入試制度改革で危惧される不正の隠蔽

次々と明るみにでる医学部入試の不正。ただ、見方によれば不正が表面化しただけ、まだよかったともいえる。

そもそも、不正は医学部に限った問題ではなく、他の学部でも起こりうる。しかもそのリスクはだんだん大きくなっていると考えられる。

近年、多くの大学が推薦入試やAO(Admission Policy)入試を取り入れるようになった。またセンター試験にかわる新たな入学者選抜制度のもとでは、記述式の問題も取り入れられようとしている。

このように問題が抽象的になるほど採点基準はあいまいになり、恣意や差別も入りやすくなる。たとえば記述式なら、文字をみれば男性か女性かはおおむね判別できるので男女どちらかに甘く、あるいは厳しく採点することは可能だ。しかし、たとえ答案を精査しても不正の証拠をつかむことは難しい。

大学入学者選抜の望ましい姿については拙著『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)でも私見を述べたのでここでは触れないが、少なくとも「学力の見直し」とか「総合的」とかいった美名のもとに、不正が隠蔽されるような制度にだけはしてならない。

https://www.asahi.com/articles/ASLD76F5LLD7UTIL05T.html

「個人」の視点から組織、社会などについて感じたことを記しています。