採用領域 | つい見落としてしまいがちな、内定承諾に向けての隠れたKPIとは?

株式会社Hakaliの小川です。
もともと、リクルートキャリア→ビズリーチと、人材領域においてデータサイエンティストとして渡り歩いてきたキャリアです。

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今回は、もしかすると採用関係の方には明らかなことかもしれませんが、僕の経験上、意外と漏れがちになってしまう「採用の隠れたKPI」について書かせて頂きたいと思います。

採用におけるファネルの設計

言うまでもく、採用活動のゴールは「候補者の内定承諾」です。そのため、そのゴールに向けて、例えば以下のようなファネル※を設計していくことになります。

※ファネルとは、日本語で「漏斗(ろうと)」のこと。逆三角の形が、マーケティングにおける成約や購入に向けて、少しずつ少数になっていく様子に似ているため、そのように表現されます。

日々さまざまな採用活動を行うなかで、このようなファネルにおける決定率を上げていくことが、採用担当者には求められることになります。
このファネルにおいてお互いが会いたいと思った状態を「ハンドシェイク(握手)」と名付け、大きな指標の1つとして捉えていました。候補者の応募からか、企業のスカウトからかの違いはあれど、「お互い会いたいという意思表明をしている」という意味においては同じです。お互い会いたいと思う人を最大化していくことが、マッチングビジネスの本質になると思っています。この部分は皆さんそんなに違和感もないし、そりゃそうだろという話かもしれません。
一方で、採用領域に長年携わっていたり、データアナリストとして企業の採用活動をお手伝いしていく中で、よく見落とされがちになっていると感じるもの、それは「スピード」です。

採用領域の隠れたKPI。それは、スピード

サービスに登録してからスカウトを受け取るスピード、ハンドシェイクしてから面接(面談)を設定するスピード、実際に面接(面談)するまでの日数など、各フェーズにおけるスピードは、ファネルの決定率を大きく変える変数になっています。

とある会社の採用担当者の方にインタビューしたところ、その会社では1つのルールとして「5分以内対応」を原則としているそうです。例えば、候補者の方からスカウトに対して返信があった場合、5分以内に即座にお返事をすることを決めているそうです。確かに、連絡直後であれば、候補者の方は「連絡の作業」をしていた後なので手が空いている確率が高いですし、逆に30分後であれば、もう他の作業をされてしまっている可能性が高そうですよね。結果的に、次のフェーズである「面談設定率」が、1.2-1.3倍変わってくるとのこと。その細やかな積み重ねが、最終的なファネルの決定率を高めていくのでしょう。

5分以内じゃなかったとしても、転職者側の心理状態を考えると、応募した直後、スカウトを返信した直後というのは意思決定直後なのでHOTですが、時間の経過とともに熱量が下がっていくのはなんとなく納得感あるのではないでしょうか。

スピードがKPIとして見落とされがちになってしまう理由とは?

ではなぜ、スピードが見落とされがちになってしまうのでしょうか?

再掲ですが、上記のようにファネルを設計すると、それぞれの「フェーズ」ごとの数と決定率を上げていこうとする力学が働きます。そして、今回の「時間」の指標はあくまでも各ファネルの「率」を上げるための下流に位置しています。

なのでレポートとして上がりづらい。きっと採用現場の方々は肌感としてスピードが大事な要素になっていることは皆さんお分かりだと思うのですが、ベースのファネルに出てこないため、可視化・指標化されづらいのだと思います。この肌感覚としてあるものをきちんと目に見えるようにしていく、ということが、当たり前ながらとても大事だなと最近思っていて、それによって組織運営がしやすくなると思います。

最近ではカスタマーサクセスの世界では、「オンボーディング」という言葉で登録直後のカスタマーのKPIを「○日以内に○○というアクションを○件」といった時間の概念を含むものが出てきているので、今後は時間の概念は徐々に可視化されていくのが当たり前になっていくかもしれません。

■参考記事

スピードは、企業ブランドさえも補完する可能性

当然、魅力ある企業の方が応募率やスカウトの返信率が高く、そうではない企業と比較すると、決定率に差は生まれることでしょう。しかし、スピードの積み重ねの差で、その後の決定率が数倍変わっていくことを考えると、時にスピードは企業のブランドを補ってくれる存在になるとも考えられます。また、企業ブランディングは一朝一夕にできるものではありませんが、スピードを念頭に置いたオペレーションの改善は、比較的なんとかできる部分でもあります。まだ強い会社じゃなかったとしても、興味を持ってくださった方に対して、少なくとも真摯にすぐに対応する、という姿勢を嫌に感じる方はいないんじゃないでしょうか。

もちろん、採用チームは社内でも有数の激務チームであることが多く、なかなかスピード感持って対応できないよ、という話も多いかと思います。採用チーム自体がコストセンターと見られがちで、人員を豊富に配置されづらい現状も理解できます。だからこそ、そこに経営者の採用に対する意思の差が出てしまうようにも思います。

スピードを担保できるオペレーション体制を整える

ここまでご覧いただいたように、ファネルの中では「時間」という軸がどうしても見落とされがちなってしまいます。そこで、オペレーション体制を整備しておくことが、スピードを担保する1つの打ち手になるかもしれません。もちろん個社ごとにやり方が異なってくるとは思いますが、具体的には以下のようにいくつかポイントがありそうです。

・ダイレクトリクルーティングサービスを利用する場合は、候補者さんの登録直後がもっとも返信率高いため、なるべく早くチェック&スカウト打てる体制を作る。
・応募後の書類確認は他部署にまたがるためコントロールが難しいが、合格した候補者さんはなるべく早く日程調整に入りたいため、ルーティン化できるオペレーションを作る。もしくは、書類確認〜一次面接のタイミングでは人事が全社に共通するマインドセットの部分を見ることにして、現場との日程調整コミュニケーションをなくして早く対応することを優先する方法もある。
・日程調整のタイミングは、先程の企業の例のように候補者さんから連絡をもらった5分以内が理想だが、そうでなくてもなるべく早いタイミング(遅くとも翌日まで)には実施できるとよさそう。そして初回面接(面談)はなるべく早い日程に調整したいため、こちらも関係者と合意をとっておきたい。

これらをいざ実行に移そうとすれば、いずれにせよ社内の採用に対するコミットメントが求められるので、最終的には経営陣から社内全体に発信してもらうのが望ましいように感じます。

最終的に大切なのは、お互いの納得感

と、今回はテクニック的なスピードの話に終始しましたが、もちろん採用/転職活動においてもっとも大事なのはお互いの納得感です。「無理やり決めろ」と迫ることはそもそも逆効果ですし、入社後アンマッチに繋がりお互い不幸になってしまいますので、面談(面接)の中できちんとお互いのすり合わせを済ませることは大前提です。

納得感をお互いが持つプロセスの中で、日程調整等のなるべく無駄な時間をなくす、ということが本質的に大事なんだろうなと思っています。

前前職でお世話になったビズリーチは、採用に対する情熱がほんとに素晴らしく「とにかく早く対応する」ことを徹底していました。テクニックというよりは、転職者の方に対して真摯に向き合うことを徹底していました。また、ビズリーチでは「面接ではなくて面談」ということもかなり徹底していました。少し話は逸れますが、この「面談」という概念も実は素晴らしく、あくまで転職者と企業は対等であって、お互い情報交換した上で、納得した状態で決めようね、というスタンスでした。結果として、かなり深い部分まで本音で話ができることが多く、僕自身その後の入社有無問わずその方との関係性が続いていくということが結構ありまして、ビズリーチ卒業後も仲良くさせていただいてたりします。いまでも素晴らしい出会いをさせてもらったことにとても感謝しています(謎に感謝で終わるという。いや、でもほんとにそうなんす)

それではまた。

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