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なぜオパールは不幸の石と呼ばれたのか

氷のような炎をはなちながらたえず燃え続ける蛋白石、
人の心を悲しませ、暗闇を怖がらせる…」
(オスカー・ワイルド サロメより)

**オパールは、不幸の石なのか? **

日本語で、蛋白石と呼ばれるオパールはその特有の遊色が美しい10月の誕生石のひとつ。

10月は、他にピンクトルマリンもありますが個人的にオパールが大好きなのでそれについてのお話を。

多くのオパールがシリカと呼ばれる球状のケイ酸の粒たちが、規則正しく並び、
このシリカの列が積み重なり、その周りが水分で満たされ、固まるという生成原理です。

シリカ球の層に光が通ると虹色の輝きが見れます。

**石言葉は「愛を射止める」「人々に喜びをもたらす」「内側の才能を引き出す」 **

オパールの石言葉は、とても良いものばかり。

見る角度によって変化しながら虹色に輝く遊色効果は、昔から人々を不思議と幸せな気持ちにしてきたからこういった石言葉があると思うのですが、「不幸の石」ともいうのです。

不幸の石」といわれがついた原因は…

宝石職人達がオパールをカットしたり、金属の台にはめ込んだりする際に、
オパールの成分に5〜10%の水分が含まれているというデリケートな性質ゆえ、熱や乾燥に弱くに石が欠けたり、割れたりすることが多々ありました…。

加工での事故は、職人が責任を負うことになっているので多くの職人がこの石に対して嫌悪感を抱き、とにかく扱いたくなかったと思われます。

昔の宝石職人にとっては己の人生を不幸に導く可能性のあるおそろしい宝石だったのです。

ルイ6世は世にも素晴らしいオパールを誤って割ってしまった職人に怒り、腕を切り落としてしまったそうです。

そんな事を噂にでも聞いたら、取り扱いをしたくない職人の気持ちもわかります。

さらに、現代の迷信に大きく影響を与えたと言われるのが、1829年のイギリスの小説

**『Anne of Geierstein(ガイアスタインのアン)』。

小説の中に出てくる主人公、
レディー・ハイマイオニーがいつもオパールの髪飾りを着けていて、
話の中で、この髪飾りが彼女に不幸をもたらすことはないのですが、
ハイマイオニーの気持ちに合わせてさまざまな遊色を見せる中、聖水をふりかけた時に輝きが消え、ハイマイオニーが気を失ってしまいますが、
次の日には、ベットにひとかたまりの灰が残っていた…

という話が、いつしかオパールが彼女の命を奪ったかのようなおろそかな読まれ方をしていたみたいなのです。

広く信じられていても、本当の理由や言われは何処かにいってしまう。
人々の解釈について、この石を通して気付かされる部分があります。

…「お母様、(オパールの髪飾りの)御守りよりもあなたの愛こそが私を守ってくれるでしょう。
とはいえ、この素晴らしい宝石は輝く空から不思議な力を与えられたよう。」
(Anne of Geiersteinより)

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