授乳後のおっぱいをナンと例えるか?

川上未映子の『きみは赤ちゃん』を読んだ。

コミカルな出産エッセイ、こりゃおもろい。

ただでさえ「女性性」を意識せざるをえない 川上未映子の作品の中でもことさら出産・育児系のエッセイを今更、しかも学び舎が文壇出身のクセしてあんまりフェミニズム論争に関して口を割らない僕が急に読み始めたのは 大学時代に教わってた教授の件で昨年度色々あった のとシンプルに友人に薦められたからだけれど、薦められた当初の正直な気持ちは「エッセイとかそんなに読まねえしなぁ〜まぁブログを読む感じでちゃちゃっと流し見で読んどくか!」といったあんばいであった。

結果、一字一句飛ばせないまま読破してしまったんである。

なるほど「男なんかに出産の辛さは分からない!」とよく叫ばれるアレ、正直そのままの言葉だけだと世間はフェミおつかれ〜と一蹴するしかないというか、そりゃ「分からない」んだろうし、「男なんか」って攻撃したいだけだよねはいはいごめんごめんって態度になるよなとは思っていたけれども、こうもリアルに「女性性」としての自虐を入れながら強くも弱くもある妊婦と強くも弱くもある母親の思考を曝け出されてしまうと、そりゃ強くあろうとしかしない我々男どもは思わず正座して「男なんかに出産の辛さは分からんです」とポロッと吐いてしまうのは必然、これが川上未映子の強さなのだ。なむなむ。

出産エッセイって、男こそが読むべきだ。


ちなみに、川上未映子は芥川賞をとった『乳と卵』の文中で、授乳後のおっぱいのことを「ぶらさがった二枚の靴下」と形容していたけれど、彼女は当時の想像力のなさを反省し、このエッセイで改めてこう言い直していた。

打ちひしがれたナン。

読んだときはめちゃめちゃ笑ったけど、思い返すと言葉選びにほとほと関心してしまう。「干からびた」でも「うなだれた」でもなく、「ナスビ」でも「モモ」でもなく、「打ちひしがれた」「ナン」……。

僕は将来、自分の妻となる人の授乳後の乳をなんと形容できるだろう。

誰とも知らぬその人とふたりで大喜利する様子が頭に浮かんで、未来が少し楽しみになった。

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広野 萌

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