キアラさんの善性について思う
FGOのSE.RA.PHコミカライズで殺生院キアラの過去の記憶を主人公が閲覧するシーンが公開されている。
〈ネタバレをします〉
イベントでは誰があれを記録したのかは謎に包まれていた。すべてのシナリオが終わったあともあれはキアラさんだと明言されたわけではなかった。
状況としては十中八九キアラさんで違いなかったのだろうが、彼女に取り付いたゼパルというキャラクターがその記録と一部で似たような経緯を辿ったこともあり、本当にキアラさんであってたのか?と疑念は残っていた。
それがコミカライズにより、確かにあれを記録したのはFGO世界における殺生院キアラで間違いないと判断できた。
FGOにおけるキアラさんは真に善人であった。けれどゼパルにより平行世界の最凶の自分と接続されてしまい、彼女は平行世界の自分に塗り替えられてしまった。
彼女は誰かのために尽くせる聖人にも、すべての人を食い尽くす獣にもなれた。
そのどちらになるかはどんな人生を送ったのかによって左右されるものだった。あまりに振れ幅がすごい。
そしてFGOの彼女は平行世界の殺生院キアラにその善性を塗りつぶされてしまった。
その善性は平行世界の自分を追い払う事ができなかった。
『私は「私だったもの」の25年の人生を守りたい』という言葉がひどく突き刺さる。
人の善性はその人生によって形作られ、善を得ることができるのは幸運だったからだ。
同じ人物であったとしても違う道をたどるだけで全く違う人間性を得る。
この点をあの過去の記録のシーンにより強く感じた。
一周目の主人公が呆気なくキアラに殺されてしまうが、ここに主人公=FGOのキアラを見てしまう。
悪によって善性は呆気なく消えてしまう。善性を保つことができるのは運が良かっただけ。
物語はこれで終わりではなく、一度悪に敗北してからそこから立ち上がり、打ち破る熱い展開がある。
だがFGO世界の殺生院キアラには救いはない彼女は消えてしまった。善性は戻らない。
それが割とつらい。
悪で善を塗りつぶすあたり作者は本当に人間の善と悪が好きだな…とひしひしと感じる。
うまくまとまらないけれど忘備録として残す。
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