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鬼滅の刃の次に読むべき物語

鬼滅の刃の劇場版が公開された。

早速の大盛りあがりだ。

さて。

劇場版が盛況なことは何よりなのだが、鬼滅の刃の原作はすでに完結している。

60巻以上の長寿漫画も多い大御所を抱える週刊ジャンプの超人気作にしては珍しく、鬼滅の刃は23巻で完結するのだ。

これほどの超人気作をさくっと23巻で終わらせるのは大英断である。

連載時は20巻頃から完結する匂いはただよっていたが、本当に完結するのか半信半疑だった。

しかし、無事に5月18日の連載をもって鬼滅の刃は完結した。

そして完結すると同時に、多くの鬼滅の刃ロス、略して鬼滅ロスの読者を生んだ。

鬼滅の刃の魅力を端的にまとめるならば。

・敵味方関係なく、悲しい過去を背負っている
・登場人物の生き様に惚れる

この2点をまず強調したい。

いわゆる勧善懲悪系の漫画だったら、得てして敵が薄っぺらい。

ただ意味もなく乱暴。

ただ意味もなく残虐。

とかね。

しかし、鬼滅の刃は主人公の炭治郎が属する鬼殺隊の面々が悲しい過去を背負って、敵対する鬼と戦っているのだが。

その鬼も悲しすぎる過去を背負っているのだ。

悲しすぎる過去を背負って鬼になった敬意があるのだ。

するとどうなるか。


敵も味方も関係なく推せるのである。


また、鬼滅の刃は登場人物が敵味方関係なく実に魅力的に立ち上がっている。

そして、見事あっぱれな生き様を読者に魅せつけてくれるのだ。

生き様を魅せつけるとは、すなわち登場人物が死ぬ場面である。

悲しくも雄々しく、厳しくも潔い、華が散る瞬間だ。

そこがまた、たまらなく良い。

今回の映画でも、生き様が話題になっているが、その後のお話も鬼殺隊の面々の華々しい生き様や、鬼の悲しい死に様など多様である。


登場人物は死んでも、読者の心のなかに生き続ける


ところが、悲しいことに。

こんな素晴らしい物語が終わってしまっているのだ。

最終巻は12月に販売され、そのときにまたとんでもないメディア展開がなされるであろうが。

こんな素晴らしい物語が終わってしまっているのだ。

・もっと敵味方関係なく推せる物語が読みたい!
・もっと華々しく登場人物が生き様を魅せつける物語が読みたい!
・推す登場人物が死んでほしくないけど、死に様は読んでみたい!

きっと多くの鬼滅ロスの方々は、このような願望を抱えていることでしょう。

こんなわがまますぎる要望に答える物語なんてあるわけ…

あるんです

いやいや。そもそも登場人物が死ぬ物語なんて無いでしょ…

死にます。容赦のないくらい。

そんな鬼滅みたいなかっこいい生き様を魅せつける物語なんてあるの?

あります。うんざりするほどにかっこいいのが。

なんて本?

北方謙三先生の【水滸伝】

これが言いたかった!


私は鬼滅の刃ロスの皆様は、もれなくハマると信じている。

なぜなら、この水滸伝には、鬼滅の刃の要素がこれでもかと含まれているからだ!

・敵味方関係なく、悲しい過去を背負っている
・登場人物の生き様に惚れる

この要素がはちきれんばかりに含まれている。

水滸伝のあらすじを一言で言うならば。

北宋時代末期、オワコンになった国に対して反乱を起こすため、梁山泊に集まった好漢の物語

である。

国に反乱を起こすとは、死罪では済まない重罪だ。

だから梁山泊に集まった面々は、すでに命を捨てている。

命を捨て、新しい国を作る志のために国家と戦うのである。

するとどうなるか。

まあかっこよく、登場人物が死ぬ

んだこれが。

今回の鬼滅の映画でもある人物が象徴的に華々しく散るのだが、この水滸伝でも一人目に死ぬ人物は、極めて象徴的に華々しく散る。

え!こんな主要人物がこんなに早く!?と思うほどだ。

だがそれがいい

死に様とはすなわち生き様だ。

かっこよく死ぬ人物に限って、かっこよく筋を通して立派に生きているのだ。

そんな魅力的な人物が、これでもかというほど、あるものは華々しく、あるものはあっけなく、散る。

だがそれがいい

また、この作品は反乱を起こす梁山泊と相対する、国家側の敵も魅力的なのだ。

国の諜報を担ってきた頭脳派集団、青蓮寺という組織の面々の極めて高度な頭脳戦を見よ!

国の誇りを持った最強の軍隊、禁軍の総帥とその部下たちの極めて狂った調練の様子を見よ!

それだけ強すぎる敵がいるからこそ、梁山泊の面々の魅力もまた立ち上がってくる。

立ち上がり、歩み、かけ始める。

するとどうなるか。

作者の北方謙三先生ですら制御できなくなる。

するとどうなるか。

想像もしなかったような活躍をして、死ぬのだ。

だがそれが本当にいい。

この作品は19巻の大作だが、それにとどまらない、三部作全51巻の超大作だ。

長さに尻込みする?
登場人物の多さに尻込みする?

大丈夫だ。

鬼滅の刃にハマったあなたなら、間違いなくハマる。

まずは5巻まで読んでみてくれ。

5巻が鬼滅で言うところの無限列車編だから。

鬼滅の刃を知らないあなたにも、おすすめしたい。

なぜなら、あなたは好きな登場人物、通称推しが死んだ経験をしたことがあるだろうか?

その経験は初めてだと極めて辛いものだ。

しかし、推しの死は間違いなくあなたを強くしてくれる。

あなたの感性を、心を豊かにしてくれる。

そんな経験は読書でしかできない。

物語に浸ることでしかできないから。

これ以上は語るまい。

暦の上では読書の秋だ。

まずは1巻、北方謙三先生の【水滸伝】、あるいは吾峠呼世晴先生の【鬼滅の刃】をお手にとってみてはいかがだろうか。

#読書の秋2020

参加される皆さんの好きを表現し、解き放つ、「プレゼンサークル」を主宰しています! https://note.com/hakkeyoi1600/circle ご興味のある方はお気軽にどうぞ!