240万ダウンロード(参照:GReeeeN、「キセキ」がギネス認定)、青山 テルマ feat.SoulJa『そばにいるね』が2014年3月にようやく300万ダウンロード(参照:レコード協会調べ 3月度有料音楽配信認定)という数字と比べて、2000万ダウンロード相当という数字は全く引けをとっておらずむしろ上回っているとも言えるのではないでしょうか。もちろん国内だけの数字とワールドワイドでの数字を単純比較はできませんが、日本は世界第2位の音楽市場であり、シェアにしても20%弱を誇っています。

ダウンロードにくらべてストリーミングがもうからなくなる?という問いに関しては、「ロングテールでいうところのヘッドに関してはそんなことは無いのではないか」とうのが今時点の僕の考えになります。

じゃあテールの部分の売上はどうなるの?はまた別の記事で。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?