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「接着剤の塗り方がキレイな人は作品も美しい」説

こんにちわ、HAKUです。

今日はレザークラフトの「接着剤」について、私が普段思っていることを書いてみたいと思います。…と言ってもお伝えしたいことは既にタイトルにある通りです。

ズバリ、「接着剤の塗り方がキレイな人=作るものも美しい」。これは拙いものですが私のレザークラフト経験の中から導かれた独自の”仮説”です。

接着剤を塗って貼る。単純なことなのですが、なかなかどうして奥が深い。

特に初心者の方は「どの接着剤がいいの?」というところが真っ先に気になってしまうと思います。ですが、ソレ以前に「塗り方を意識するって大事だな」と感じていただければ嬉しいです。

「塗り方」を意識しはじめたキッカケ

私が接着剤の塗り方に気をつけるようになったのは、Leather works ittenさんのブログ記事を読んだことがキッカケです。「コバ磨き」について色々と情報収集をしている中でittenさんのブログに出会いました。

「え、コバ磨き?接着剤と関係なくない?」…チッ、チッ、チッ。関係大アリなのです。

その時に読んだittenさんのブログ記事は、私のレザークラフトライフの中でもひとつの大きな転機だったと思います。少しだけ引用させていただきます。

コバ処理は、コバの磨きが始まってからの作業を指すものではないと考えます。それまでの作業、全てが直結する問題と言っても過言ではありません。

こちらの記事を読んだ時、私は鈍器で後頭部を殴られたような衝撃を受けました。これをキッカケにコバ処理はもちろん、レザークラフトの製作全般について、見方・考え方が変わった気がします。

きれいなコバを作りたいと思って「どんな道具を使うと良いか」とか、「処理剤は何を使ったらよいか」と、枝葉のことばかり考えていた自分が恥ずかしく思えた記憶があります。「それより前に見直す事があるだろう!」っと。

そこから私は自分の作業工程、これまで疎かにしていた基本的なことを、ひとつひとつ見直しはじめました。そのうちの一つが「接着剤の塗り方」だった訳です。

「接着剤は厚塗りしてはダメ」というのは情報としてインプットはしていましたが、あまりきちんと実践できていなかった私。同じくittenさんの解説されているこちらの記事を読んで、正しい接着剤の塗り方を身に着けようとアレコレ試行錯誤したのを覚えています。

当時はブログの写真とにらめっこをしながら「こうかな?ああかな?」と練習していましたけど、今はYouTube動画で実践解説が観られるんだぜ―。すごく贅沢な時代になったもんだなぁ。

縦・横の方向の違いはありますが、こちらのittenさんの解説にある塗り方が私にとってはゴム系接着剤を塗る際のお手本・目標となっています。

意識をすると見えてくる

そうやって接着剤の塗り方を意識するようになると、自然と他の人の所作が気になり始めます。今はYouTubeで多くの方の作業工程を見学できますから、すごくありがたいですね。

そして行き着いた仮説がこのnote記事のタイトル、「接着剤の塗り方がキレイな人の作品は美しい」説です。

あくまでも私の勝手な”仮説”ではありますが、「アイラインを引くのが苦手な女は…字が汚い」という「どぶろっく」さんの歌よりは信憑性が高い自信があるぞ(笑)

ittenさんと同じく私のお手本であり目標のATSUSHI YAMAMOTOさん。私のサイビノールの塗り方のお手本はATSUSHIさんです。

サイビノールは時間との勝負、という側面がありますので、ATSUSHIさんのように手早く、ムラなく、均一に塗り広げることを意識しています。

また、こちらは韓国のクリエイターbitchenさん。ちょっと動画が長いですがゴム系接着剤の塗り方がめちゃめちゃキレイです。もちろん、出来上がったものもビューティホー。

どうです?私の”仮説”もなかなか確度が高そうでしょ?(ドヤ)

単に革同士が貼り付けば良いと思っていたら、こんなにキレイに接着剤を塗る必要はないハズです。ここで紹介させて頂いた方たちは、きっとそれ以上のことをしっかりと考えているのだと思います。

・キレイなコバをつくるため
・歪みのないキレイなシルエットを出すため
・接着剤がダマになって表面にアタリが出ないため etc.

つまり、目の前の作業が工程全体、ひいては完成品に対してどういう意味を持ち、どういう影響を与えるのかをしっかりと考えているのだと思います。だからこそ、接着剤の塗り方にも神経を注ぐ…そりゃ完成品もキレイなはずですね。

接着剤を塗って貼り付ける。文字にすると至極単純な作業工程ですが、意外とものづくりに対する姿勢や習熟度が表れやすいポイントなんじゃないかな、と個人的には思っています。

なので、ちょっと余談になりますが、私がYouTube等で他のクリエイターさんの作業を観る際、一番注目しているのが接着剤の塗り方。ちょっと偉そう&嫌な言い方になってしまいますが、接着剤の塗り方で、その方のスキルレベル・意識レベルを測っている部分があります。

例えばゴム系接着剤であればチューブから直接革に接着剤を塗布していたり、同じ場所を何度もヘラで撫でるような塗り方をしている場合は、全てとは言いませんが、たいてい他の技術も完成品の出来栄えも「それなり」であるケースが多いように思います。

地味で見落としがちな部分かもしれませんが、接着剤の塗り方に注目してみると結構おもしろいですよ。ぜひいろいろな方の作業を観て、私の仮説を確かめてみてください。

やっぱりコバが好き

ここでもう一度、ittenさんのブログ記事を引用させていただきます。

コバ処理は、コバの磨きが始まってからの作業を指すものではないと考えます。それまでの作業、全てが直結する問題と言っても過言ではありません。

これは言い換えれば、きれいに仕上げられたコバは、その作品がひとつひとつの工程を丁寧に積みあげて作られた証とも言えます。いわば”製作品質保証”ですね。

接着剤の塗り方は、制作過程を見ることができなければ分かりませんが、コバは完成品を見れば一目瞭然ですからね。

私だけかも知れませんが、最近は市販されている革製品でも「コバ処理が甘いなぁ」と感じてしまうものが増えているような気がします。ひとつのトレンドなのか、革の素材感を大事にするためなのか、はたまた作り手の論理で生産性を上げるためなのか…。理由は様々だと思います。

作風や価値観は人それぞれですから、良し悪しを判断するつもりはありません。

ただ、きれいなコバというのが丁寧な手仕事の証だと考えると、やっぱり私はコバにこだわりたいし、きれいなコバを追求したいな、と思います。ittenさんの記事を読んで、改めてそう思いました。

きれいなコバをつくるために、今後もきちんと接着剤の「塗り方」を意識していこうと思います。

暖かくなってきましたからね。ちゃんと溶剤を足して接着剤が固まらないようにしっかり管理しなきゃ。





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