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MBA留学を、ざっくり振り返って見る③ 〜シンガポール国立大学ビジネススクール〜

今回は、そもそも、なぜMBA留学をしようと考えたのか、そしてなぜシンガポール国立大学ビジネススクールを選択したのか、についてお伝えします。

以下は前回記事です。

なぜ海外MBA?

私がMBA留学したのは、新卒で入社した製薬会社に勤務して4年が経った頃、28歳の時です。

高校の頃に医薬品開発を通じた社会貢献がしたいな、と自分にとっては遣り甲斐を感じやすい医療の道に進むことを決めました。進学して大学では薬学の勉強、大学院では医学部で心疾患についての研究をし、修士課程卒業と同時に製薬会社へ進むことにしました。

薬学部卒の良くあるキャリアは、薬剤師@病院 or 薬局、製薬会社の研究職、臨床開発職(いわゆる臨床試験や治験と言われる試験を企画・実施する仕事)、営業(業界ではMRと呼ばれています)、そして製薬会社の仕事を受託するCROでの仕事になります。

私はこのうち、就職活動では製薬会社での臨床開発職を目指していました。理由は好きな科学知識も使いながら、社内外で多くのコミュニケーションを必要とする、研究職と営業の両方を合わせたような仕事で面白うそうだと考えていたからです(あと、入社して数年は出張が多くてマイルが貯まるよ、そのマイルで旅行にたくさん行けるよ、と各社の先輩社員が言ってたのもあります)。

就活を経て、なんとか運良く内資製薬企業の臨床開発職の内定を取得しました。しかし、入社直前に送られてきた配属先を見ると、私だけ見たことがない部署「ライセンス部(事業開発)」に一人配属されているではありませんか。(なぜ配属先が変わったのか、最後まで理由はわかりませんでした)

臨床開発と事業開発、開発という文字は共通。臨床開発以外にあまり興味がなかったので事業開発という仕事を良く分かっていませんでした。しかし、この配属が私にMBAの必要性を感じさせた転機だったと思っています。運が良かったと今では思います。

製薬企業の事業開発という仕事は、自社の戦略に従って、足りないピースがあれば他社が開発する医薬品の権利を獲得したり、反対に自社が手がける医薬品を他社に売ったり、はたまた一緒に共同で開発・販売等の契約を結ぶといった仕事です。

求められる能力は、サイエンス面とビジネス面の評価、ソフトスキル的な契約交渉、提携先とのコミュニケーションスキル、などなど幅広いです。また、国内だけでなく海外企業との提携も多いので英語力は必要です。一般的には、事業開発担当者は他の部署(研究、臨床開発、マーケ、営業等)で専門性を磨いた後に異動してくることが多いです。

入社時に私の所有スキル・知識は、サイエンスの知識少し、やる気、伸びるかどうかわからない伸びしろ、以上です。

なので大変苦労しました。成果も見えづらく、新人から事業開発を担当する人は業界見渡してもいないのでベンチマークになる人がいない。仕事の範囲を自分で決めるところが多いです。ですが、上司・チームメンバーには大変恵まれていたので、ライセンス契約をリードして締結する経験もさせてもらいました。

そのまま同じ仕事を継続して経験を積んでいても大変力が付くとは思います。ですが、その時は

・ビジネス全般の知識を体系的に効率よく集中的に学びたい

・患者さんのために医薬品を作りたいという想いがあっても、会社としては利益を出す必要も当然あり、そのビジネス面の魅力を訴える力が欠けていた

・英語中心のコミュニケーションを必要とする環境に早く身を置きたい

・なんとなく海外に憧れがある(ミーハー)

・世界各国から就業経験を積んだ、国籍・文化・年齢・キャリアなどが異なる多様性溢れる仲間と一緒に過ごすことは、まるで世界一周旅行を1つの国で体験しているような素敵な時間になると思った

からです。

1年間、働きながら受験勉強をしましたが楽ではなかったです。しかし、最後まで頑張れたのは勉強したい・成長したい云々よりも、楽しそう・ワクワクする、この気持ちが背中を支えてくれたと思っています。

また、受験勉強を始める1年ほど前に、上司のご理解もあり、会社を2週間休んでフィリピンに1日8時間の英語勉強のためプチ留学しました。その時に刺激的な経験も後押ししてくれました。

最終的には、左脳でロジカルに考えることより、自分の感情・気持ちに正直になることが大事だなと、今振り返るとそう思います。


なぜシンガポール国立大学??

よし、いざMBA留学だ!と息込み、まず始めたのは学校選び。私は大学・大学院の奨学金も返しながらの生活であったため、貯金があまりない状態。

色々調べると米国は2年制が一般的。欧州・アジアは1年制。学費+生活費の相場を見ると米国は2年で1500万円以上は普通にかかるという話を聞き、私費留学の私では借金しても行けないと思い欧州・アジアに絞りました。

欧州・アジアのMBAすら1000万円は必要とのこと。(結果的にシンガポール国立大学ビジネススクールの留学生活1年半で800〜900万円で収まりました。それでも高いですが。)

欧州かアジアか。MBAといえば米国か欧州が主流なので欧州かなと思いましたが、いくら考えても私が欧州に行く理由が見つからない。

一方、アジアの中でも調べるほどシンガポールの魅力を感じシンガポールに国は特定しました。理由は、

・医療系企業のアジア本社の多くがシンガポールにある → 学校外でもインターン等で業界についての学びが得られそう

・シンガポール国籍はだいたい国民の半分、それ以外は海外からの駐在員など、国レベルでみて多様性がすごい(日本生まれ日本育ちの私の環境の真逆) → 刺激的

・シンガポール政府がスタートアップ育成に力を入れており、イノベーション創出のエコシステム創生中だった → なんとなく当時はスタートアップかーかっこいいなーという憧れを持っていた

・シンガポールがアジアのハブになっている → アジア人としての利点を生かして成長中のアジアで今後勝負するのは理にかなっている

・公用語が英語 → 英語も勉強したい

などなどです。


続いて学校選び。

シンガポールのMBAといえば、シンガポール国立大学、ナンヤン工科大学、シンガポール経営大学院の3校があります。シンガポール国立大学を選んだ理由は、

・医学部・大学病院のレベルが高い → MBAの先輩から医学部とMBAの合同プロジェクトをやっていたと聞いて惹かれた(実際、医学部の博士課程の学生3名とMBA2名でチーム作り、政府主催のヘルスケア系ビジネスコンテストに出たことは良い思い出です。)

・医学部以外にも総合大学なので他学部との交流を通じた学びが得られそう

・名前がわかりやすい、ネームバリューあり、ランキングも高い

・学費が安い(他のMBAに比べて)

・都心に比較的近くてインターンやイベント参加しやすい(立地はシンガポール経営大学院が一番良いです)

と、いったところです。

結果的にはシンガポール国立大学とナンヤン工科大学のMBA2校だけ受験して、シンガポール国立大学からオファーをいただた時点で受験勉強を終了しました。


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