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ひぇー!ハンドメイドサイトを見てビックリした話

こんにちは、HAKUです。

いよいよ二つ折り財布の型紙も完成し、動画撮影、リリースに向けて素材の準備をしているところです。いやー長かったなぁ。

今現在も試作品を日常利用していますが、あえて現金決済➞使い勝手を確認➞「おぉ、いいじゃん」っと人知れずほくそ笑むという何とも怪しい経済活動実施中です。面白いものができたぞー。

一方で前回の記事でも触れたように、こちらはご要望があれば作品販売をしてみたいと思い、価格の設定についてアレコレと考えています。これがまた難しい。

価格設定の参考になるかなぁと思って久々に「ミンネ」や「クリーマ」といったハンドメイドサイトを覗いてみたのですが、ちょっと、いや、かなりビックリな状況になっていました。…見なきゃよかったかも。

今日はそんな驚きを書き綴ってみようと思います。

価格暴落!?

久しぶりにハンドメイドサイトで革製品を検索してみて驚愕しました。何に驚いたかというと販売されている価格…総じてめちゃめちゃ安いのです。

これまで自分なりに考えていた価格設定のロジックが根底から覆されてしまうほど、どの作品も圧倒的に販売価格が安い。ひゃー、驚いた。

ほとんどの商品が1万円以下。2万円を超えるものがほとんど見当たりません。これはスゴイな…。これはもう「価格破壊」が起こっていると言っちゃってイイんじゃないだろうか。

これがどれだけスゴイ事(エライ事)か、具体的な数値を仮に当てはめて考察してみます。

売価1万円の革小物を作るには?

例えば、1万円の商品が売れた場合を考えてみます。

価格は1万円ですが、売れた値段の10%ほどがハンドメイドサイトの手数料として差し引かれてしまいます。1万円の商品が売れたら、実際の入金は9,000円ですね。

材料費や梱包発送費などは作り手やアイテムによって異なると思いますが、仮に原材料費や梱包発送費が入金額の1/3、3,000円かかったとすると、残りは6,000円。この6,000円で作り手の人件費と事業利益を賄わなければなりません。

人件費(工賃)を最低賃金スレスレの1,000円で設定したとしても1個あたり6時間で制作できなければ人件費がペイできず赤字ということになります。

たとえ6時間で作れたとしても、事業利益はゼロ(儲けナシ)状態。赤字ではないけれど儲けもない、トントンということですね。

時給換算で1,000円というはちょっと考えにくい。東京都なら最低賃金を下回っているので労基に刺されてしまいます。

また、事業としての利益も確保しておかないと新たな道具や設備の購入費や、広告宣伝費、新しいアイテム開発にかかるコスト等を捻出できずジリ貧になってしまいます。

そうやって考えるてみると、制作にかけられる時間は多くても1個あたり2~3時間といった感じでしょうか。イメージとしては1日8時間の作業で2,3個の製品をバッチリ完成させられる位でないと売価1万円は成立しないことになります。

む…無理だ。1個の制作に12時間もかけている私ではとても実現できん。

ハンドメイドサイトの相場に近づけるには製品を量産できるような設備、スキルが備わっていなければとても無理。もっと言えば仕様・デザインの段階で量産できるような造りを考えないと厳しいでしょう。

久しくウォッチしていない間にハンドメイドサイトがこんな事になっていたとは…。

ハンドメイドサイト今昔物語

これまで私はレザークラフトを楽しむ傍らで、ぼんやりと「いつか販売とかもやってみたいなぁ」と思っていました。そして時折、思い出したかのようにハンドメイドサイトなどの動向・傾向はチェックしていました。

でも、見るたびにハンドメイドサイトも様変わりをしてきたように思います。私なりの「ハンドメイドの変遷」を整理してみましょう。

<ハンドメイドブーム期>
今から6、7年前でしょうか。「主婦でも在宅で月収10万円!」などと銘打って、ハンドメイドや専用マーケットプレイスがマスコミで積極的に紹介された時期がありました。

それ以前のことは分かりませんが、この頃は空前のハンドメイドブームと言われていました。ちなみに2016年のハンドメイド市場における流通額は190億円。対2014年比で約6倍にも跳ね上がったそうです。

この頃はアマチュアで経験の浅い方たちも積極的に出品をしていたように記憶しています。イメージとしては「ヤフオク」の延長のような感じ。「手作りだからノークレーム・ノーリターンで」みたいな。

ちょっと偉そうな言い方になってしまいますが、率直な感想として、クオリティの割に高額な商品が散見された印象です。もちろん当時から手の込んだ素敵な作品もありましたので、販売されている商品について言えば「玉石混交」だった気がします。

かなりハンドメイドが話題になった時期なので、この頃に独立して作家デビューをされた方も少なくないんじゃないでしょうか。そのうち今も作家として活動している人はどのくらいいるんだろう…。

<本業クリエイター参入期>
しばらくすると、元来本業としてものづくりをされていた作家さん、職人さんの参入がグンッと増加したように思います。一気に作品のクオリティが底上げされて、逆にアマチュアの出品が極端に減った気がします。

この頃はハンドメイドサイトと言っても「プロの方の販路の一つ」という印象でした。

クオリティは上がりましたが、もともと出品されていたアマチュア作品もそれなりの値段がつけられていたので、プロの参入によって価格が極端に跳ね上がったという印象はなかったと思います。

丁寧な仕立てやこだわりの感じられる素敵な作品が多かった気がするなぁ。

一方、こうしたプロの参戦でハンドメイドマーケットを主戦場としにくくなったアマチュアの受け皿としてメルカリなどのフリマアプリが活用され始めた、というのが私なりの認識です。

<低価格路線期(現在)>
先述した通り、低価格化が進んでいる印象です。プロの方たちの主戦場というのに変わりはないと思いますが、量産×低価格販売ができるプロの方たちの主戦場となっている印象。

低価格帯の商品ばかりが目立つので、こうした価格競争に巻き込まれたくない方たちはマーケットプレイスを離れつつある傾向にあるのかもしれませんね。

今はBASEやSTORESといった便利なサービスもあるので、自前でネットショップを運営し、SNSを使って集客されている方も多いのではないかな、と思います。

これらは私の勝手な解釈ですが、6,7年前のブーム以来ハンドメイドサイトも随分と様変わりしてきましたよね。

ハンドメイドというと、メーカー(企業)などが制作しないような個性的な作品やコダワリを詰め込んだ作品、ひとつひとつに手間暇かけた作品というイメージだったのですが、だんだんとメーカー製品・量産品に近づいている印象を持ちました。

個人的には、ちょっと寂しい気もします。

止まらない低価格化

もうひとつ、私の勝手な想像ですが、さらに低価格化に拍車をかけているのが、所謂「副業作家」の存在かな、と思います。本業は別にあり、仕事終わりや週末に作家業を行うスタイルですね。

副業としてハンドメイドをする方の動機も様々だと思います。将来独立したいという起業の準備段階の方もいらっしゃるでしょうし、一方で「趣味の延長」「ちょっとしたお小遣い稼ぎ」と捉えている方もいるでしょう。

副業のお小遣い稼ぎであれば、ひとつの事業としてそこまで厳密に採算性を考える必要もありません。ハンドメイドで赤字であっても本業の収入があるので困ることはないですからね。

「とりあえず材料費だけ回収できればいいや」という方もいらっしゃるでしょうし「趣味の延長だから安い価格で」と遠慮されるかたもいるかもしれません。

そのように設定された価格は、おそらく制作時間や手間、相場から見るとかなり割安になるケースが大半。通称「おともだち価格」というヤツですね。

自分の作業時間を時給換算したら労基に刺されるくらい、”一人ブラック企業状態”ではないかな、と。

それでも制作・販売している本人が満足できていれば良いとも言えますが、極端に低価格の製品が広がると、ハンドメイド品全般のさらなる低価格化に拍車がかかってしまうのではないかな、という気がします。

専業であれ、副業や趣味の延長であれ、お客様からは関係のないこと。作家・クリエイターには相違ないわけで、低価格商品が広がれば、きっとお客様の「相場観」もどんどん下がってきますよね。

そうなると自分も同業の方たちもどんどん苦しくなってしまいそう。大げさかもしれませんが業界全体が地盤沈下を起こしてしまいそうな気もします。

私も販売を始めたら「副業作家」の仲間入り。ちょっとこのあたりは色々と考えてしまいますね…。

さぁ、HAKUはどうする?

ハンドメイドサイトを覗いてみて、アレコレと考えさせられてしまいましたが、これから販売をしてみようと思っている私は、今のハンドメイドサイトの現況はスルー。見なかったことにしようと思います。

低価格路線はあくまでもハンドメイドサイト内でのお話、と割り切って考え、まずは自分が思う「適正価格」で販売してみようと思います。

販売価格を低く設定すれば、当然売れやすくはなると思います。特に「本革製品=高い」というイメージの強い分野ですから価格優位性があればそれだけで目を引けるとは思います。

低価格戦略(≒薄利多売)でも活動が継続ができる方ならばそれでいいと思います。でも、無理に価格を下げて「作れば作るほど疲弊する」「一体、何のためにやってるんだ?」となってしまうのは本末転倒です。

少しでも制作コストを抑えられるような工夫や努力は必要だと思います。でも無理をしたり、クオリティを落としてまでコスト削減・低価格化を目指すくらいなら販売なんて諦めたほうがいいかな、というのが正直な思い。

それに、「どうやって売値を下げられるか?」を考えるよりも、「どうやって製品の価値や価格妥当性を訴求するか?」を考えたほうが面白そうな気がします。

ひとまず自分ができることを精一杯やって、自分が適正と思う価格で販売をしてみよう。それでダメなら…またその時に考えよう。




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