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【第10回配信】70’s再開発の駅前ビル〈桑栄メイト〉で駅前再開発の話を聞いてきた

『八画文化会館vol.5 特集:駅前文化遺産』
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先行配信の第10弾をお届けします。

今日は謎に包まれた〈桑栄メイト〉の話です。この記事は、気合が入っております。ではいきましょう。

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【目次】

1. 消えた駅前ビル〈桑名ショッピングシティパル〉
2. 再々開発でも時代を先駆け「パルからサンファーレへ」
3. 駅前ビルの2大傑作「名店街」と「味の街」のある〈桑栄メイト〉

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1. 消えた駅前ビル〈桑名ショッピングシティパル〉

▲桑名駅前のロータリー。正面の水色のビルが〈桑栄メイト〉

▲盆栽ロータリーを中心に、駅を背にして左手が〈桑栄メイト〉。正面が〈サンファーレ〉

▲「東の川口、西の桑名」と呼ばれる日本の二大鋳物の産地。誇らしいモニュメント

桑名駅を降りると、美しい駅前広場が広がっている。

銅像を中心にした盆栽ロータリーで、地場産業の鋳物を象った歓迎モニュメントも印象的。お手本のような駅前広場だ。

▲仮設駅のまま工事の進まない桑名駅

仮設駅で駅舎の背が低いことも景観的には功を奏し、広場をL字に囲んだ2棟の駅前ビルを惹き立てている。

▲〈サンファーレ〉はマンションとしては三重県内で最も高い18階建て(高さ60m)

駅を背にして左には70年代の郊外ニュータウン風の〈桑栄メイト〉が、駅正面には00年代メイドの〈サンファーレ〉というこざっぱりしたビルが建っていて、2棟はペデストリアンデッキで駅と繋がっている。

▲サンファーレの裏手に残る商店街の一角〈銀座街〉。短い区間のアーケード商店街だ

▲錦通り。北野武監督の『龍三と七人の子分たち』という映画のロケ地にもなったスナック街

▲一番街

そしてサンファーレ裏手の路地には、銀座街、錦通り、一番街など戦後の闇市のような区画整理されていないごちゃごちゃした商店街が残る一角がある。時代の異なる駅前遺産が堆積し、地層のようになっている実に興味深い駅前だ。なぜ時代を跨いだ駅前遺産が、複数残っているのだろうか?

桑名駅前の再開発に詳しい、(株)総本家貝新の水谷新左衛門代表取締役社長に話を伺った。江戸時代元禄年間から300余年続く、時雨蛤で有名な老舗の十一代目社長である。

▲水谷新左衛門社長。桑栄メイト内の喫茶店で話を伺った

複数の会社を経営する多忙な実業家と伺っていたので緊張していたが、桑栄メイトの話を切り出すと「桑名でナンバーワンの危険な場所」と、お茶目。1973年の開業当初から変わっていないという。

桑栄メイトの謎に迫っていくと、もうひとつの消えた駅前ビルの存在が明らかになった。現在サンファーレのある場所には、もともと〈桑名ショッピングシティパル〉という、地下1階地上6階の大型ショッピングセンターがあった。

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